神殿
総合pvが86000を突破しました! ありがとうございます。最近更新する度にpv報告が出来て嬉しく思います、どうもシファニーです。
いやぁ、数か月前までさぼりにさぼりまくっていた更新が最近は若干マシになり、読んでくれる方も増えて私は嬉しい限りです。
第百八十八部、第六章第二十七話『神殿』です。どうぞ!
「ねえ、真っすぐ走ってたはずだよね?」
「そのはずなんだが……気配察知とか魔力感知にも違和感はないし……これ、何か特殊な魔法で小細工されてるな。ただ、俺やかなでも分からないような妨害をするって相当な実力者だぞ」
「ん、全然分からなかった。臭いもおかしなところない」
迷っている。そう確信を持つまでにかかった時間は短かったが、短時間であろうとも俺とかなの意識を誤魔化した。それだけで相手の腕が確かであることが伺える。しかしまあ、納得はしかねるがな。
「この神殿自体ソルや俺の完治すら掻い潜るものだったんだが……そんなに実力がある者がいて一切気配がしないのはおかしくないか?」
「まあ、確かに。でも、悪意の気配はしっかり感じてるよ。この神殿全体に、だけど」
「お外は臭いで分かったけど、ここはそこら中から臭いしてて、分かんない」
「う~む」
立ち止まって考えるが、どうにも結論は出ない。このまま突き進んだとしてボスのいる場所に辿り着けるとも思えないし、何ならそのボス自体俺たちじゃあ敵わない相手の可能性も出てきた。それこそ、ソルに匹敵する、もしくはそれ以上の存在の可能性が。
ソル以上の存在とか、始祖竜と巨神だけでいいんだけどな。あと可能性としてはダンジョンマスターたちか。どちらにしても、ソルとの合流をしておきたいところだが……。
「あいつの気配、移動しまくってるんだよな」
「ん、あっち行ったり、こっち行ったり」
「どういうこと?」
ソルの気配を追ってみるとこの神殿内を縦横無尽に駆け巡っている。ソルが活発に活動しているのか? と問われたらそうではないだろう。恐らくこれはきっと、ソルの位置座標が定期的に動かされているのだ。
「俺たちがこうして小細工されて迷わされているように、ソルの居場所も定期的に変更されているんだと思う。きっとここのボスはこの神殿内の構造を自在に操れるんじゃないか?」
「うわー、悪質。それ答えがないクイズじゃん」
「そう聞くと本当に悪質だな……」
なぞなぞとかクイズって、もちろん答えがあるから成立するんだが、問題の作成者が答えをいくらでも変えられるのなら解答者に勝ち目はない。つまり俺たちは今そんな状態にあるのだ。
「くそ、ソルとの合流も難しそうだが……かな、一応聞くけど転移は出来そうか?」
「たぶん無理。精霊の声がしないし、お外がどうなってるか分からない」
「だろうな」
転移系のスキルの無効化はそこまで難しくないらしいからな。以前ソルから受けたこともあったが、やり方を聞いたら至極簡単なことだった。
魔術・空間Ⅳに存在する『フェイク』という魔法一つ張るだけで転移先を認識できなくなり、転移が不可能となるらしい。元より転移魔法を習得している時点で高位の魔法使いであるからして、レベルをⅣまで上げるのは容易なこと。転移を可能とする能力者ならば誰でもできると言っても過言ではないのだ。
それにかなの場合は転移先の座標への道筋を精霊にも示してもらってその転移位置を微調整するのだが、この場には精霊すらもいないらしい。万物に宿ると言われている精霊がいないって、どれだけ邪悪な空間なんだ。
「となると最終手段は壁をぶち抜く、とかだな」
「そうだね。大きいから下敷きになると面倒だし最終手段だと思ってたけど、そんなこと言ってられそうにないしね」
黒江に言われて辺りを見渡せば、立ち止まっていた俺たちの周りには結構な数の邪人が存在していた。一応喋りながらも対処していたのだが、その数が異常だ。たっく、何人の信徒を抱えているのやら。
それとも、操っているのだろうか。
「じゃあ、壁壊しちゃうけどいいよね」
「ああ、やっちゃってくれ」
「りょーかい! すっ――」
鋭く息を吸い込んだ黒江が剣を振り上げる。その剣は淡い金色の光を放っており、それが聖気であることは一目瞭然であった。
「《エクスプロード》ッ!」
光が形を持ち、刃となる。全長五メートルを超えたその剣が振りかざれると、壁は触れる端から、消滅していった。
「えっ!?」
「っ!? この壁、物質じゃない。生きてる、って言うのか!?」
聖気には特定のものを消滅させる作用がある。その特定のもの、と言うのは主に魂の核、そして悪魔やその類であるのだが――
目の前の壁は肉体が腐り落ちるかのようにドロドロになり、塵となって消えた。その腐食は剣の触れていない部分にも広がり、どんどんとその範囲を広げていく。そして、それに伴って神殿内部に変化が起こる。
「はっ!? 気配が、三つ、四つ、いや、幾つだ!? 分からないが、ソルくらいの化け物がそこら中にいるぞ!」
「ええ!? ほ、本当に何事!? って、なんか地面揺れてない!?」
「ふらふらするっ」
今までに感じたことのないくらいの地震? により神殿内部は崩壊を開始した。黒江が消滅させた壁から始まり、天井から床まですべてにひびが入り、崩れ始める。
それと同時、俺の脳内に極大の気配を持つ存在が少なくとも四つ、現れた。しかしそれぞれが先ほどまでのソルの気配同様に入り乱れ、縦横無尽に駆け回っているせいで詳細な数が把握しきれない。
かくいうソルはと言うと。
「やっと見つけた! こっち来なさい! 生き埋めになるわよ!?」
「ソル! ああ、今行く!」
崩れかけた壁を蹴り、完全に崩壊させながらもこちらへと駆け付けた。どうやらこの崩壊が始まると同時にソルの移動は収まったようだ。
俺たちがソルに駆け寄ると同時、ソルはその両手を上へと掲げて叫んだ。
「《バーニング・ノヴァ》ッー!!」
極大の炎の塊が視界を覆うと同時に放たれ、ちょうど落下してきた天井の瓦礫と触れ、爆ぜた。
そう言えば『問題児たちが異世界から来るようですよ?』を視聴しました。今から十年前もアニメですがストーリーは最高ですし、絵柄も好みで二期来ないのかな? なんて思っていたらどうやら小説や漫画の宣伝目的のアニメであり、続編は期待できないとのこと。
昔はそう言うアニメが多かったらしいですが、普通に原作を買いそうになるからやめて欲しい。いや、それが目的なんでしょうけど。落ちはありません。
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