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プレゼント

 作品が終わりに近づくほど続きを書くのが難しくなることに気付きました、どうもシファニーです。

 また一週間以上も更新をさぼってしまったわけですが、自分の頭の中だけでは終わりが近づいていることがわかるのですが、終わらせたくないって思ってしまうのは普通なんですかね? 長引かせるような展開を作りたくなってしまって何度も書き直しました。


 第百八十部、第六章第十九話『プレゼント』です。どうぞ!

 黒江とゆったりとした一日を過ごした、その翌日。俺たちは街に出て買い物をしていた。


「ここら辺では冒険者は、一週間くらいに一度大きな依頼を熟して生計を立ててることがほとんどでね。特に私たちみたいな勇者パーティーは難しい依頼をどんどん受けられるから滅多に働かなくても食べて行けるの。だから、しばらくは結局暇になるんだ」


 黒江曰くそう言うことらしく、久しぶりに気を休めることが出来そうだった。

 なんだかんだ言って後に何も待ってない、自由な時間と言うのはこっちに来てからほとんどなかった。数日自由になる時間があったとしても、そこまで休まるような雰囲気ではないことがほとんどだった。

 だからこそ、今は気を抜いて緊張感を解き、のんびりと過ごしたい気分だった。


「何か見たいものはある? 案内するよ」


 かなを間に挟んで手を取りながら、黒江と並んで歩く。俺と黒江とで両手を繋いだかなも楽しそうに笑っていて、本当に和やかな空気が流れていた。


「そうだな。正直言って日常で必要な物はないからなぁ。お前もあれだろ? 服はいらないだろ?」

「うん。想像しただけで形を変えられる服。なんで持ってるのか分からなかったけど、神様からの贈り物、ってことなのかな?」

「そうっぽいな」


 それについては確認しなかったが、俺たちがこっちに来てから着ているこの服は、想像しただけで形状変化できる特別製だ。魔力を思念に変えて伝導させ、魔力によって形状が変化する特殊な布で出来ている、と言う説明をしんさんにしてもらったことがある。

 聞いた時はふーん、程度に思っていたが、神に貰ったものと思ってみれば貴重品のように思えるのだから不思議だ。


「俺は精魔人って言って、人の域を超えてるから食事は必須じゃない。体の汚れは魔法でどうにでもできるし、道具だって作れるからな。……やっぱり、必需品みたいなものはないよな」

「私も似たような感じかな。ご飯は流石に食べなきゃだけど、普通の人より長く持つし。昔だったら節約できるって喜んでたかもだけど、今は別にお金に困ったりしてないからむしろ持て余しちゃうんだよねぇ」


 どこの街に行っても普通売られているのは一般人用のものだ。俺たちみたいな超越者が気軽に購入できるような代物はそうそう売っていない。そもそも、俺たちが欲しいと思うものが少ないのだ。商人たちがまともに商売相手として俺たちを認識するとも思えない。


「うーん……じゃあ、あっちじゃまともに買ってやることも出来なかったし、アクセサリーみたいなものでも探すか」

「おっ、お兄ちゃんが女の子にプレゼントあげようなんて考えられるようになってる。人って成長するんだね」

「あのなぁ……今までは上げる相手がいなかっただけだ。金も無かったし。でも今は金はあるし、妹へのプレゼントも悪くないと思ってな」

「うんうん、私は嬉しいよ」


 そう言ってにっ、と笑って見せる黒江は、本当に嬉しそうだった。


「司、かなも欲しい」

「おう、買ってやるぞ。と言っても俺のセンスは信用できないからな。黒に選んでもらえ」

「ううん、司が選んだやつなら、何でもいい」

「そうか? じゃあ分かった。任せておけ」

「ん」


 かなもわずかながらも口端を上げ、笑みを見せた。

 女の子は何かプレゼントしてもらうだけでも喜ぶものなのだろうか。相も変わらず女性経験は少ないから良く分からないが、好感度が上がっている実感はある。

 いやまぁ、かなには元から懐かれてるし妹の好感度を上げる意味があるかはわからないが。


「それじゃあ装飾品を扱っているお店に行こうか。気になってるブレスレットがあったんだ!」

「ん、楽しみ」

「おう、行くぞ」


 三人で並んで道を進み、大通りを外れた通路の先にその店はあった。

 様々な宝石を加工した色とりどりのアクセサリーが店先の窓から見えて、見るからにお高そうなお店だが躊躇もせずに中に入る。


「いらっしゃいませ」


 奥のレジと思われるところから店員らしき女性が言うのを聞いて、店に並べられているアクセサリーを見て回る。


「あ、これこれ。綺麗じゃない?」


 窓際に並べられたブレスレットを手に取って、黒江が俺に見せてくる。

 それは桃色の宝石が埋められた銀色のブレスレットで、波打った形をしていて小さな王冠にも見える。サイズ的には黒江にピッタリのようだし、デザインとしては派手過ぎず地味すぎず黒江に似合っているように見える。


「付けてみたらどうだ?」

「うん」


 黒江が自身の左手首にブレスレットを通し、こちらに手を差し出してくる。

 白銀色のリングの上に淡い桃色の宝石は良く映えるし、白く張りのある肌には良くマッチしている。もちろんアクセサリーを見る眼に自信なんてないが個人的な好みで言えば似合っていると思えた。


「ああ、似合ってるぞ」

「そっか、ありがと。じゃあ、これにしようかな」


 嬉しそうに笑う黒江は、ブレスレットを外して手に取って。今度はかなの方を向いて小さく屈む。


「かなちゃんも、好きなものを探していいんだよ」

「ん。わかった。司、付いてきて」

「ああ」


 かなに合わせて店を見てまわる。興味深げにアクセサリーを見て回るかなは、やはりどこか楽しそうだった。

 

 長編って書き出しが楽しくて、中盤にこだわって、終わりを大切にしたほうが良いなんて聞いたことがあるんですけど、実際それって難しいですよね。終わりを大切にしたい我ばかりになかなか区切りをつけられなくって、終わらせるのが嫌になっている自分がいるんですけど、私の感覚はおかしいんですかね?


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