表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

148/352

陽光の姫

 ご無沙汰しておりますシファニーです。最近自虐ネタを使いすぎたので次回からは楽しいネタを使いますか、なんていうご報告ネタで今回は何とか切り抜けました。

 第百四十八話、第五章第九話『陽光の姫』です。どうぞ! 

 天使との闘い、というより天使狩りはそれなりに長い間続いた。毎分数十体単位で減っていく天使たちだが、元の数が多い。ソルたちがいくら強かろうと一瞬で終結、なんてことにはならない。スキル、魔法、身体能力。それらを生かして無双劇を繰り広げるみんなだが、その分消費も早いだろう。特にリリアなんかはそろそろ魔力がきつそうだ。


 かなの戦いに注目してみよう。この空間には精霊がいないのか精霊完全支配は使用できていない。権利に縛られないらしいがスキルは流石にそのままの性能のようだ。その代わりというかなんというか、最近は最近はたくさんの敵相手に全力で戦う、というのができていなかったからだろうな。かなはやれることを徹底的に試していくスタイルで戦っている。それに、この空間では地形変動と気にしなくていいみたいだし、それもありそうだ。


「《|エレメンタルフォース・アクセルボルト》」


 雷光が空中をのたうち回る。真っすぐ落ちる? いやそんなことはもちろんない。それはまるで蛇のように空中を暴れまわっている。と言っても見えるのは残光だけ。魔力感知ですら見失ってしまうそうな速度で雷は天使たちを焼き落とす。

 空間を焼く雷こそ、精霊の力を使っているものなのではないか、と思うのだがどうやらそうでもないらしい。というか、精霊完全支配とただの精霊魔法とでは根本的なところで違うようだが、また今度にしよう。ひとまず、精霊完全支配は使えなくとも精霊魔法は使える。そんなかなは常時銀月、神速、水月華(すいげっか)とかいう忘れそうになっていたスキルを展開しながら天使たちの間を駆け回った。それでも他の三人と比べたら倒した数は少ないほうだろう。


 次にリリア。リリアの魔法は相変わらずの威力を発揮する。そのうえ即発動でありつつ広範囲であるから天使たちはなすすべなく散っていく。いや、散ることもなく消滅している奴が大半なのだが。エアリアルブラスト。大気を揺らして攻撃するこの魔法が、空中で使うとまた馬鹿げているのだ。なぜか? 理由は簡単。空気を揺らすのだから空中にいる相手に対しては効果が増すのだ。

 地上にいれば突風を何とか耐える、といった感じで受け流すことも不可能ではない。しかし空中にいては踏ん張るにも踏ん張れない。天使たちは本当に羽根で飛んでいるわけではないようで、恐らく天性的な種族としての特性として浮いているのだろうが、そんなことはお構いなしにリリアの魔法で吹き飛ばされている。直撃を受けたものは風の中に発生した風でかまいたちを受け、ばらばらになって散っていく。他にも火属性魔法を受けた奴なんて炭も残さず消えゆくし、エアリアルブラストを警戒して地上すれすれまで逃げた奴は地面から飛び出した土属性魔法で生成された鋭い岩に突き刺されて死んでいく。防御に入った天使たちは空間魔法で空間捻じ曲げて無理やり魔法当ててるし、天使の攻撃は至近距離で魔法を撃って無効化している。近接戦闘を仕掛けてくるものも同様だ。

 リリアの戦果は、自分のやれることを試しているかなと違って最初から全力なのもあるだろうが、かなの倍くらいだろうか。しかし驚くことなかれ。それよりもすごい奴らがいる。


 次にソル。案の定意味が分からない。空中のくせに地上にいた時のような気配を感じさせない、魔法でもスキルでもない純粋な身体能力で行う瞬間移動を使っているし、攻撃の威力がまさしくけた違いだ。

 唯一無二と言っても過言ではない魔術・陽光。忘れてはいけないがソルはただ強いだけの狐ではない。ルナが月を司るように太陽を司る狐だ。


《金陽:大幅に魔力を消費するが、触れた物質を燃やすことができる》

《天照神:身体能力と思考能力が大幅に上昇》

《陽光の姫:陽狐に与えらえる。権能:昼の時間を延ばすことができる》


 金陽というスキル、天照神という状態、陽光の姫という称号と、先ほど挙げた魔術・陽光。ざっと見れば素人でもわかるだろうが、こいつは太陽の下にいるだけで最強と化す。

 金陽は接しただけで灰も残さず燃やし尽くすとかいうチートスキルだ。まあ、ルナの銀月と同様毛皮にしか効果は働かないが、それでも強い。例えば尻尾で撫でられるだけで死ぬのだ。おかしいだろ。そして天照神。これはソルの固有能力が発揮する太陽の光を浴びると強くなる、という単純なものだ。しかしもともとありえない身体能力と思考能力も持ち合わせるソルがさらに強化される、というだけでその恐ろしさがわかる。

 最後に陽光の姫。ルナも似たようなスキルで夜を伸ばすものを持っている。これはおそらく月を司るものと太陽を司るもの、対極に位置する二人の関係を表しているのだろう。まあ、この空間を照らしている光は常に太陽光らしいので関係ないがな。


 そう、今現在この空間を包んでいる淡い光は太陽の光らしい。つまり――


「ソルのホームってわけだ」


 ――ソルは常に化け物だった。


 魔術・陽光もまた太陽の光が影響する魔法だ。太陽の光から得られる力を魔力で強化し放つ、というものになるが太陽の光が強いほど威力も上がる。そしてここを照らす光は大気圏を通すこともない純粋な太陽の光だ。それだけで地上で使うより数十倍の威力は出るようで……正直筆舌に尽くしがたい。


 ソルが一歩移動すると、天使が百体死んでいる。と言えばわかるだろうか。まあ、つまりそういうことだ。最初に出てきた天使で全部だったわけではないらしく、天使は続々追加されて行っていた。しかし、今では増える天使より減る天使のほうが多い。一秒間に天使が五百人増えるとして、減る天使は千体だ。詳細に数えたわけではないし遠くから見ているだけだがそんな感じだろうと思う。


 まあつまりなんだ。


「リル、俺たちの出番はなさそうだな」

「だな。こうやって花火でも眺めているとしよう」


 この虐殺を花火と表現するあたり、リルはロマンチストかもしれない。

 今までちゃんと描けていなかったソルの最強っぷりをもう少し伝えていきたいと思います。

 

 ブックマーク登録、いいね、評価、感想等頂けると幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ