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突然の襲撃

 どうも、本当に執筆をさぼり気味です。シファニーです。

 またもや一週間以上の間隔をあけての更新ですが、体調不良やテスト期間などが重なりこうなったことを謝罪申し上げます。

 あと、総合pv79000突破、ありがとうございます!


 第百八十二部、第六章第二十一話『突然の襲撃』です。どうぞ!

「お兄ちゃんたち、何してるの?」


 助け出した少年がそんな風に聞いてくるが、敵の存在が見えていなかったのだから当然と言えば当然か。

 とりあえず、話を聞いてみるか。


「今、お前は怖い魔物に襲われてたんだよ。目に見えない敵にな」

「て、敵? 魔物? 分からなかったけど……」

「知らないのか? ここは目に見えない魔物が出る場所だぞ?」

「そ、そうなの?」


 少年の驚く顔は冗談には見えなく、本当に知らなかったんだと思う。でも、そんなことも知らずにこんな子供一人で何しに来たんだろうか。


「うん、このお兄さんは嘘ついてないよ。危ない場所だから、ここから早く離れたほうが良いよ」

「で、でも……」


 黒江に諭されてどこか不安そうな表情を浮かべながらも食い下がる少年。どうやら何か大切な理由があるらしい。しかしまあ、なんとなく理由は分かる。しっかりフラグは立ってたからな。


「どれ、薬草が欲しいなら分けてやるぞ。だから、早く帰ろうな」

「えっ、えっ、なんで欲しいのが薬草だってわかったの?」

「何言ってんだよ。ここら辺にはこれしかないし、わざわざお前みたいな子どもが来る理由なんて、それしかないだろ?」


 親とか兄弟とかが病気に侵されて比すようになった、ってところだろうか。俺が摘み取った薬草の籠を差し出してやると、少年は涙を浮かべながらも嬉しそうに笑った。


「うん! ありがとう、お兄ちゃん!」

「おう。でもまあ帰りも危険だし、一緒に帰るか、って思ったんだが……」

「どうかしたの?」


 かなの猫耳フードが何かに反応したようにピンと立った。……おかしいな。あれはあくまでフードで合って猫耳じゃないはずなんだが。


「魔物だ。厄介なことこの上ないが、それなりの数が来てるぞ」

「ええ!? ど、どうするの!?」

「安心して。私たち、とっても強いんだから」


 俺の言葉に動揺する少年を、優しく安心させようとする黒江。

 しかし実際はそんな簡単にはいかなそうだ。


 今までではあり得ないくらいの集団がこちらに向かってきている。群れを成す習性があるってのは分かっているのだが、いくらなんでも多すぎだろう。ざっと数えても数百匹はいた。ここでこの少年を庇いながら戦うのは、どうにも難しそうだ。


「かな、この子を連れて行ったん街へ戻ってくれるか?」

「ん、分かった。すぐ戻る」

「えっ!? えっ!?」

「暴れないで」


 かなは一つ返事で少年の首根っこ掴んで抱えて走って行った。あっという間に見えなくなり、敵の包囲網を抜け出した。かなに任せておけばまあ大丈夫だろう。

 一瞬の間にいなくなったかなを見送りながら、少年に目線を合わせるために屈んでいた黒江は立ち上がる。


「どうしてかなちゃんに任せたの? 魔物が見えない私の方がよくなかった?」

「ん? ああ、かなの方が帰って来るのが早いからな。もうすぐ帰って来るだろう」

「え? いくらなんでもそんな――」


 刻一刻と魔物たちの集団はこちらに向かってくるが、正直言って負けるはずはない。俺たちは余裕の表情を浮かべながら軽い感じで会話を続ける。


 そんな中、空間の歪みを感じ取った俺は目の前の何もない空間を指差してやる。空間系の力を持たない黒江は小さく首を傾げる。

 そしてその数秒後、空間が小さく歪み、一瞬漆黒の穴が浮かんだかと思えば、その穴からかなが飛び出してきた。


「えっ!? 何今の、テレポート?」

「ん、森の中には精霊が多いから、簡単」

「お帰り、お疲れ様」

「ん」


 黒江が驚く中、かなは俺の腰に抱き着いて頬擦りしてくる。軽く頭を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めた。


「……なんだかんだ分かってたけど、かなちゃんはちゃんと人間じゃないよね」

「元が猫だからな。察してるとは思うけど、人どころか、ただの獣人でもない。精霊を操る格闘家だ」

「ん、司は、かなが守る」


 顔を上げて拳を握って見せたかなは、俺から離れてやる気満々に一歩を踏み出し、魔物たちと対峙する。


「『皮膚剛化』、『水月華』、『銀月』、『神速』――」


 小さく唱えたかなの肉体は、目に見えて物質を超過する。


「なんだか、お任せしてもよさそうな雰囲気だね」

「ああ、どうせならかなの戦いっぷりを黒に見てもらおうと思うよ。仲間がどれくらい強いかってのは、知っておくべきだろ?」

「だね。そうなると、今度はお兄ちゃんの戦いっぷりも見せてもらわないと」

「それはお互い様だ。……さて、かな、頑張れよ!」

「んっ! 『精霊完全支配』ッ、『魔拳』ッ!!」


 バッ、と輝いたかなの体は、光に匹敵するかのような速度で辺りを駆け巡り、見えない敵に襲い掛かる。日々精霊も成長し、実は未だリルの作り出す闇世界での鍛錬を続けているかなは、ここ最近見せなかった全力を見せてくれる。

 魔力量も始祖竜との戦闘時から大きく増えているし、戦闘センスもいっそう研ぎ澄まされている。


 分かりきっていたことだが、かなは危なげなく数百体の魔物相手に完勝を収めたのだった。


「ふぁ……疲れた」


 縦横無尽に駆け回っていた閃光が動きを止め、最初に立っていた場所に敵が現れた。敵を一掃するまでに要した時間、僅か五分程度。この子はもう、俺とは比べ物にならないくらいに強くなっている。


 眠たそうに目を擦りながら、気の抜けたように歩み寄って来るかなを、俺はそっと抱き上げてやる。

 猫を抱くように抱えてやれば、すぐに寝息が聞こえてきた。


「こんなにかわいいのに、あんなに戦えるなんて。この寝顔を見てたら想像もできないね」

「ああ。さて、かなの強さも良く分かったことだし、少年のことも気になる。一応依頼達成分くらいの薬草は手元に残ってるから、ギルドに行ってから、少年を探すとしよう」

「だね。さ、帰ろっか」


 おいていた薬草の入った鞄を持ち上げ、俺たちは街へと帰った。

 絶対に、ただでさえ冴えてなどいなかった執筆力がさらに低下している、と自分で思うんですがいかがだったでしょうか。日々の積み重ねって、本当に大事なんだと痛感する次第です。今後も頑張りますので、応援よろしくお願いします。


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