冒険への出発
お久しぶりの方はお久しぶりです。ここ最近新人コンテスト関連で忙しくて更新をさぼりまくっていました。どうもシファニーです。
しかしそのおかげもあって無事作品を公開できたので、よかったら見てみてください。まあ、誤字脱字確認は間に合わなくてちょっと残念な仕上がりになってしまったのですが……間違いを見つけ次第随時更新していきますので、もう少し時間を空けてからならちゃんとしたものが読めるかも。
あと、この作品も総合PVが70000を超えました。ありがとうございます!
第百七十三部、第六章第十二話『冒険への出発』です。どうぞ!
翌朝、黒江と久しぶりの朝食をとった。もちろん、かなも一緒に。
「しっかしお前、こっちの料理も作れるようになったのか。流石俺の妹」
「ある程度料理が出来る人なら、新しい料理を覚えるのも難しくないよ。ほら、かなちゃんもたくさん食べてね」
「ん、ありがと」
かなと黒江、そして俺。この三人で過ごす時間がもう一度やって来たことは、もしかしたら奇跡と呼べるのかもしれない。神によって異世界に連れていかれる、なんてこと自体珍しいじゃ言い表せないほどに珍しいだろうに、広い世界で再び巡りあえる確率はいかほどか。
気になるところではあるが統計の出し方などありはしない。
それでも、こうして再び一緒にご飯を食べられることは俺にとっての幸せだ。
「あ、そうだお兄ちゃん。今日は一緒に依頼を受けようよ。ちょうど、高難易度の依頼が寄せられてたから」
「いいけど……お前ら、いつもどんな依頼を受けてるんだ?」
口ぶりからして、常に高難易度クエストを受けているようだが。
「うーん、この前はダークネスファントム? の討伐をしたかな。その前はウィンドドラゴンとか」
「……流石は勇者、ってところだな。俺としてはそんなに強い魔物たちが普通にいるのも疑問だが……」
「え? だってダンジョンからたくさん出てくるでしょ?」
「は?」
こいつは何を言っているのだろうか。
「ダンジョンから魔物がたくさん出てくる?」
「うん。定期的に出てくるじゃん。だから魔物はいつもいるし、たまに強いのもいる。え? 違うの?」
「俺はそんなこと知らないぞ? ここらだけ特別ってことか?」
「そうなの? リセリアルでは普通だと思うんだけど」
リセリアルでは普通、と言う黒江は確かに嘘を言っている様子はない。どうやら本当にここらでは常識になっているようだ。しかし、今までそんな話を聞いたことはなかった。
「と言うか、そもそもダンジョンって何なんだろうな。ちょっとカレラ辺りに確認してみるか」
「そうだね。何だか認識に差があるみたいだし、第三者の意見を聞きたいところだね」
と、言うわけで俺たちは早速招集をかけてギルドに集合した。まあ、俺の場合は黒江がテトたちを呼びに行っている間に念話を飛ばしただけだ。程なくして全員揃い、ギルドの空いている席に座った。
「さて、今日は俺たちの親睦を深めるという意味を込めて一緒に依頼を受けようと思うが、どうだろうか」
「ふーん、いいんじゃない?」
「あ、僕は賛成です」
俺の言葉にさほど興味を惹かれた様子もないソルとテトが答え、他のみんなはそれぞれの形でだが曖昧に肯定した、のだと思うからこの議題は終わりだ。
「よし、じゃあ黒が良い依頼を知っているらしいからそれを受けよう。黒、頼む」
「はーい、行ってくる!」
黒江が席を立ってカウンターの方へ向かったのを見た後で、俺はカレラに声をかける。
「なあ、カレラ。ダンジョンってわかるか?」
「ダンジョン、ですか? えっと、伝承によると神が人に試練を与えるための場所、のようなものだったと思います。オレアスにはダンジョンはないので、行ったことはありませんけど。何でも魔物が大量にいて、中は迷宮のようだとか。そう言えば、リセリアルには複数ダンジョンがあるんでしたね。そこに行くんですか?」
「決まったわけじゃないんだが、行ってみたいと思ってな。ありがとな」
「いえいえ」
礼を言うとカレラはそっと微笑んだ。やはりカレラは親切でいい奴だ、なんて思っていると隣からソルが割り込んでくる。
「ちなみに、ダンジョンは神の野郎が作ったのは間違いないけどそれぞれを管理しているのはダンジョンマスターと呼ばれる強力な魔獣たちよ。私もまだ会ったことはないけど、かなり強いって話よ。ね、ルナ」
「妾たちですら敵うかどうか危うい、なんて話も聞いたことがあるかの。本格的に攻略しようと思えば、命の二つや三つ、失う覚悟を持っていたほうが良いかの」
「何それ怖い」
ソルとルナで勝てるか怪しいような敵なんて、それこそ巨神やエルダードラゴンくらいしか見たことがない。逆に言うと、すべてのダンジョンにそんな感じの化け物たちが必ず一体はいる、と言うことなのだろうか。この世界はまだまだ俺の知らない強者をたくさん抱えているらしい。
と、さらにここで補足が入る。
(我が下いた場所もダンジョンだな。まあ、我はダンジョンマスターではないし、抜け殻となったダンジョンを住処にしていただけだがな)
(え? そうなのか?)
影の中から念話を発してくるソルが、かなり重要そうなことを言ったのだが。それ以降返事はなかった。不思議に思っていると、ふと視線を感じた。確か視線の方にいたのはリウスだったはず、と言うところで気付く。
あいつ、探知の勇者だったな。影の中のリルの気配を感じ取ったのだろう。
なんだかんだ言ってリルやソル、ルナだけでなくかなもだが人類からしてみれば敵だ。黒江の仲間だからと油断していると足をすくわれるかもしれない。一応、警戒しておこう。
「依頼受けてきたよ! さあ、出発だよ!」
依頼を受けて帰って来た黒江がハイテンションでそう言うと、俺たちは一つ頷いてギルドを出た。
お久しぶりの更新でしたが、どうだったでしょうか。新人コンテスト用の作品とはだいぶ文体が違うので今までと変わってしまったところがないか、かなり心配していますが……キャラ同士の絡みは大丈夫、なはず。ではまた来週(出来る限り今週中に更新します)
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