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 どうもこんにちはシファニーです。今回のタイトルの意味は後書きで説明しますね。


 第百六十部、第五章第二十一話『司』です。どうぞ!

「《エレメンタルフォース・アクアバースト》」


 かなが生み出した水の球が大きくはじけ、巨神を飲み込む波となる。

 しかし巨神はその水の圧を無くすことで無事だ。だが、狙いはもとよりそのあとだ。


「《ブリザード》ッ!」 

 

 俺はすべてを凍らせる猛吹雪を起こす。巨神が浴びた水までも凍らせ、巨神の動きを止める。その氷は巨神の肌を外から刺す。しかしこれも巨神の圧を操る力で無効化される。


(《司水者》)


 氷は砕かれ散り散りになったがその氷を司水者で水に変換し、巨神に突き刺す。例によって無効化されるが関係ない。俺たちの目的は巨神にダメージを与えることではないんだから。

 苛立ちをあらわにした巨神は足元の俺に向かって一歩を踏み込む。俺はそれを影空間に一旦潜り込むことでかわし、また巨神の足元を駆け回る。


 ソル、リリア、ネルは遠くから魔法で支援をしてくれている。今はかなと俺で巨神の相手をしているところだ。俺はかなと一番一緒にいた。だからこそ俺が本気で戦うときの相棒はかななのだ。かなは魔力を温存するために地面を駆けている。それでももちろん早く巨神を翻弄する。隙を見てかなが空中に飛び出し、魔法を使う。それを司水者で水に変換したり、凍らせたりして巨神に攻撃する。それを繰り返していればいつかは倒せるだろうという寸法だ。

 まあ、こういうちまちました攻撃は俺の性分に合っている。司水者やリルと二人であることを意識して立ち回れば持久戦は得意なほうと言えるだろう。特に魔力の多い相棒がいれば司水者が活躍する。それに、かなとは不思議と息が合う。ただ、今日は初めて共闘らしい共闘をしているな。なんだか、少しだけ先ほどまでよりも楽しい気がするんだよな。


 巨神がかなを踏み潰そうと重心を傾けたところを、かなはワンステップで躱し空中に飛び出す。


「《エレメンタルフォース・クワトロカノン》」


 空中で反転し、巨神に向き直って詠唱。慣性そのままに巨神の頭上数十メートルまで浮き上がったかなはその場で四つの魔法陣を解き放つ。魔法陣からは極太の光が放たれた。その光は巨神の肩口に当たり、その皮膚を焼く。どうやら熱そのものをどうにかすることはできないようだな。

 

(《司水者》)

 

 すかさずリルは残留している光を水に変換し、巨神の肌に刺す。かなは魔法を撃った反動で後ろにのけぞり頭から真っ逆さまに地面へと落ちていく。地面すれすれで体を捻って足で着地し、再び巨神の足元へと入る。相変わらずの運動能力だ。

 巨神は焼かれた方を押さえて苦しみよろけ、予想できない挙動で動くがかなと俺はしっかり動く足を躱す。しばらくすると巨神が体勢を整えた。そしていい加減怒りが限界なのかその場で地団駄を踏む。俺たちは難なく躱すが、これはまずいかもしれない。


 かなとアイコンタクトを取り、俺たちはいったんその場から転移で逃げる。直後、巨神の周りをどす黒い魔力が覆う。どうせ自分には被害がないからと自爆のつもりで魔力を放ったのだろう。まったく、神だからって色々好き勝手やりすぎだ。


「かな、大丈夫か?」

「ん、傷一つないよ」


 かなは俺の隣に転移していた。流石、というべきだろうか。そしてかなは自分が無事であると言うと同時、小さくあくびをした。


「眠いよな。さっさと終わらせよう」

「ん、頑張る」


 かなは小さな拳を握り締める。俺はそれを見て思わず口元を緩ませる。俺がリルを倒したときは、かなが倒れて、もう訳も分からないままだったんだよな。今もこうしてかなといられているのは、起死回生という能力のおかげだ。そんな能力で今度は神を倒そうとしているのだから、感慨深いというか、何か縁を感じるよな。

 

「行くぞ」

「ん」


 巨神の放つ魔力が消えたのを確認して、俺はかなに声をかける。かなは短く答えて駆けだした。俺もそれを追うように走り出す。

 巨神は正面から迫る俺たちに次々と魔力を放つ。かなは時には魔法で防ぎ、飛んで躱し、相殺したりしながら進み、俺は影空間を経由することで躱しながら進む。出来るだけヘイトを分散するために長くは潜らないがほんの一瞬当たるかどうかのタイミングで潜り、魔力が通り過ぎたところで再び出る。それを繰り返している。魔力の塊に実体があるからか迫ってくる頃には足元には影ができており、影属性の能力はすべて問題なく使える。いざってときは影分身を身代わりにするというのもありだろう。


 巨神は少しばかり俺たちの勢いに押されてか後ずさる。あれだけ大きな図体を持つ神が恐れているのを見るのはなんだかおもしろいな。


「《エレメンタルフォース・サテライトビット》」


 かなが召喚した精霊が魔法での攻撃を開始する。リルは魔法が巨神に当たり、弾けたところで司水者で水に変換して攻撃をする。サテライトビットも、そしてリルももちろん自立しているので俺とかなは回避に徹底することができる。

 巨神の足元まで潜り込み、攻撃を続ける。


 巨神がよろけ、中腰になった。自分の体を支えきれなくなったのだろうか。俺は一歩を踏み込んで空に駆け上がる。リルは瞬間的に俺の足元を凍らせて上空へと押し上げる。巨神の頭上で反転し、頭を下に向ける。上を向いた俺の足の裏には氷の足場ができている。上へと登ろうとする慣性が残り、体が落ち始めないうちに俺は分割思考で詠唱を続けていた魔法を放つ。


「《マルチアイスショット》」


 俺よりも少し下に無数の魔法陣が描かれる。そして、氷の球が放たれた。それらは中腰になり、背中を上へと向けた巨神に降り注ぐ。それは一瞬の出来事――


「《クリスタル・クリエイト》、アイサファイヤ・ロングソード。……《ハードメテオ》」


 属性剣術・氷を付与。剣術Ⅹハードメテオを発動、最大級の魔力を込めたアイサファイヤ・ロングソードを中段に構え、俺は足に力を籠める。上へと登る慣性を打ち消して、いや、利用して勢いをつける。足元の氷が司水者で水に変換されると同時、ジェット噴射のように俺の体を押し出す。


《報告:起死回生の発動を確認。攻撃に即死効果が付与されます》


 しんさんのそんな声が脳内に響いた。俺の体は重力に引き寄せられ、さらに加速する。俺は、巨神の首元へと剣を振り下ろした。

 私がタイトルにキャラの名前を使うときってそのキャラの強さや性格の描写を入れているときなんですよね。で、今回は珍しく司君に見せ場を作れたのでこんなタイトルにしました。はい、正直浅いです。これでも小説書いてる人なんですけどね、私。


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