別れと再会
総合pv10万を突破しました! ついにここまで……感動してます。それなりの努力を重ねてきたつもりでしたが、ここまで来れて本当に嬉しいです。やっとの思いで、と言うほどのことはやっていませんが、頑張った甲斐があったというものです。
第二百十四部、第七章第五話『別れと再会』です。どうぞ!
「それじゃあ……元気でな」
「それはこちらのセリフですよ。間違っても、死んだりしないでくださいね。私はまだ、決着がついたとは思っていませんよ」
「ああ……当たり前だ!」
「ええ」
王城前、アリシアとの対談を終わらせた俺はアリシアと、そして自国の防衛のために残るカレラに見送られていた。
「リルさん、ありがとうございました。またお会いできる日を、楽しみにしています」
「うむ。我こそ、感謝している。再びあった暁には、またともに旅をしよう」
「え? あ、はい! 楽しみにしていますね!」
どうやら、リルとカレラのお別れも済んだらしい。あいつらもこの前一緒にダンジョンに行ってから一層仲良くなったよな。何があったのか詳しくは聞いてないが、面白いことがあったに違いない。
「司、ネルに連絡とろうとしたんだけど、繋がらないのよね」
「忙しいのか? いや、ネルなら忙しいくらいじゃ問題ないよな。何かあったのかもな」
「でしたら、早く戻ってあげてください。あなたには、あなたのやるべきことがありますよ」
ソルに言われて呟いた俺に、アリシアは明るい笑みで言って来た。
「そうだな。ありがとな、アリシア」
「いいえ、当然のことを言ったまでです。それでは、また今度」
「ああ、またな! ソル、頼んだ」
「了解よ」
最後に、アリシアに大きく手を振りながら、俺たちはソルのテレポートでオレアスを離れ、亜人国へと向かったのだった。
「って、なんじゃこりゃー!?」
「ぼろぼろ」
かなが隣で呟いたが、端的に言えばその通り。まず最初にリリアのところに行こうと思ってリリアの家へと連れて行ってもらったのだが、完全に荒れ果てていた。
「なんだか、ずっと放置されていたみたいね。でも、それだけじゃなさそうだけど」
「うむ、リリア嬢の能力で制御していたはずの植物たちが、支配を解かれて好き放題に成長している、と言った感じだろうか」
綺麗に整っていた大木の周りは植物に覆われ、俺たちが知っているそれの面影は少ししか残っていなかった。リルの言う通り、制御を失った植物たちが成長したのだろう。
「でも、どうしてリリアは支配を解いたんだろうな」
「この拠点を必要としなくなったか、支配をする余裕がなくなったかのどちらかだな。どちらにしても、リリア嬢はここにはいない」
「だな。ソル、ルナ。リリアがどこにいるかわかるか? ついでに、ネルも」
「ええ、分かるわよ」
「無論かの」
どこか不穏な気配を感じて二人を振り返ってみれば、二人の顔にはいつもの余裕は感じられる、まじめな顔を浮かべていた。
「ここからは二手に分かれましょう。ソルとルナはネルのところへ行って。司と私、かなちゃんでリリアのところへ行きましょう」
「え? あ、ああ、分かった。それじゃあ、ネルのほうは任せたぞルナ、リル」
「任せておけ」
「残念なことに再会を楽しむ余裕は、なさそうかの。では」
それだけ言って、ルナはリルを連れて転移した。
「私たちも、急ぐわよ」
「おう」
「うん」
そして俺たちもまた、ソルの転移でその場を離れた。
目の前に広がっているのは、以前始祖竜と激闘を繰り広げた荒地だ。それでいて、見慣れた光景と言うわけではなかった。そこにいたのは五人。リリアと、そのリリアと拮抗した戦闘を繰り広げる四人の人間だった。
「リリアと同等? いや、四人でやっとリリアくらいって感じか」
「どうやら勇者みたいね。ステータス的には、出会った当初のあんたと同じくらいかしらね」
「分かりやすい解説をありがとな。そりゃ、四人くらいいればリリアの相手は出来るだろうな」
ソルと出会った当初、と言えば精魔人になったばかりのころだろうから、アリシアには遠く及ばず、それでも大抵の魔物には勝る程度だったはず。その程度ならステータスが低くとも、魔力が多く、魔法を巧みに操るリリアにはそう簡単には勝てないだろうな。
ただ、いつまでも放っておくわけにもいかないだろう。そう思って駆けだそうとしたその時、俺の肩はソルに掴まれた。
「あんたは待ってなさい。かなちゃん、行くわよ」
「ん」
「え!? なんで――って、行っちまった……」
止められた俺は飛び出すのが遅れ、ただでさえ初速でも持久力でも最高速度でも負ける俺は完全に乗り遅れ、ソルとかなが参戦するころにはまだ目的地まで半分以上残っている。これは、俺が着く前に終わるな。
なんて思った直後、戦闘は終了した。ソルが四人のうち二人の肩に触れた途端に焦げて灰となり、消え去った。そしてかなが光となって距離を詰め、その鋭い爪で残りの二人を切り裂いた。
勇者、なんて言ってもやはり、黒江みたいにぶっ飛んでなかったら所詮は人間らしい。
ただ、ああも簡単に同族が葬られるのは見ていて微妙な感覚だな。
「司君! かなちゃんに、ソル様まで! 最高のタイミングね!」
「おう、リリア。ま、俺は何もしてないけどな」
俺がたどり着くころにはやはり何もかも終わり、ソルとかなが合流し、リリアを囲むように集まった。
「怪我はないか? リリア」
「ええ、問題ないわよ」
そう言ってリリアは、俺へと抱き着いて来た。
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