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巨神

 更新です。最近は一応一定のペースは保てていますが、自分でも心配だったりします。まあ、ぼちぼち頑張っていきますので今後とも応援よろしくお願いします。

 第百五十八部、第五章第十九話『巨神』です。どうぞ!

 大自然とは。俺はしんさんにそんな疑問を投げかけた。


《偉大な自然。自然の雄大さをたたえていう語》


 するとそんな答えが返ってきたのだが、なるほどそれは正しいかもしれない。偉大で雄大。まさにその通りだろう。目の前の景色がまさにその通りだった。


「《すべてを包み》《抱擁し》《支える源》」


 静かに広がる緑。


「《命を育み》《死を受け入れる》《森羅万象の母》」


 段々と背を伸ばす木々。


「《今目覚めよ》《絶対の女神》《大いなる世界の中心よ》」


 緑の植物が巨神の体に絡みつき、その動きを止める。俺が足止めしようと思っていたが自己完結できるようだ。遥か上空まで伸びた数百の魔法陣は七色に輝く虹のようで、思わず見とれてしまいそうだった。


「覚醒せよ、《グライト・ネイト》ッ!」


 数々の魔法陣は落ち葉のように舞い散りばらばらになって植物に包まれた巨神を取り囲む。下から見れば、まるで魔法陣が生る木のようだ。色鮮やかな大木の葉が、さらなる光を放ちイルミネーションのように輝く。その光は、やがて巨神を包み込む。

 瞬く間に増殖する刺々しいツルは幾千にも枝分かれして巨神の体に纏わりつく。その植物は生物の肉体を貫き、内側からさらに繁殖して魔力を吸収する。その魔法を受けた生物はやがて魔力が付き、その体を新たな器にされ、種を植え付けられ……。やがて植物と同化する。

 

 詳細を聞いた時にはあまりにグロテスクで見たくないと思ったが、巨神がやられているのを見るとそこまでグロテスクではなかった。俺くらいの大きさの人が相手ならともかく巨神ほど大きくなるとその存在そのものが異物のようなものだから違和感を感じにくいのかもしれない。あと、ここから見ているとまだ大きな木にしか見えないというのもあるだろう。果たして、侵略という意味では最強であるリリアの詠唱魔法は巨人に効いたのだろうか。


 結論から言おう。植物は巨神の放った魔力で粉々になって散っていった。恐らく巨神の圧をコントロールする能力で肌が貫通されるのを防いだのだろう。傷跡は一つもなかった。正直ほとんどの相手に対しては当たれば確殺の攻撃なのだろう。だが、今回は相手が悪かった。だからこそ、リリアの詠唱魔法は後回しにしていたのだ。


 そして詠唱魔法を使ったリリアは魔力がギリギリなのでかなに回収させ、連れ戻してもらった。


「かな、お疲れ」

「ん」


 かなは短く頷き、眠そうな目をこする。かなもまだ魔力は回復しきっていないし、戦闘が始まってから先ほどまで動き回っているのだ。疲れるのも当然だろう。そんな可愛らしいかなに視線を向けた後で、かなと同じく疲れた様子のリリアに声をかける。


「リリアもお疲れ」

「ううん。でも、やっぱり通用しなかったね。神様も意地悪い試練を用意するのね。ネル様の詠唱魔法も相性が悪いし……」

「本当よね。でも、あの神がそういうやつってのは分かってたことだし。でも、まさかわざわざ巨神を連れだして試練にするとは思わなかったけどね。あいつ、一応天界の守護者なのに私たちが倒しちゃってもいいのかしら」

「え? そうなのか?」


 リリアを心配しているとソルが話に割って入ってきて、それなりに驚きの事実を口にした。


「私たちとほぼ同時期に生まれたって話よ。天界への門の守護者だったはずね。まあ、見ての通り個体の性能で言えばあっちのほうが格上よ。ただ、あいつには自由がないからね。私たちのほうが恵まれていると言えるわ。……いや、もしかしたら神のやつも巨神をそろそろ解放したがっているのかもしれないわね」


 ソルはそんな意味深なことを言うと、巨神の気を引くネルのほうを見た。彼女は相変わらずその不死身性と無限の魔力を使って時間稼ぎをしてくれている。


「ネルが相手とは言えずっと私たちに見向きもしないの、おかしいと思わない?」

「確かに……普通ならもうあきらめてこっちに来ていてもおかしくないよな」

「理由は簡単よ。あいつには実戦経験がないの」

「え? そうなのか?」


 これまた驚きの事実だ。天界の守護者って話じゃなかったのか?


「ん、かなにも、わかる。おっきいの、動きが甘い、雑。たぶん、弱い」

「かなにもわかるのか……でも、まあ確かに大雑把な戦い方ではあるけど、どうしてなんだ?」

「ここ数千年、天界に侵入してきたものなんていないはずよ。そもそも、神の存在を信じているのはカルト集団くらいだし、そいつらもこの世の本当の神が創造神ソトだけとは思っていないわ。たとえそれが事実でも、わかってない。そして、そのソトが住まうこの天界の場所を知ってはいない。ね? 単純でしょ」

「そういうことだったのか……」


 あの巨神は力だけを与えられ、この空間を守るためだけに存在し、数千年もの間実際に役割を全うすることもないままに俺たちと戦っているのだ。戦闘経験がないのは当然だし、力だけすさまじく戦い方が異常に単純なのにも納得がいく。


「だからこれは試練であると同時に、神から可愛そうな巨神を解放してほしいという願いをかなえるための戦いなのよ。あいつの自分勝手もいいところだし、そんなことを全うしてやる義理もないけど、この巨神には最後まで全力で戦わせてあげて、それで数千年もの間続いた縛りから解き放ってあげるとしましょう。そういう意味でも、私たちは負けられないのよ」


 ソルは格好よくも品のある笑いを浮かべ、そう言ってきた。そんなソルを見て、俺たちの士気はより一層高まった。


「それは、頑張らないといけませんね」

「ん、かなも本気出す」

「俺もいつまでも見物してないで、全力でやるしかないな」

「ええ。さて、さっさと終わらせるわよ。まずは、ネルの詠唱魔法をぶち込むところから!」

「「「おーっ!」」」


 俺たちは一斉に拳を掲げた。

 スランプ脱出、したかな? 多少は文章力が戻った、はず? まあ元からあまりありませんが……。ましになった、気がする。どちらにしてもこれからも頑張ります!


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