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その瞳に映るのは

 総合pv94000突破しました、どうもシファニーです。四月中には100000pv行けますかね? 応援よろしくお願いします!

 間章も三話目ですね。え? いつまで続くのかって? 切りのいいところまで、ですかね(遠い目


 第二百三部、間章第三話『その瞳に映るのは』です。どうぞ!

 ダンジョン、思っていた以上に楽ではないらしい。


「リルさん、大丈夫そうですか?」

「問題はない」


 ダンジョンを進んだ先には、下へと向かう階段があった。どうやらこのダンジョンは階層を増すごとに難易度が増す、と言う傾向があるらしく、ここまで三度階段を下り、階層で言えば四階層だろうか。下る度に厄介になって行く敵に鬱陶しさを覚えつつも進んできた。

 一応ここまでは私一人で何とかしてきたが、ここまで来ると流石に私一人で対処しきるのは困難になり、リルさんに助けを求めた。


 そうして始まったこの、二対数百の戦闘は、始まってから既に三十分近くが経っていた。体力の消耗も激しく、段々と捌くのが難しくなってきたけど堪えている。リルさんに負担を多くかけてしまっているのが申し訳ないが、実力の問題なので仕方がない。


「カレラ嬢、無理だと思ったら退け。カレラ嬢を逃がすくらいなら、今の我にも出来る」

「い、いえ、しかし」

「カレラ嬢を危険な目に合わせるわけにはいかないさ」


 背中を向けるリルさんは、そう言ってファントムたちを蹴散らしていく。目の前に現れたファントムの相手に手いっぱいな私は、その背中をほんの少ししか見られなかった。それでも、大きく、頼もしく見えた。


「だが、我とてこんなところで逃げ帰るのは誇りが許さない。悪いが、もう少しばかり付き合ってもらうとしよう」

「……ええ!」


 自信ありげに呟いた彼の言葉に、私は元気をもらった気がした。声を張ってそう応えた。


「《魔術・炎Ⅹ:ヘル・インフェルノ》」


 魔力はギリギリ、でも、数を減らせば楽になるし、その間に魔力を回復できる。魔法が使えなくても槍が使えるし、リルさんだっている。躊躇なく、大火力を振りまける。


 私の左の手のひらに炎が纏い、燃え上がる。その炎を振り払うように腕を振るえば、通路をすべて埋めるほどの炎が突き進み、次々とファントムたちを焼き殺してゆく。


「リルさん!」

「ああ」


 私が声をかけるとリルさんは私の横を通り、背後へと回る。私もそれに合わせて振り返り、炎も私のそんな動作に伴ってうねり、反対側にいたファントムたちへと向かって行く。炎は異形たちを焼き払い、消えて行った。

 炎が晴れた時、そこには何一つとして残ってはいなかった。


 安堵の息を吐くのもつかの間、急激に重くなった体に耐え切れず、膝を折って崩れ落ちた。


「くっ……」

「魔力が枯渇したか。しかし、よくやってくれた。流石だ、カレラ嬢」

「い、いえ……申し訳ありませんが、少しだけ、休ませてもらってもいいですか?」

「ああ、もちろんだ」


 私の下へと近づいてきたリルさんは、そう言って隣に座った。

 しばらく静寂が続いたが、それを破ったのはリルさんだった。


「カレラ嬢は、凄いな。以前までただの貴族の娘だったとは思えぬほど、強く、逞しくなった」

「いえ……それもこれも、外の世界に連れ出してくれた、リルさんたちのおかげです。あの日、リルさんに言われて家を出た日。確かに悲しくて、怖かったですけど、後悔なんて一度もしたことはありません。本当に、感謝しています」

「……そうか」


 そう小さく呟いて、リルさんはまた黙り込んでしまった。何か話そう、とは思うものの、話題なんてすぐには思いつかなかった。

 十分もすれば動けるくらいには体が軽くなり、出発できるくらいに回復したが、まだ、どうにも起き上がる気にはなれなかった。


「あの、リルさ――」

「そうだ、カレラ嬢」

「っ!? な、何でしょうか?」


 何とか絞り出した声は、しかしリルさんによってかき消された。思わず動揺し、声が上ずってしまった。


「む? すまん、何だ?」

「い、いえ、大したことではありませんから」

「そうか? ならば、我から言わせてもらおう」


 小さく一呼吸おいて、心を落ち着ける。どうにもリルさんの前だと変に緊張してしまう。


「不死鳥の力には、いつ開花したのだ? 生まれつきか?」

「そう、ですね……幼少期、魔獣に襲われて、その時はじめて気づきましたが……私が死にそうなときに来てくれる、と言うことしかわかりませんからね。生まれつきあった能力がどうかは、良く分かりません」

「そうか。しかし、幼少期に扱え、今でも使えているのだから、天性のものだと考えるのが普通だろうな」

「そうですね。それが、どうかしたんですか?」

「いや、少し気になっただけだ」


 そう言うとリルさんはダンジョンの進行方向の方を向き、立ち上がる。振り返り、私に言ってくる。


「どうだ? もう行けそうか?」

「は、はい。すぐに戦闘するのは少し厳しいかもですが、歩けます」

「そうか。ならば行こう。ここにずっといても、何もないからな」

「そうですね、分かりました」


 手を壁に付き、何とか立ち上がる。壁から手を離し、少しふらつく足で堪える。何とか立ったのを見てか、リルさんはゆっくりと歩き出した。


「では、行こうか」

「はい」


 そう言うリルさんの背について、歩き出す。

 リルさんは一度こちらを振り返り、もう一度前を見て歩き出した。


 時々、リルさんから心配するような視線を向けられる。それは、私が弱いから、そして、私が何か被害を受けると司さんにも被害があるから、なんて最初は思っていたけれど、どこかそうとは思えない自分がいた。

 それは、とても他人に向けるような視線ではなく、どこか温もりある、心からの心配である、と。


 自意識過剰と言われたらそれまでだが、そこには、強い確信があった。この感覚が何なのか、私にはまだ分からなかった。

 最近は『機動戦士ガンダムV』を見ています。え? 春アニメは? って? このすば新作、水星の魔女、鬼滅や異世スマ二期、くまクマの二期などなど、見たい作品は沢山あります。ただ、追うのが大変なのでアマプラに来たやつだけ見ます。夜は弱いんです。


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