ソウルモンスター
ご無沙汰しております、シファニーです。ここ最近は十万文字くらいで完結する予定の短編(?)小説書いてました。サボってしまってすいません。
しております、シファニーです。ここ最近は十万文字くらいで完結する予定の短編(?)小説書いてました。サボってしまってすいません。
第百七十七部、第六章第十六話『ソウルモンスター』です。どうぞ!
俺が虎型の魔物を倒すと、何もなかった空間からそれなりの大きさの半透明の結晶体が落ちてきた。
それをみて、何が起こったのか分かっていない様子だったテトも俺が本当に魔物を討伐したのだと理解したらしい。動き出して結晶体を回収した後で俺の方を振り返っていった。
「本当に強いんですね! 流石、クロさんのお兄さんです」
「まあ、あいつには負けてそうだけどな。しっかし、ここにはあんな感じの魔物しかいないのか? 敵が見えないってのは、やっぱり違和感凄いんだよな」
この世界の戦闘は格ゲーだ。俺の中で確立した説ではあるが、あながち間違っていないと今でも思っている。能力を適切に使い、体を動かす。この体を動かすという部分だが、きっと前世の頃と身体能力に差がありすぎて格ゲーに近づいている。
自分の体にコマンドを打ち込む、と言うか理想の動きを想像するとその通りに動いてくれるのだ。もちろん、次元を超えるだとか物理的に不可能なレベルの動きは不可能だがこの体なら大抵のことが可能だ。
だから、自分と対峙している存在に対してこんな動きをすれば勝てる、みたいな動きを明確に想像できるとかなり楽に勝てる。しかし大抵のゲームがそうであるようにいくら理想の動きを想像できても実際に戦ってみないとそれが本当に有効かどうかがいまいちわからない。
まあつまり、見えない敵相手だと俺の戦法が通用しづらいということだ。
「でも、十分戦えているんじゃないですか? このサイズの結晶体が落ちるということはこのダンジョンでもかなり上級の魔物だと思います。それを余裕で、しかも複数体同時に討伐したんですから、それだけで凄いと思います」
「俺より強そうな君に言われても、皮肉にしか聞こえない、って言おうとしたけど本心から言ってそうなんだよなぁ……」
「あはは……よく言われます。僕が言うと、冗談や皮肉に聞こえないって」
それが本当なら、周りからもそうとう評価されているということだろう。これが人望と言うものだろうか。俺にも少しだけ分けてほしかった。
それはそうと、結局何も手伝う素振りがなかった二人は後ろの方でお互いに不愛想な顔を浮かべて佇んでいた。何を話すでも何をするでもなく突っ立ってられることには尊敬の念を抱いてしまうね。
「それじゃあ、もっと奥に進むか」
「そうですね。もう少し素材を集めておきたいですね。ノルマはすぐに終わりそうですけど、普通に売ってもお金になりますし、多めにとっておいて損することはありません。他の皆さんはどうですか?」
「どっちでもいいわよ」
「どちらでも構わない」
「あ、あはは……だ、大丈夫ですね」
テトからの問いに似たような表情と声音で返した二人に、テトは苦笑いを浮かべながら今度は俺の方を向いて来た。俺としても答えに困ったが、これ以上テトを困らせるの可愛そうなので普通に返してやろう。
「そうだな。じゃあ、どんどん行くぞ!」
と言うわけで探索を進めて行くことにした俺ら一行は、道中度々魔物に襲われながらも順調に進み、ついには最深部までたどり着いてしまった。
このダンジョンも最深部、と言うか最奥部はだだっ広い直方体の空間になっていた。リルがいたところに似ているような気もするが、あそこはもっと装飾が色々あって煌びやかだった。ここはなんというか、倉庫のような味気無さだ。
「ここにダンジョンマスターがいたわけか。と言うか、ここに来るまでに結局黒たちに合わなかったな。途中で鉢合わせるかと思ったんだけど」
「まあ、このダンジョンの迷宮部分は本当におまけ程度で、基本的にここに辿り着くようになってます。途中で合わなくても最後にはここに来るはずですので、もう少し待っていますか? あたり魔物はいないんですよね?」
そのだだっ広い空間の入り口に固まって立っている俺たちのほかに人はいない。黒江の実力はなんとなく掴んでいて、俺たちより早いかと思っていたのだがそんなことはなく俺たちが先についたらしい。
まあ、一番奥で合流しようなんて約束をしていないので先に帰った可能性もあるが、それならそれでルナから連絡があるだろう。いや、あいつなら連絡しないで帰るか。
で、あと一つテトの勘違いを正さなければいけなそうだ。
「いや、魔物は山ほどいるぞ。この部屋の中に二百体くらいはいる」
「え!? じゃ、じゃあどうしてこんな落ち着いてるんですか!?」
「だって攻撃してこないんだもん。たぶん、ここまでの道中で倒しすぎたから怯えられてるんじゃないか?」
「え、ええ……まあ、確かにソウル系は魂の形を覗くのも得意とされていますし、司さんがこれまでにどれだけのソウル系の魔物を倒しているか分かるかもしれませんが……」
などとテトは言うが、俺にも実際のところはどうかわからない。ここに来るまでは他のソウル系の魔物は勢いよく迫って来ていたのだが、この空間に来てからと言うもの一匹も襲ってこない。ソウル系の魔物とやらは今日初めて知ったのだ。その生態については良く分からない。
と、言うわけでしんさんに聞いてみようかな。
そういえば冬アニメ始まりましたね。自分は『隣の天使様』や『魔王学院の不適合者』をすでに見たんですけど、他にもたくさん面白そうなのがあるのでこれからに期待ですね。今年の冬はアニメで忙しくなりそうです。
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