表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

198/352

覚醒

 春休みが残り一日となった今日この頃、どうもシファニーです。総合pvも91000を超え、私はとっても嬉しいです。


 第百九十八部、第六章第三十七話『覚醒』です。どうぞ!

「なあ、黒江」

「ん? どうしたの? お兄ちゃん」


 可愛い妹が上目遣いで見上げる瞳に映る俺は、もう、どこか淀んでいたんだ。


「お前のことが好きだよ」

「どうしたの、突然。……私もだよ、大丈夫」

「そうか、よかった」


 親を失い、二人で生きてきた人生。子どもだけで生きるその時間に、望んでいたような自由はなかった。支えのない日々は、あまりにも心細くて。それでも抱き合って生きてきた俺たち二人。挫けることなく、信じあったこの数年。たった一つの後悔も、なかったんだ。


「なあ、かな。お前さんはいつも暇そうにしてるな」

「にゃ~」


 その黄色い瞳を閉じて大きくあくびをしながら喉を撫でられ、気持ちよさそうに寝ているかなに語らいかけながら、俺は雨降る空を見上げた。神社の軒下で雨宿り。虹のかかるのを待つように、二人梅雨の日を過ごすのだ。


「かな、一緒にいてくれてありがとうな」

「にゃ~?」

「なんでもない」


 伝わるはずのない言葉を紡いだのは、この子猫に何か縋っているからだろうか。身寄りがないからって子猫に縋るのはどうかと思うが、こいつだって大事な家族だ。こんなにも懐いてくれた猫一匹、大切に出来ないようじゃ情けない。

 だから、こいつのために使った時間、そして、失ったもの。そのすべては、必要なことだったんだ。だから、後悔なんてないんだ。


「なあ、ソルは今が楽しいか?」

「楽しいんだろうけど、急にどうしたの?」


 静かな部屋の一角で、見とれるほどに美しい金色の衣を持つソルを、俺はじっと見つめてそう聞いた。何でもない風に答えるソルが、どこか、隅に置けない、友のように思えて。


「――でも、忘れないで。今私が楽しめているのはあなたのおかげだから。ね?」 

 

 不思議と、その言葉を疑うことは出来なかった。俺に向けられた真っすぐな瞳が、輝かんばかりの笑顔が、俺を照らした気がしたんだ。

 親友のように、家族のように、接してくれていたんだ。ソルはソルなりに、俺のことを……好いていてくれたんだ。だから、一緒に居たい、信じていたい、って思えた。信じられたい、って思った。そんな本心に気付くのに、時間を使い過ぎたのかもしれない。

 だから俺は、後悔なんてしたくない。


 こんなところで、死ぬわけにはいかないんだ。


《報告:名前:司の一定以上の強い生存祈願を確認。これより、精神帯、及び肉体の完全修復を開始します》


 それは、たった一人の少年の、それでもとても絶大な、たった一筋の物語。そこに眠る想いによって、少年は今、目覚める。


《報告:スキル《万全の期》による肉体の修復に成功。意識の移動を開始します》

《報告;スキル《無崩の幕》による肉体の強化を事前準備、成功しました》

《報告:スキル《魔術・空間Ⅹ》による転移の事前準備、成功しました》


《名前:司、幸運を祈ります》


 ああ、しんさん。ありがとな。俺はもう、すべてを思い出した。今更、誰にも負けはしない。


《報告:残存していた精霊核の補強が完了しました。種族名:種より、種族名:精霊人へと進化します》


 俺の意識は、覚醒した。


 目の前に聳え立つ邪神の様は、相変わらず禍々しくて無駄にでかい。勝てるビジョンが浮かばないが、それはただ俺の想像力が乏しいに過ぎない。今の俺に、敵はいない。


種族:人間・精霊人

名前:司:固有権能《能力使い:スキルのレベルアップ、能力開花及び進化に必要な熟練度が大幅に下がる》

レベル:74

生命力:19023/19032 攻撃力:10921 防御力:8019 魔力:10892/10892

状態:制約・奴隷

スキル:属性剣術Ⅹ、剣王、気配察知、魔力感知Ⅹ、森羅万象、解析鑑定、無崩の幕、万全の期、千羅の腕、飛裂の羽、賢斬の的、永貌の瞳、物理攻撃耐性Ⅵ、魔法耐性Ⅶ、精神攻撃耐性Ⅵ、魔術・氷Ⅹ、魔術・空間Ⅹ、冷徹者、分割思考

権利:生きようとする権利

称号:起死回生、殺戮者、冷徹者、超人


 ステータスで敵わない? そんなことは関係ない。今の俺が負けない理由は、そこにない。


「邪神ってことは悪だよな。悪ってことは正義の敵だよな。じゃあさ、正義に負けてくれないか? 俺の中にある、正義に」


 重低音が響き渡り、邪神の頭上に数多の魔法陣が浮かび上がる。黒く染まった命の色は俺の視界を覆いつくす。怨念の塊が、放たれる。


「《無崩の幕》」


 俺に襲い来る漆黒の塊は触れると同時に弾け、散り散りになる。


「《飛裂の羽》、っと。そんでもって、《クリエイト・クリスタル》」


 宙へと登り、剣を握る。浮遊感など感じない。あるのは万能感だけ。


「《剣王》《属性剣術・空間》」


 弾幕のように張り巡らされた邪悪を掻い潜り、その手に握る剣を振るう。氷は触れると同時に砕け散り、爆発四散する。


「どんくらい削ったかな、っと」


 生命力:18290/20991


「二千も削れりゃ上等だ。あと十発? やってやるさ《分割思考》《千羅の腕》」


 見えない腕って、相手からするとどんな感覚何だろうな。分割思考で生み出した十本の氷の剣が、視認できない九つの腕に握られた。無崩の幕に覆われた俺の体は、空を駆け、邪神へと突撃する。俺の周囲を浮遊する氷の剣もまた、邪神へと突き付けられた。

 突き刺さった氷の剣が破裂し、邪神を襲う。


 生命力:20/20991


「最後の一発を、食らうんだな!」


 振り上げられた俺の拳が、魔力を籠めて振り下ろされる。


「《賢斬の、的》」


 生命力:0/20991


 世界が、砕け散った。

 連日『機動戦士ガンダムoo』を視聴して、映画まで見たんですけど、興奮が止みません。誰ですかこんな神作品を生んだのは! え? オリジナルアニメ? クオリティーやばくない? しかもアニメTV放送版をリメイクした映画が三本ある? これは視なきゃ。

 と言うわけでガンダムooのとりこなわけですが、私はフェルトちゃんが推しです。刹那と結ばれて欲しいけど……なんて感想は置いておいて、十数年前の作品ですが、私が自信を持ってお勧めできるガンダム作品です。水星の魔女をきっかけでガンダムを知った人も増えたと思うので、機会があれば見てほしいと思います。


 ブックマーク登録、いいね、評価、感想等頂けると幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ