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創造神

 お久しぶりですシファニーです。


 第百六十一部、第五章第二十二話『創造神』です。どうぞ!

 俺は、巨神の首元へと剣を振り下ろした。


 硬い皮膚。そして圧を操っているからか叩きつけた衝撃のほとんどは俺の手に帰って来た。


「痛っ!?」


 とっさに放した剣はいつものごとく大きく爆発し、俺の体を宙に飛ばす。落下の勢いも殺し切れないまま飛ばされたため空中でバランスをとることができずぐるぐると回転しながら落ちていく。この場で氷を足場として出したら着地できずに潰れる未来が見えた。


「リル、転移は!?」

(しても勢いが殺せなくて死ぬな)

「影空間!」

(空中では発動できないだろう)

「ああもうどうすれば!?」


 全力で魔力を空にしたからほとんどの魔法はそもそも使えないしもはやしたがどちらかもわからない状況じゃあ何もしようがない。いくら種族が変わろうが体が人間の俺の五感は使い物にならないし魔法とスキルの連続発動のせいかスキルを使おうとすると頭痛が襲ってくる。魔力も枯渇寸前なのだからなおさらだ。

 と、そこで体がふわっ、とした感覚に包まれた。風は消え、耳を裂くような音も聞こえなくなった。ただそれもつかの間、すぐに真下に落ち始める。ただ、俺の背中は誰かに支えられていた。


「かな!?」

「司、大丈夫?」

「あ、ああ、ありがとな」


 横を見てみればそこにはかながいた。どうやら俺はお姫様抱っこで抱えられているらしい。そういえば、リルを倒した直後にもこんなことしてもらったっけな。

 俺を抱えたかなの体は一直線に地面へ向かい、落ちる。ただ相変わらずの身のこなし。音の一つもたてずにかなは着地して見せた。

 そして俺を下ろしその場に膝を曲げてぽすんっ、と音を立てて座った。


「ふあぁ……眠い」

「お疲れ様。終わったぞ」


 俺は膝から崩れ落ち、大きな音を立てて倒れた巨神を見ながら言う。その体は光の粒子のようなものとなって散り散りになり消えていった。長かった巨神との戦いも、ここで幕を閉じたわけだ。


 僅かに回復した魔力を使って展開した魔力感知が数人がテレポートしてきたと知らせた。


「お疲れ、司」

「やったね、司君!」

「お疲れ様です、司さん」


 それぞれが俺に労いの言葉をかけ、それぞれの表情で笑顔を向けてきた。


「でも、結局司のスキル頼みで終わるなんてね」

「いつもは活躍できないんだからいいだろ」

「かっこよかったよ!」

「リリア、ありがと」

「奇想天外で、面白い戦法でした」

「参考にはするなよ、俺以外には向かない」


 そんな話をしていると、空の雲が割れて光が差してきた。どうやらあいつのお出ましのようだ。

 神秘的な光に包まれて降りてきたのは創造神ソトだった。その表情はなんだか青ざめていた。


「ねえ、君たち冗談だよね? いくらなんでも巨神を倒せるのは想定外だったんだけど?」

「そんなところだろうと思っていたわよ」


 なんだか急にため口を聞いてきたソトにソルがいつも通りにこたえる。まあこの二人は昔馴染みらしいしおかしくはないのだろうけれど、神と対等に話してるとなると違和感しかない。


「い、いやだって、僕のプランだとピンチになった君たちを颯爽と助けてだね――」

「あんたが仕掛けておいて何が助けて、よ。それと、巨神相手じゃ倒せなくてもピンチになることはないわよ。なめてるんじゃない?」

「おかしいなぁ……あの巨神は始祖竜でも勝てないはずなのに……」

「勝てないから負けるは直結しないのよ。学びなさいね」

「ははは、次からは気を付けるよ」


 ……何だろう。確か少なくとも生みの親と子供の関係のはずなのだが友達か兄弟にしか見えない。俺、今誰を相手にしてるんだろう。

 と、そこでソトはソルから視線を外して始めてこちらを見て申し訳なさそうな笑みを浮かべた。


「君たちもすまなかったね。本当ならちょっとネルとソルを試すだけのつもりだったんだ。巻き込んじゃったね」

「そこの二人が強すぎてけがの一つもないから大丈夫だ」


 ソルが思いっきりため口なので俺もそう返した。


「さて、じゃあ試練を乗り越えた君たちにはご褒美を上げよう。何がいい?」


 ソトは満足そうに頷くと大きな態度でそう言った。神々しさは感じるには感じるが先ほどまでの光景を考えるとそれも薄れるな。


「いや、褒美とかいらないから。あ、そうだ。じゃあ司とかなちゃんを喋れるようにしてあげてよ」

「何かってに決めてんの!?」


 どうでもいいこと考えてたらソルが出しゃばった。


「は? 逆にこいつに何かもらうつもり? やめたほうがいいわよ、色々と失うから」

「え? こいつ詐欺師か何か?」

「ねえ、ソルはともかく司君にもこいつとか言われ始めちゃったんだけど責任取ってよソル」

「イヤよ」

 

 コメディだった。


「そ、それより、そうだね。それより司君、どうだい? この世界は満喫してるかい?」


 ジト目を向けながら聞いてみればソトは案外あっさり認めた。


「まあ、退屈はしてないさ」


 そんなこんなで、俺はこの世界の創造主と友達になった。

 さて、そろそろ妹ちゃん登場です。引っ張りすぎてここまで読んだ人の中には妹ちゃんってどんな子だっけ? ってなってること間違いなし。ご期待ください。


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