天使
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第百四十七部、第五章第八話『天使』です。どうぞ!
「さぁて、試練の内容は単純明快。僕が用意した天使たちを全滅させれば君たちは合格さ。そして君たちが合格できたのなら、この世界の運命を託そうじゃないか。原初の七魔獣の半分が朽ち、邪神や悪魔が暴れまわる今のこの世界を君たちに任せられるかどうか。それを試すための試練だ。頑張ってね」
いい笑顔で明るい声を上げて神はそういい、さらに天高く昇って終いには見えなくなった。
そんな神の代わりのように、数多の天使たちが空から雪が舞うように、降ってくる。容姿は千差万別、得物を握るものもいればハーブのようなものを使うもの。多種多様だがみな一様に天使だ。
解析鑑定を使ってみれば、大まかに下位天使と上位天使の二種類がいる。
種族:精神生命体・下位天使
名前:なし
レベル:20~50
生命力:900 攻撃力:900 防御力:900 魔力:900
スキル:スキル:魔術・神聖Ⅴ、高速飛翔Ⅴ、自然治癒Ⅱ、魔力自動回復Ⅴ、物理攻撃耐性Ⅳ、魔法耐性Ⅳ、状態異常耐性Ⅳ、精神攻撃耐性Ⅳ
権利:基本的生物権、自己防衛の権利、自己回復の権利、魔術使用の権利
種族:精神生命体・上位天使
名前:なし
レベル51~70
生命力:1300 攻撃力:1300 防御力:1300 魔力:1300
状態:正常
スキル:スキル:魔術・神聖Ⅷ、高速飛翔Ⅷ、自然治癒Ⅴ、魔力自動回復Ⅷ、物理攻撃耐性Ⅶ、魔法耐性Ⅶ、状態異常耐性Ⅶ、精神攻撃耐性Ⅶ
権利:基本的生物権、自己防衛の権利、自己回復の権利、魔術使用の権利
そして天使たちの平均した能力はこんな感じ。スキルのレベルやステータスはすべて上限だが、それなりにちゃんとしたものを持っている。どいつもこいつも似たり寄ったりで複製されているかのように思える。いや、実際創造神ソトがいっぺんに作りだしたようなものなのだろうから、複製ともいえるのだろうか。
少なくとも俺たちのような個性は感じなかった。違いはあれど、それは与えられた役割のようにしか思えなかった。
「えっと、あの数を倒せってことか?」
「何よ司、ビビってるの? 対して強くないじゃない。余裕よ余裕」
「そう、か?」
隣に立つソルに聞く。というかこいつ最近よく俺の隣にいるな。前まではかなのポジションだったんだけど、いつの間にか入れ替わっている。かくいうかなは、最近はいつも眠そうにして後ろのほうをついてきている。あれはあれで考えていることがわからない子だけれど、寂しくさせていないだろうか。
「あれ? というか、どうして俺たち喋れてるんだ?」
「はぁ? あなた話聞いてなかったの? ここは権利で縛られない空間なの。だから権利がなくても喋れるし。逆に権利があるからできる、ってこともなくなる」
「へぇ……え!? それ、かなの精霊使役権とか大丈夫なのか?」
「ああ、そういうのは全部スキルになってるから大丈夫よ。権利によって縛られる肉体本来に備わった能力をすべて開放する空間、って感じね。だから、まあ私たちには大した制約がないからそれこそあなたがまともに会話できるようになるくらいよ」
「へぇ……ならいいか」
詳しい説明はされていなかったとは思うが、まあそういうことならいいだろう。俺がちゃんと喋れるというのは、神にとっても都合がいいことかもしれないし。あいつ、どうにも俺の反応を楽しんでいる節があったからな。
しかしそんなことより今は天使たちだ。他のみんなは嬉しそうまたは興味なさそうに上を見上げている。楽しそうにしているのはかなである。さっきまで眠そうだったくせに。
「全部で、どれくらいだ? 気配察知だと、うっ、多すぎてわからないな」
数を確かめてみようと気配察知を遣えば、多すぎてキャパオーバーでも起こしたのだろうか。情報量が多すぎて頭が痛くなってきた。
「下位とやらが二千と上位とやらが五百ね。隊長格みたいななのが二人いるかしら」
「……流石だな」
「そうは言うけどね、これくらいはできるようになっておいて損はないわよ。それに、あなた分割思考を使えるんでしょう? もう少し有効に使えればこれくらいなんてことはないわよ」
「まあ頑張るさ。で、どうせ虐殺が始まるんだろ?」
「そうね。言葉が悪いけどその通りよ。ネルと私で大部分は片付けるからほどほどに頑張っていなさい」
ソルはそういうと組んでいた腕を解き、ネルのほうを見る。俺もネルのほうを見ると、ネルもちょうどこちらを見ていた。ネルが頷き、ソルは目を伏せた。そして、二人は姿を消した。
「えっ!? って……はやぁ」
隣にいたはずのソルが、すでに天使たちの中心にいた。すぐ近くにいたはずなのに動く気配すら感じないのはいつものことだが、突然やられると驚いてしまう。なんというか、異次元だ。ネルも同じように動けるだろうとは思っていたが、実際見ると圧巻だ。だって三秒前には隣にいたのにすでに天使を何十と倒しているじゃないか。
「ん、かなも行く」
「あ、ちょ、かな!?」
そんな光景を見たかなもまた空に向かって駆けあがり――
「それじゃあ私もネル様のお手伝いを」
なんて言ってリリアもついていった。
「えっと……リル、どうする?」
「我はとりあえず観察でもよいかと思っているぞ。あの程度、ソル嬢一人でも片せるだろう」
「まじかぁ……じゃあ、俺も見てようかな……」
試練とやらは、案外簡単に終わるかもしれないと思った俺だった。
最近本格的に前書き後書きのネタがありません。そもそも読んでもらえているのかすら不明なので亡くしたほうがいいのでしょうか。なんて言うネタを消費してしまうほどには苦しいです。
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