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ソト

 二日に一回投稿が普通になってきましたどうもシファニーです。夏休みって、ある意味忙しくなるものですよねなんて言い訳を。少しばかり更新ペースは遅くなっていますが今後ともよろしくをと。

 第百四十六部、第五章第七話『ソト』です。どうぞ!

「俺をこの世界へと招いた、張本人……」


 創造神ソト、彼はそう名乗った。そして、俺をこの世界に連れてきたとも言った。正直、神がどうとか以上にこの世界に連れてきたとか以前に、目の前の彼が放つ存在が大きすぎて驚きは隠せていなかった。ただ、少しだけ驚きの内容を変えることで現実逃避せずに済んだ。俺はこいつの連れてこられたという。ただそれだけ、ってことにしないと圧倒的なオーラに気圧されそうだった。


「その通り。君に権利を授けたのも、かなっていう猫を亜人にしてこの世界に送り込んだりしたのも僕。今回君たちがここに来ることになったのも、僕が仕組んだから。すべては僕の計画と望みどおりに、ね」

「……そうか」

「あれ? 反応が薄いな」


 俺がぽつりとつぶやくように返すと、ソトは戸惑いの顔を浮かべた。


「いや、だって別に……何かしらが、誰かしたが俺たちをこの世界に連れてきたのは分かってるし。この世界を作った創造神がいるってネルとかから聞いてた時から、その神とやらに連れてこられたのかなとは思っていたし、驚くことでも……」


 嘘だ。探し求めていた、というわけでもないがずっと気になっていた存在が突然目の前に現れたのだ。驚かないわけがない。ただ、神という存在を目の当たりにした今の俺には、そんなことが些事にしか思えないだけで。


「そうかそうか、君ってば少し成長したんじゃない? すぐに冷静さを取り戻せるようになったのは、いろいろなことに慣れたからかな? 経験って意味では僕は最大限のものを君に与えたと思うだけど、そこら辺どう思う?」

「どうも何も……今更この世界から帰りたい、とかは言わないさ。ここに連れてきたことについても、怒りとか感謝とかそんなことは思わないぞ。ただ、こっちに来て今のところは楽しいことのほうが多いから恨んではないってことだけは確かだ」

「はははっ、それならよかった。でも、本当に驚いた。落ち着いた思考ができるようになったんだね。いやぁ、よかったよかった。初めて会った時の君は慌ただしくて面白かったけど、今の君も見ていて楽しいよ」


 おかしそうに腹を抱えて笑う神。どうしたらいいのかもわからず、神が何かしてくるのを待つ。ひとしきり笑い終えた神は目元の涙をぬぐってから再び口を開いた。


「で? 何か話したいことはある? 僕のほうからはもうないけど、聞きたいことがあるなら答えてあげるよ」

「そう、か。じゃあ、何個か聞かせてくれ」


 聞きたいことは山ほどある。俺と会ったことがあるような口ぶり、あれは何なんだろうか。一方的に連れてきただけならあんな言い方にはならないはずだ。それに、どうやって連れてきたか、とか。でも、その辺は神様の力だから説明のしようもないか。じゃあひとまず――


「俺は、お前に会ったことがあるのか?」

「ああうん、あるとも。僕がこの世界に君たちを招くとき、会ったよ。まあ、君は覚えていないと思うけど。記憶を消したから」

「そう、か。まあ、それならいい」

「あれ? 記憶を返せとか言わないのかい?」

「別に、大切な記憶を奪ったわけじゃないんだろ? 俺がお前と会ったこと、その部分の記憶だけを消した。そうだろ?」

「その通りだ。それならいらないって?」

「ああ。だって、もし思い出したら怒りがわいてくるかもしれないだろ」


 神に対して苛立ちを覚えても仕方がない。そんな中でわざわざ苛立つ原因を作ってやる必要はない。


「ふーん、まあいいか。他には?」

「じゃあ……妹について、聞いてもいいか?」


 これは、本当にずっと気になっていたことだ。あいつが今何をしているのか。俺とかながこの異世界に送られたとして、それはおそらく俺がかなと一緒にいたからだ。記憶がないからわからないが、その場に黒江がいなかったとは限らない。むしろ、いた可能性のほうが高い。ずっと、もしかしたらこの異世界で彷徨っているんじゃないか、と考えていた。聞けるなら、聞いておこう。


「ああ、妹ちゃんね。黒江ちゃんでしょ?」

「そうだ。何か知っているのか?」

「まあ、君の予想通りだと思うよ。彼女もこの世界に来ている」

「っ! ……そうか。今、どうしているかとかわかるか?」


 俺は驚いた。別に黒江がこの世界にいたことについてじゃない。俺がここまで冷静でいることに対してだ。本当なら、昔の俺ならば驚き、喚き、慌てふためていて錯乱していた。別の言い方をするのなら、熱い感情でもって黒江を心配していたはずだ。それなのに今はどうだ。冷静に状況を確認している。これは、神におびえているからだろうか。それとも、俺が変わってしまったからか。


「今は元気に生きているよ。人間の国、リセリアルで冒険者として活動している」

「そうなのか……それはよかった。確認できただけで、安心した」


 これは本当だ。心の底から安心した。肩の荷が下りたというか、心が軽くなった。どっちの世界であれ、しっかりと生きていてくれているのならそれに勝ることはない。俺の口元は、自然と緩んでいた。


「そうか、君は成長したんだね。いや、自分を見つけたといったほうがいいのかな」

「え?」


 神が目を伏せた。その体をさらに高く昇らせる。

 ふと視線を動かすと、左右にはネルたちがいた。ソルにリル、リリア、かな。みんながいる。もちろん、さっきまでは絶対にいなかった。何が、起こったというのだろうか。


「ようこそ君たち、原初の七魔獣の半数以上が朽ちた今、これからを任せるかもしれない勇士たち。今僕が、君たちに試練を与えよう」


 試練? 急に何を言って――


「この世界を管理するに値するか、この世界が! 僕を楽しませてくれるに値するか否かを、今ここではからせてもらおうと思う!」

 

 神の体はいつの間にかはるか上空、もはや見えないようなところまで昇っていた。しかし、声ははっきり届くのだから不思議なものだ。


「君たちの全力でもって、僕の配下たちを下して見せてくれ!」


 そして、神は意気揚々と言った。次の瞬間、天空に穴ができた。どこかで見た覚えがある。知っている? いや、そんなわけ――


「デモンパレード? いや、これは……」


 俺の隣に立つリルが、そんな言葉を漏らした。その言葉の真意を確認する前に、それらは現れた。空間に現れた穴、そこから現れたのは無数の人型。白い、白鳥のような翼を携え頭上に光輝くわっかを付けた大群。


「あれは、天使だ」


 リルがそうこぼした。

 最近画面を見すぎたせいか体がブルーライトを受け付けなくなっています。長時間画面を見ていると拒絶反応を起こしてしまうのです、助けてください。これは致命傷になりかねません()

 

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