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カレラとの再会

 お久リぶりです、どうもシファニーです。

 第百六十八部、第六章第七話『彼らとの再会』です。どうぞ!

 その日の夜は近況報告と言うか世間話と言うか、久しぶりの再会を楽しんで終わった。俺たちに睡眠はほとんど必要ないので、夜通し談笑していたわけだ。

 そして翌朝、アリシアが部屋を訪れてきた。


「司、ご報告があります」

「どうした? アリシア」

「その、妹さんのことです」

「え? もう何かわかったのか!?」


 アリシアの優秀さには驚いた。アリシアの表情が明るいことから、悪い知らせでないことは分かったし、俺は思わず声を上げてしまった。

 アリシアはそれに少し驚いたようだったけど、持ち直して言ってきた。


「はい。黒髪黒目で、特殊能力、と言うより勇者として活動している方がリセリアルにいるそうです」

「…………え? マジ?」

「マジです」

「年は……」

「外観年齢は十三、四程度だと」


 黒江は割と童顔だ。若く見られてもおかしくない。それに、この世界には見た感じ黒髪黒目の人はほとんどいない。そして、勇者。ソトのやろうがそんな力を与えたとして、なにもおかしいことはない。


「いかがいたしますか? リセリアルに向かうのなら、すぐに馬車を手配いたしますよ?」

「本当か!? じゃ、じゃあ頼んでいいか?」

「もちろんです。……あと、そうですね。案内役として、カレラをお連れください」

「おお! それは良いな。頼むよ」


 とんとん拍子に話が進む。俺としては何かほんの手掛かりがつかめる程度でよかったのだ。それが、勇者として活動していること、リセリアルにいること。そんな特徴的な情報がつかめたのなら、見つかるまで時間はかからないんじゃないだろうか。


「お前らも、それでいいよな!?」

「そのカレラが誰か知らないけど、私は良いわよ」

「どうせ妾の意見は聞かないのだろうし、どうぞご勝手にやるがいいかの」

「我はついて行くぞ」

「かな、もう元気。あと、お姉ちゃん、探す」

 

 皆が口々にそう言い、賛同の意を示してくれた。そして、かなの言葉だが――


「誰を探してるか、わかるんだな?」

「ん。ご飯をくれた、お姉ちゃん。黒、ってお名前の」

「ははっ、流石だな。そうだ、黒を探しに行くんだ」


 かなは無表情だが、どこか嬉しそうな雰囲気を纏っている。まあ、猫として数年接し、こちらに来てからも結構関わってきた。なんとなくでも、かなの感情を読み解けるようになってきた。今のかなは、だいぶ笑顔だ。


「そうと決まれば、カレラと馬車を待って早速出発だ!」

「「「おー」」」

 

 俺の呼びかけに、各々のテンションでみんなが声を返した。……あれ? 元気な奴誰もいなかったんだけど。みんな、やる気ないのかな? 俺だけ舞い上がってる?

 いや、そりゃそうか。俺は身内の捜索で、かなは知り合いの捜索だが、他は赤の他人を探すことだしな。まあ、それ以前にみんなハイテンションになるようなメンツじゃなかったか。


 そしてそれから数時間後。アリシアに案内されて王城の前まで移動してきた俺たちの前に、馬車から降りてきたカレラが現れた。

 カレラは俺たちが初めて親身になった人間と言って差し支えない人だ。特徴的な赤髪と紅の瞳。俺と同年代だがどこか大人びていて、落ち着きがある。可憐さと可愛らしさを持ち合わせていて、容姿端麗品行方正天才淑女。カレラはそう言っても過言ではないほどの外観の持ち主だ。


「お久しぶりです、司さん。ご無沙汰しております」

「よお、カレラ。久しぶり。えっと、まずはこいつら紹介をしようかな」

「ええっと……お願いします」


 カレラは俺たちの顔を見て、ソルの視線に軽く怯えた後で、俺の足元に立つリルにも視線を向けた。


「この厳ついのがソル。俺たちの新しい仲間な」

「ちょっと」

「ソル様、ですね。よろしくお願いします」

「う、うん……」


 ソルが微妙そうな顔をしているが、気にしない。

 そしてすぐにカレラの興味はリルへと移った。


「あ! リルさん、お久しぶりです!」

「お、おう……久しいな、カレラ嬢。ご無沙汰だった」

「ありがとうございます! これからしばらく、よろしくお願いします!」

「あ、ああ……よろしくな」


 珍しい。リルが委縮していた。と言うか、やっぱりカレラってリルを尊敬かなんかしてるよな。リルに操られている時も感じていたが、常に尊敬の念を込めた視線を送っていた気がする。まあ、どちらかと言うと乙女チックなもんだった気がしないでもないが……本人が気付いていない可能性もあるし、そちらはリルに任せてしまおう。


「さて、それじゃあ紹介も済んだし」

「ちょっと待ちなさい私の紹介をもっとしっかり」

「しゅっぱーつ!」

「話を聞きなさいっ!」


 と言うわけで俺たちは出発した。


 それから約二時間程度かけてリセリアルとの国境までたどり着いた。カレラの顔パスでさっさと通り、しばらくは整備された道が続く。それを抜けたころには日暮れになっており、貿易路としてある程度慣らされた広い一本道が続いている。


「ここをまっすぐ、二日ほど進めばリセリアルですよ。今日は夜ですし、皆さん、野宿の準備を……」

「ねえ、転移で行きましょう。そろそろ景色も飽きたわ」

「妾も腰が痛いかの……」

「かな、もう寝る」

「辺りの偵察に行ってこよう」

「おい! まとまりを持て!」

 カレラちゃんもお久しぶりの登場です。

 赤毛のあの子はアリシアの姉のような存在で、不死鳥と言うレアなスキルを持つ超人で並の人間を凌駕する力を持つ。炎の力を操ることを得意とし、リルを尊敬していて……そして、リルからも何やら興味の視線を受けているようだ。

 と言うわけでカレラちゃんのご紹介でした。


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