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新たな始まり

 どうも、シファニーです。総合pv64000突破、ありがとうございます!


 第百六十六部、第六章第五話『新たな始まり』です。どうぞ!

「でまあ、大食いなうえにたくさん寝ておかないと、いつ肉体の限界が来るのかわからないからね。寝かせておいてあげましょ」

「お前らも楽じゃないんだなぁ……」


 改めて親近感を感じつつ、今も気持ちよさそうに寝ているルナを見て――


「待て、俺、お前が寝てるとこ見たことない」

「そりゃそうよ。私、ここ数百年寝てたからね。起きたのは司と会った、一か月くらい前よ」

「え? じゃあ、ルナも今から百年以上寝るのか!?」

「いいえ。長くて五時間くらいかしら」

「……」


 俺は思わず驚きでのけぞった背中を丸め、ソルにジト目を向けた。ソルは俺のジト目を受けてかなを撫でる手を止めて、文句を言いたげな視線を返してきた。


「何よ。別に私が寝坊ってわけじゃないのよ。肉体の損傷に応じた休息が必要になるだけ。私たちの能力に会う肉体なんてないから、替えはないの」

「そうかよ……そういうもんなのか」

「そういうものよ。だから、その目はやめなさい。ムカつくわ」

「悪かったな」


 こいつ、本当に何百年も生きてる凄い奴か? こんな乗りいい奴妹のほかに知らないぞ。


 なんて考えるとソルが鋭い瞳を引っ込めて口を開いた。


「そういえば、司って妹居たのね。あんたの妹ってことはまたただの人間じゃない子?」

「ん? ああ、妹はいるぞ。ただの人間……じゃないかもしれないな」


 というのも、俺がただの人間じゃないように、かながただの猫じゃないように、黒江も何かしら力をもらって人間の域を超えていてもおかしくない。特に黒江はここ半年知り合いもいないこの過酷な世界で生きながらえ、創造神ソトの話ではここら周辺の人間の国で生きているのだ。

 もしかしたら俺なんかよりずっと強い可能性もある。あ、そういえばソトの力は黒江にも及んでいるのだろうか。もし黒江が喋れるようになっていたのならいいが。


「へえ……あってみたいわね、その子」

「少なくとも俺が死ぬまでには意地でも会うつもりだからな。たぶん会えるぞ。アリシアが頑張ってくれれば、すぐにでも会えるかもだしな」

「アリシアってあのお姫様? 何あなた人間とは言えお姫様に直接そんな個人的なお願いできるほど仲が良かったの?」

「人間をバカにするのはやめろ」


 言葉の端に人間に対する上から目線がにじみ出ていたソトに素で返し、言葉を続ける。


「まあ、色々あってな。邪神教とやらの人間が来たり殺されたり生き返ったりして、仲良くなったよ」

「なにそれ、私の人生よりもよっぽど濃厚な日々送ってない? あなた」

「流石に数千年の歴史には劣るわ」


 俺はそんなに異質な人生を送っているのだろうか。


「というか、邪神教? なに、あいつらまだ生きてたの?」

「は? 知ってるのか?」

「ええ。あれでしょ、邪神を崇拝している人類。昔は亜人とか獣人が教徒だったっと思うけど……ここらで出るってことは今は人間が崇拝しているの?」

「そうだが……ちょっとそれについて詳しく。リルも一緒に聞いてくれ」

「だな」


 俺が言うと、俺の影からリルがにゅるっ、と顔を出す。時々忘れそうになるが、大事なところに差し掛かると唐突にこいつを思い出してしまうのは、こいつが自己アピールをしてきているからなのだろうか。

 

 で、だ。ソルの衝撃発言について詳しく聞いてみることにした。


「私が覚えていることはたいしてないわよ? でも、まあ確かにネルとかルナよりは知ってることが多いでしょうね。だって、その邪神として祭られていたの私だし」

「は?」

「ちょっと待て、ソル、お前マジか?」


 ソルが珍しく素で言葉を漏らし、俺もかなりの勢いでオウム返しにそう言ってしまった。

 ソルは俺たちの圧に少し気圧されながらも、調子を取り戻してから言葉を続ける。


「ええ。当時の私は……まあ色々あってね。話すと長くなるけど……」

「詳しく」

「我も知りたい。頼む」

「わ、わかったから。顔が近い」


 思わず食いつくと、ソルに両手で顔を押しのけられた。


「あ、悪い」

「すまない」


 なんとなくリルと共に謝るとネルは小さくため息を吐いてから言う。


「始祖竜、あの辺に封印したのが私たちって、知ってる?」

「……知らなかった」

「我は聞いていたぞ。それがどうかしたのか?」


 いや、リル知ってたのか。それとも俺が忘れていたのだろうか。


「その時ね、実はあの辺に存在していた集落のほとんどを仕方なく全滅させて――」

「そんな軽く言うなよ」

「我とていくつもの集落を全滅なんてさせたことないぞ」


 これまた衝撃発言だ。こいつは性格も力もかなりぶっ飛んでいるとは思っていたが、仕方なく全滅とか、かなり危ういことを言ってきたぞ。


「だ、だから仕方なくなの! 始祖竜との戦いの余波というか……そう言うのだから! で、そのあとすぐに始祖竜を封印して、その場に残っていたのがたまたま私だけだったから、少し離れたところから来た亜人や獣人が私のことを邪神として崇め始めたのよ!」


 ソルが心外だとばかりに言ってくるが、まあ確かに仕方がない、のか? 

 実際に始祖竜と戦った俺ではあるからあいつのやばさは分かるし、封印される前ってことは今回より一層やばかったかもしれない。そんなやつをどういう状況かはわからないがソルが封印しようとしたんだ。

 世界最強の二人が全力でぶつかって、この星が崩れなかっただけましだと思うしかないのだろうか。


「でも、私もそのあとすぐ眠りについたのよ? だから、今まで続いていたのは不思議でならないんだけど……」

「これは、調べてみるしかないな」

「だな。次は、隣国に行ってみるか」


 隣のリルと頷き合い、ここでの用事が済んだら向かう場所が決まった。

 邪神教の総本山だと思われる、リセリアルに行ってみよう。

 というわけで、ここからこの作品は終幕に向けて加速するわけです。しっかり書き上げられるよう、頑張っていきたいと思います!


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