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ピンチ

 またもや総合pvのお知らせ、87000pvを超えました、どうもシファニーです。本当に、嬉しい限りです!

 最近のペースを考えれば、近いうちに10万pvも達成できそうです。出来れば二百話突入までに達成したいですね。

 

 第百八十九部、第六章二十八話『ピンチ』です。どうぞ!

「《バーニング・ノヴァ》ッー!!」


 極大の炎の塊が視界を覆うと同時に放たれ、ちょうど落下してきた天井の瓦礫と触れ、爆ぜた。

 

 その衝撃は辺りに拡散し、次々と広がり頭上から落ちていた瓦礫たちを吹き飛ばす。一瞬の間で頭上に存在した瓦礫のすべてを貫き、天井すらも消し飛ばした爆炎が晴れた頃、俺たちが居たはずの神殿は変貌を遂げていた。

 

 壁は歪み、太陽の光が差し込み始めたはずの天井が塞がった。そこら中にあった照明が消え去り、通路が薄れて行く。壁が消え、開けた空間へと変化する。

 やがて形を持ち始めたその空間は広大で、それこそリルと戦ったダンジョンのような、ボス戦を思わせる大広間。いや、実際にボス戦が始まりそうだった。


 まだ視界には映らない。しかし確かに気配として存在する五つの巨大な存在。それぞれが同じような力を持ち、それでいてソルやルナに匹敵しそうなほどの魔力を感じられる。しかし、やはり感じられるのは悪魔のような魔力。その邪とも思える魔力を持つ相手で今まで碌な奴はいなかった。

 そして何より、ここは邪神教なんていう怪しい集団の本拠地だ。何だか良く分からない術を使ってくるし、ただ者でない者は確かだ。


「お前ら、何が来るかはわからんがやばい奴が、って……あれ?」


 目の前に現れた大きな存在感に気を取られていたのか、今まで気付かなかった。いや、もしかしたらそれは本当に一瞬の出来事で気付く気付かないの問題ではなかったのかもしれない。

 後ろにいたはずのかなと黒江、ソルが姿を消し、目の前にあったはずの五つの反応は一つに減った。


「何が起きてる? と言うか、これまた細工されてるぞ。チッ」


 思わず出た舌打ち。あいつらの反応が姿を消したこと、それ自体が問題なんじゃない。あいつらは個々が強く、離れ離れになろうとも何とかしてしまうだけの力がある。何が問題かって言うと。


「俺が、ソルやルナに匹敵する化け物と、一対一で戦わされる。いつかはあるだろうと思っていたが、想定以上に早かったな」


 思わず頬を引きつらせながら、目の前で肥大化していく反応を一点に見つめる。

 

 そうしてそこに現れたのは全長十メートル近くになる大きな人影。

 なんと言ったらいいのか。修道服のようなものを頭からかぶり、その足元までを完全に覆っている。袖から覗く腕は異様に細く、今にも折れそうな木の枝の様。深く被った修道服のせいで顔は見えないが、きっと人間のそれとは大きく異なっているのだろう。

 

 ぱっと見の感想はどでかいスケルトンだが、そんな軟な存在じゃないことだけは確かだ。


「解析鑑定」


種族:下位神・邪神

名前:ヨグ・ソトース:固有権能《司空者:空間を自在に操る》

レベル:72 

生命力:20991/20991 攻撃力:29182 防御力:30955 魔力:19281/19281

状態:正常

スキル:魔術・闇Ⅹ、闇世界門、魔爪Ⅹ、自然治癒Ⅹ、魔力自動回復Ⅹ、物理攻撃耐性Ⅹ、魔法耐性Ⅹ、状態異常耐性Ⅹ、精神攻撃耐性Ⅹ、即死無効

権利:基本的生物権、自己防衛の権利、自己回復の権利、魔術使用の権利

称号:殺戮者、邪神


《邪神:邪神に与えられる称号。生物の死の感情を力に変える》


 下位神。それは、まさしく神に与えられる称号。そのステータスは以前戦った中位神アトラスと比べれば大きく劣るが、その実、全体的に見ればソルのそれを大きく上回っていた。今まで戦ってきた中で最も近い強さの奴を上げるのなら、アトラスの前座として出てきた天使だろうか。

 生命力が二万を超え、攻撃、防御は約三万。魔力も二万とどこを見たって不足はない。唯一の救いはそのスキルが少ないことだろうか。単純な能力だけを、どこか不自然に与えられたようなスキル欄だが、これは天使たちやアトラスと同じ。


 どうやら、正真正銘邪神様らしい。


 それに比べて今の俺のスペックはと言うと


種族:人間・精魔人

名前:司:固有権能《能力使い:スキルのレベルアップ、能力開花及び進化に必要な熟練度が大幅に下がる》

レベル:68

生命力:3450/3450 攻撃力:4192 防御力:3490 魔力:5388/5930

状態:制約・奴隷

スキル:属性剣Ⅸ、気配察知、魔力感知Ⅸ、森羅万象、解析鑑定、皮膚剛化Ⅸ、物理攻撃耐性Ⅷ、魔法耐性Ⅸ、精神攻撃耐性Ⅶ、魔術・氷Ⅹ、冷徹者、分割思考、魔力自動回復Ⅷ

権利:生きようとする権利

称号:起死回生、殺戮者、冷徹者、超人


 基礎スペックが弱すぎた。いや、正直言ってこれでもかなり強くなった方なのだ。それに普段からリルがいる前提だったから俺自身の強さはそこまで重視していなかった。これでも人間界では最強格だと思うのだが、相手が悪すぎた。

 今までどうにかなっていたのはここにリルのステータスやスキルのほとんどが上乗せされていたことと、俺の陰湿な立ち回りをカバーできる火力役がたくさんいたからだった。何をどうあがいたって今の俺一人で、この目の前に立つ邪神を倒せる、なんてありえないだろう。


 ああそうだ。この世界ではステータスやスキルがすべてではない。ただ、そのステータスとスキルの差が、圧倒的な力の差になりうることを、俺は知っている。

 だからやばいのだ。


「他に居たのはこいつの分身か兄弟だろうな。だったら俺は、ここで死ぬ気で生きればいいんだな。まったく情けない話ではあるが、あいつらが助けに来てくれるまで待つしかなさそうだしな!」


 と、言うわけで俺お得意の鬼ごっこを始めるのだった。

 あれ? 主人公なのに力の伸び具合悪くない? と思いのあなた、その通りです。最初の最初から言っている通り、司君は強くなることはありません。だって甘やかされて緩い人生を送るお話ですから(?)。ええ、絶対に強くなることなんてないんですよ。

 

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