探索開始
更新ペースが一週間ごとくらいになってきました、どうもシファニーです。クリスマスも過ぎ、そろそろ年越し。今年は紅白ではなくアニメを見ながら年を越したいと思う限りですが、帰省するのでWiFi環境がありません。容量が持つかどうか。
第百七十六部、第六章第十五話『探索開始』です。どうぞ!
ソル、テト、リウスを引き連れて俺はダンジョンを進んで行く。ダンジョン、と言って思い出すのはやはりリルと出会ったあそこだろう。石造りに覆われた通路は嫌に冷たく、静けさに満ちている。決して暗いわけではなく、ダンジョン中に、恐らく魔力で維持されているのであろう照明が灯している。
リルがいたダンジョンと違うのは、明らかに人の手が入っているというところだろう。進めば進むほど気配は消えるが、人が生活した跡が残っている。すでに攻略され、人の手の施しようがあったからこそだろう。
このダンジョンの攻略者はエルフクイーンである、リリアの祖先と言うことだがそのリリアは管理下に置くことを放棄したようだ。
「そこ、右」
「ん? ああ」
考え事をしながら進んでいると、リウスが後ろからそう言ってきた。最深部に向かうための道案内をしてくれているようだが、これが凄いのだ。
彼は別にここに来たことがあるわけではない。地図を持っているわけでもない。この広いダンジョン全体のマップを読み取って道案内をしているらしい。これが、探知の勇者の力だろう。解析鑑定をしようとすると逆探知されるようだからどんなスキル、権利を持っているかは分からないがきっと途轍もない探知性能を持っているだろう。
「あ、あの、こんなどんどん進んで大丈夫でしょうか? 目的の素材は、別に上層部でも手に入るはずですし……あまり深くに行くと攻略しているとはいえ危険では……」
なんて弱音を吐くのはテトだ。こいつがまた可愛らしい男で、黒江の近くにいる時はまだましだったがずっと怯えているようなのだ。思わず守ってやりたい、なんて衝動を抱かせる小動物系男子と言ったらいいのだろうか。
と言っても、こいつも勇者。普通の人間と比べたらとんだ化け物だ。
治癒の勇者と言えども身体能力は別格だし、純粋な殴り合いをした場合、自分を永遠に治癒し続ければ負けることはない。瀕死の重傷も一瞬で完治。それどころか、全身を引き裂かれても意識が一瞬でも生きていれば蘇生も可能とのこと。
治癒の勇者、なんていかにも弱そうな役職だが何ならこいつが一番いかれている。
「問題ないさ。黒がどれだけ強いのかは知らないけど、俺もそれなりだから」
「そうね。司はそれなりよ。たぶん、あなたと戦ったら負けそうなくらいだけど」
「マジかよ……何だテト、お前そんなに怯える必要ないだろ」
「えっ!? そ、そんなこと、ありません、よ? 僕なんてリウスさんやクロさんに比べたら貧弱で……」
ソルの解析鑑定は俺のそれと比べて性能は一段以上上らしい。それが示した結果がテトの方が強い、ならばその通りなのだろうにテトは謙遜しかしない。面白味はないが、まあ気弱な人と言えばいいのか。
「あぁあぁ分かった。そんなに心配ならソルとくっついとけ。そいつなら絶対守ってくれるから」
「嫌よ、なんでほぼ初対面のやつを守ってやらなきゃいけないのよ」
「嫌じゃねえって、空気読んでくれ」
「嫌なもんは嫌よ」
「い、いいですよ! 大丈夫です! 僕頑張りますから!」
嫌と抵抗するソルの奮起を察してか、テトが態度を一変させてそう意気込んだ。
それを聞いたソルは、不機嫌そうに腕を組んでジト目をテトに向けた後でそっぽ向いた。こいつはそんなに人見知りだったかな。
「ま、やる気出してくれたならそれでいい。引き続き進むぞ、ってなんか来てないか?」
「来てる。弱いのが五、いや六。見えないと思うがまあ頑張れ」
「なあ、せっかくチーム分けしたんだし団結力を見せないか?」
協力する気が全くないリウスにため息を吐くが、あっちは気にした素振りもなく、武器を構える気配もない。テトはテトでおどおどするばかり。きっと、リウスの助けがないと敵を感知することも出来ないのだろう。非協力的なのは俺たちの力を見たいからだろうか。
まあ、別に隠すような力はさほどない。と言うより、力のほとんどを隠してもここいらの雑魚には勝てる。
「ソル、だそうだ。ちゃっちゃと片付けるぞ」
「嫌よ、頑張りなさい」
「……テト、サポートできる?」
「あ、はい! 頑張ります!」
協力的なのはテトだけか。しかし、治癒の勇者のサポートを貰える機会があるかどうか。
……結局俺一人かよ。
「まあいいさ。お前ら足止める必要はないぞ」
「え? で、でも六体も来てたら……」
俺の支援をしてくれるつもりのテトが隣まで来てそう言うが、既に敵の輪郭を確認して俺は迷いなく腕を振るう。
天井の高さ二メール、道幅あって四メートル。そのかなり狭い空間に浮遊する虎みたいな輪郭を持った、所謂ソウル系の魔物? が六体。目視は出来ないが気配察知に引っかかる。まあ、大まかな位置さえわかれば十分だろう。
「ほい、終了っと」
「えっ……」
手を振るうと同時に作り出した氷の剣、アイサファイヤ・ロングソードに魔力を付与して通路全体を覆うほどの吹雪を生み出した。と言っても本来のリルが操れる全力の四分の一程度。フェンリルとしての力には程遠い氷属性の攻撃だ。
しかしそれだけで十分。六体の虎の輪郭は一瞬で動きを止め、砕け散った。
「な? 俺もそこそこやるだろ?」
テトを振り返って俺はそう言った。
先日『とある魔術の禁書目録Ⅲ』を見終えました。レールガンのTも見たんですけど、アマプラなんで一期二期じゃなくて三期を公開するんですかね。私は最初から見たかった。それでもとても面白く、今まで見た作品の中でも断トツで興奮で来た素晴らしいものだったと思います。
と言うわけで(?)皆様良いお年を。
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