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悩み

 総合pvが十万間近なんですが、よくよく見たら今月だけで一万pv増えていたらしいです。いやー、今月は頑張りましたね。読者の方に感謝、&自分よく頑張ったと言うことで今後も頑張ってまいります。


 第二百十三部、第七章第四話『悩み』です。どうぞ!

「ってわけだアリシア。こっちはこっちで、対応してもらえるとありがたい」

「お話は分かりました。父にも話をつけておきます。この国の防衛は、この国にお任せください。何せ、オレアスは最強の軍事国家ですからね」

「ああ、頼んだ」


 俺たちはリセリアルを離れたままにオレアスの王城を訪れていた。国王は忙しいということでアリシアに時間を作ってもらって色々と相談していたが、流石アリシア、話が早くて助かる。


「にしても司。せっかく見つけた妹さんを、本当に置いてきて良かったんですか? 我が国で保護する、と言うことも出来ましたが」

「……いい、んだと思う。出来る限り巻き込みたくないし、あいつはあいつなりに生きていて欲しいからな。それなりにこっちでも楽しそうにしてたし、あいつはもとより強い奴だ。きっと、問題ない」

「そうは言っても、大切な妹さんなんでしょう? やはり、お別れの一つでも、と私は思うんですが。何か、理由でもあるんですか?」


 今、俺はアリシアと言った位置で話をしている。他の奴らがいても面倒になるだけ、と言うのもあるがルナとかなはもてなしの料理を満喫しているし、カレラとソルはなんだか意気投合して模擬選とか言っていた気がする。で、二人だけだと問題になりそうだからとソルがその見守り。ま、影空間なら被害は出ないだろうしな。

 そう言うわけで、皆には言おうと思わなかったことも、結構言いやすかったりする。


「俺もあいつも、互いに依存しすぎてた気がしてな。今の俺たちはそれぞれに立場がある。昔は自由に、そして不可抗力的に一緒に生活していたが、今はそう言うわけにもいかない気がしてな。だからまあ、俺の自己満足ではあるんだ。あいつを巻き込みたくない、これ以上あいつと一緒に居たら自分がダメになる気がする。そんな考えが、どうにも頭によぎっちゃってな」

「なるほど。司は、そんな風に考えていたのですか」

「……笑ってくれてもいいぞ。どちらにしたって俺はあいつに甘えてる。昔はあいつを理由に甘えていた。今は、あいつを理由にしないと頑張れないでいる。いい加減、妹離れをしないといけないとは、思っているのだがな」


 俺がそう言うと、アリシアは口元に手を寄せて上品に笑って見せた。そして、愉快そうに言うのだ。


「司はもっとお気楽な人だと思っていましたよ。そう言うことで、悩める人だったんですね」

「馬鹿にしてるのか?」

「いえ、そう言うわけではありませんとも。でも、私からの印象では司はそう言う悩みは持たない人でした。だからこそ、悩んだ経験も、少ないのではないかと思いまして」

「確かにな。俺はあんまり自分のことで悩んだことがない」

「でしょう? だから、悩み方と言うものを教えて差し上げましょう」


 アリシアは言葉を区切って背筋を正し、真剣な佇まいで述べる。


「人が悩むのは後悔をしたくないからです。どうしたら自分は後悔のない時を過ごせるのか。その選択が困難を極めた時、それは悩みへと変化します。つまり、悩みの根源に存在するのは悔いを残したくないという心です。これを解消し、選択するのが悩みを解決する、と言うことです。ならば、根底を覆せばいいのです」


 人差し指を立てたアリシアは、小さく微笑む。


「例えば、目の前で倒れた大切な人のために必要な事であったら、たとえ他人の命を奪ってでもどうにかする、とか。悩んでいる暇もなく、悔いを残さないために選択する。これを、今回にも当てはめてみましょう」

「それは、分かりやすいな。じゃあ、俺はどうすればいいと思う?」

「今の司の悩みは、自分の役目と妹さんの使命とが食い違っているために、そして、自身が行おうとしていることが決して善とは捉えられないことであるために、行動を躊躇してしまっている、と言った感じでしょうか。さらには、自身の行動に巻き込まないために妹さんを遠ざけてしまった、と」

「まあ、そうだな」

「なるほど……」


 一言呟いて、アリシアは俯き込んだ。そこから数秒考えるように目を伏せてから、ゆっくりと顔を上げて言う。


「優先したいものが食い違い、自分の中でいがみ合っているのが司の現状です。そして、今の司の手札ではどう行動しても悔いを残してしまいそう。だからこそ選択は悩みとなり、司の心を蝕んでいます。ですが、もちろん悩みを解消するための答えは存在します」

「……それは?」

「ふふっ、簡単な話ですよ。二つとも諦めて、私とここで暮らしましょう」

「え?」


 悪戯っぽく笑ったアイリスの言葉に、俺は思わず言葉を漏らした。今までのアリシアが真面目な雰囲気を漂わせていただけに、そんな冗談に返す言葉が浮かばなかった。


「そうすれば悩みは無くなり、次期国王となる司の人生は安泰です。どうですか?」

「え? いや、それは……ダメ、だと思うけど」

「……それは、どうして?」


 アリシアのその問いは、恐らく予想していた俺の答えに備えていたものだったと思う。でも、その顔に浮かぶ表情にはどこか、陰りが伺えた気がした。


「俺の使命を投げ出すのは、無責任すぎるし、黒を、妹を完全に突き放すのは違う気がする。だから、やっぱり俺の選択肢は、俺の使命と優先することと、そして、妹を優先することの延長線上にある気がする」

「ええ、それでいいんです。そう決められたなら、あなたにはもう悩むべきことなどありません」

「え? いや、まだ何も決まってないんだけど……」


 俺の悩みに進展はない気がするし、解消されていることはないと思うんだが。

 そう思っての言葉だったのだが、アリシアはどこか、突き放すような笑みで、言ってきた。


「選択肢を絞れたのなら、そこから選ぶだけです。答えは、自分の手札の中にある。司は今、それを理解したはずですよ」


 だから、そう言ってアリシアは言葉を続けた。


「選べる道を選ぶだけ。悩む必要はありません。その時その時自分が行きたいと思う道を選んでいれば、必ず悔いのない答えに辿り着けるはずです。応援していますよ、司。あなたの使命を、全うしてください」


 そう笑うアリシアの表情はやはり、何かを拒絶するように歪んでいるように見えた。

 ここ数話は自分の頭の中ではまとまっていることをなんか複雑に展開してしまっている気がするんですが、ここからさらに数話かけて綺麗に纏められるよう頑張ってまいりますので、以後ご期待ください。よろしくお願いします!


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