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 さて、お久しぶりの総合PVが66666だったシファニーです。いや、見た時ちょうどその数字で、ゾッとしましたね。

 ここ最近お時間をいただけているおかげで新人コンテストに向けた作品作成は順調です。頑張ってまいります。


 第百七十部、第六章第九話『妹』です。どうぞ!

「お兄ちゃん、久しぶり!」

「黒……ああ、久しぶり」


 思わず抱き着きそうになったし、何なら一歩踏み出したがここは公共の場だ。それに、黒江は黒江らしく、楽し気な笑みを浮かべて駆け寄って来てくれたじゃないか。思わず安心して、気の緩んだ笑みを浮かべてしまった。


「なぁに~お兄ちゃん、何かすっごい優しい微笑み浮かべてるけど~?」

「ったく、心配してたのに、変わんないな。元気してたか?」


 黒江は俺の右手に抱き着くと、そのまま俺を引っ張っていく。かなたちはそれを見て俺の後を追ってくる。そのまま黒江はギルドの酒場にやってきて、適当な席に腰掛けた。隣の席をぽんぽんと叩かれたので座ってみると、その頭を肩に預けてきた。


「……何だよ」

「いや、出来るだけ平然を装ってるけど、大丈夫なわけないでしょ……半年も知らない場所で不安になりながら過ごして、やっと会えたんだもん。これが偽物でも、人前じゃなかったら泣きじゃくってるよ。これくらい許して」

「ああ、俺も嬉しいよ、黒」


 俺の妹は相変わらず俺の妹だ。気の置けない唯一の理解者で、ずっと一緒に暮らしてきた家族。時々強く当たってくることもあるが、基本は兄想いの優しい妹だ。甘えてくることもあるし、俺の下らないノリに付き合ってくれることもある。

 周りの評価を気にするところもあるが、それは常識の範囲内。自分の意見はしっかり持って、伝えることをしっかり伝えられる度胸がある。家事も勉強もなんでもござれかと思えば、実は抜けているところもあったり。本当に、最愛の妹だ。


「ねえ、お兄ちゃん。私を見つけられたのは、たまたま?」

「うーん、まあ、偶然は重なり合ったけど、たまたまではないはずだ。色々な人の力を借りながら、やっと見つけた。聞いて驚け? ここを教えてくれたのは隣国のお姫様だ」

「お姫様!? って、アリシア姫、ってこと? ……凄いね、お兄ちゃん」


 肩から勢いよく顔を起こして驚きの表情を浮かべた黒は、ふわり、と柔らかい笑みを浮かべた。


「さて、お兄ちゃん二ウムを吸収したし、今は一旦、感動の再会は後回しでいいかな」

「……だな。まずは、お互いの仲間の紹介から、でどうだ?」

「ん、そうしよ」


 そう言って、黒は俺の後方に手招きする。そこには二人の男が立っていた。俺も俺で適当に視線を向けてかなたちを呼ぶ。俺が席を立って黒江の向かい側に座り、その隣にかな、ソル、ルナ、カレラの順で座る。反対側に黒江とその仲間二人が座った。


 俺の仲間たちの顔を黒江は一通り見渡して、悩ましげに言った。


「……ふーん、お兄ちゃんハーレムじゃん」

「んなつもりねぇよ。だいたい、こいつらの恋愛対象に俺は入ってこない」

「それはどうかな~? 意外と気がある人がいるかもよ?」

「ないない……ないよな?」


 黒江が揶揄うように言ってくるので、あり得ないとは思うが念のため、万が一のことを考えて聞いてみた。


「ん、司はご主人様」

「恋愛、ねぇ。司に恋は……ないわ~」

「ありえないかの」

「え、えっと……その、信頼のおける、いい人だとは思いますけど……ほ、ほら、身分の差とか、ありますし……」


 皆の声が重なったが、俺には誰が何と言ったか理解できた。うん、知ってはいたが悲しいもんだ。いや、かなやカレラはともかくソルとルナに恋愛対象として見られるのはそれはそれで怖い気もするが。


「……本当に誰も気がないんだ……お兄ちゃん、ドンマイ」

「うっさいやい! ……で、まあ紹介する。この猫耳フードかぶってるのが、かな。えっと……話せば長くなるから今は聞かないで欲しいが、あのかなだ」

「ん、かな。黒、久しぶり」


 俺がかなの頭に手を置いて紹介してやると、かなも口を開いてそう言った。促したつもりはなかったがかなが自分から口を開くとは珍しい。


「えっと、え? あの、かなちゃん? ……いやでも、ここは、うん、そうだよね。あり得る、かな? まあ……理解はできないけど納得はしたよ。こっちでもよろしく、かなちゃん」

「ん、よろしく」


 そんな感じの会話が二人の間で行われた後で次を紹介する。


「で、その横の厳ついのがソル。怒りっぽいから注意しろよ」

「ねえあんた、この前と言い私のことを何だと思ってるの? ねえ、私あんたに何かした?」

「なんかな、こいつ男友達っぽいノリで絡めるから黒とも仲良くなれると思うぞ」

「うん、そんな気がする。ソルさん、よろしくね」

「え、あっ、うん、よろしく……って、はぐらかすな!」


 などと言うキレのいい突っ込みを貰い、次。


「そっちの物静かな銀髪がルナな。不思議ちゃんだけど悪い奴ではない」

「司殿、汝に不思議とは言われたくないかの。……ルナという、よろしくかの」

「ん、よろしくね。銀髪、綺麗ですね」

「世辞が言えるとは、司殿の妹とは思えないかの」

「失礼な奴だ」


 とぼやいた後でさらに次。


「で、そこの真っ赤な美人がカレラな。オレアスの貴族で、オレアスの姫様の姉分。たぶん、俺含めこの中で一番まともだ」

「ははは……カレラ・ルーグ・オレアスです。よろしくお願いします、クロ様」

「いやいや、様とかいいから! でも、確かにまともそうね。お兄ちゃんの仲間とは思えない」

「うん、俺もそう思う」


 こればかりは何も言いようがないので肯定で返した。


「うん、なんとなくわかったよ。皆さん、うちの兄がいつもお世話になってます。たぶん、これから私とお兄ちゃんの絡みに付き合ってもらうことになると思うから、よろしくね。……さて、それじゃあ今度はこっちの二人を紹介するね」


 黒江は元気にそう言って、隣の二人を指差した。

 黒ちゃん。司君の妹とは思えないハイスペックながらも兄を慕ういい子です。


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