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天界

 総合pvが48000を超えました! 50000間近、頑張ります!

 第百四十五部、第五章第六話『天界』です。どうぞ!

 ネルの後に続いて神殿の中へと入る。崩れかかった壁の隙間から漏れる光を頼りに進んでいくと少し開けた広間へと出た。その広間の天井は高くなっており、壁の中央に半分近くが消えかかっているが何やら絵が描かれている。きっと、創造神ソトを描いたものなのだろう。

 その広間は周りよりいっそう不思議な気配が強かった。


『天より下りし召還は、今一度試練を呼び覚ます』


 ふと、脳内に声が響いた。どこか聞いたことがあるような、不思議と懐かしいような声。恐らく、神の声。広間の中心に、ひび割れた天井の隙間から漏れる光とは別の、異質な光が照る。神聖な魔力を感じる。以前ソルが放っていた殺気とは違うが、別の意味で気おされる。触れることを、恐れ多いと自然と体が拒んでしまうような光。


(さあ、入りましょう)


 ネルに言われて、光に近づく。ネルが確かめるように右手を光に近づけ、触れる。すり抜け、拒まれることなく腕全体が光に包まれる。続けて一歩踏み込み、光の下へと入った。続いてソル、リリアが入る。異変はない。リルも入るが、何が起こるわけでもない。

 不思議そうに首を傾げるかなの手を握り、一緒に光の下へと向かう。視界が、白く輝いた。


 意識は暗転、のちに覚醒。一瞬の間にないが起こったのかはわからなかったが、俺たちは今雲の上にいた。いや、雲なのかもわからない。見た目は白い綿あめのよう、しかししっかりと足場としての役割を果たしており、湿っぽくもない。

 あたりは淡いオレンジ色のように輝いており、所々に光でオレンジに染められた石レンガ造りの構造物が点々としている。一言でいえば、天国のよう。ネルの言葉からとれば、天界という場所なのだろう。

 淡く神聖な光があたりを包む様がそれを証明していた。


「ここが天界。権利に縛られない絶対領域。殿上人の空間、神の世界」


 ネルの()が凛と響いた。


「私たちは招かれました、この神域に」


 そんなネルの隣に、ソルが歩み寄った。他の者たちは雰囲気に圧倒されて動けない。


「これからお目通りするのはこの世の創設者創造神ソト。そのご尊顔を拝めること、感謝するのね」

「ええ、礼儀は忘れないようにお願いします。では、向かいましょう」


 ネルとソルは振り返り、一歩を踏み込んでそのまま歩き出す。俺たちも何とか動き出し、それについていく。ネルとソルの歩みに迷いはなく、ただ一方高へと進んでいく。周りの様子はいくら進もうが変化しない。どこを見ても淡い光に覆われた薄オレンジ色の空間。空すらも夕焼けのように透き通ったオレンジ色だ。しかしのすべてが色の濃さの違いこそあれどオレンジ色。これは太陽からの光を直接受けているから、とかなのだろうか。それとも、それ以外に色が存在しないか。

 

 こんな空間だと、リリアとソルの金髪はともかく俺やかな、ネルの黒髪が目立つ。リルの黒い衣も異質めいている。服の色もいつもより目立って見えるし、見失うことはないだろう。なんて思いながら歩いてたその時、不意に瞬きをした直後ソルとネルを見失った。


「え? 二人はどこに――」


 あたりを見渡す。誰もいない。俺はただ一人オレンジ色の空間に。改めて前後を確認する。今度の俺は、漆黒に包まれた空間に。それは、星々のない宇宙のように不安定で暗く深い。足場があるようには、足元に何かがあるようには感じないのに立てること。空気を感じないのに息ができること。この感覚は前に覚えがある。闇空間、ダークネスファントムに送り込まれた、リルと出会うきっかけとなった空間。でも、少し違うのがわかる。魔力の巡り、濃さ、空間の凝縮さ。ありとあらゆる面で、この空間のほうが整っている。より正確に、精密に構築された空間。この空間を作り出したものは俺なんかよりは強く、賢いもの。それこそ、圧倒的な差を感じるだけに神と言われても納得できるほどの。いや、神が作った空間なのだろう、ここは。


「正解。ここは僕が作った空間さ。すごいね君、ここ数か月でここまで成長するなんて」

「声? いったいどこから……」

「まあまあ、いったん落ち着いて耳を傾けてよ。僕はソト。創造神ソトなんて呼ばれている、まあ神様だ」


 不思議と耳に残る、聞き覚えのある声。でも、俺は知らない。こんな声、こんな神。でも、頭のどこかで引っかかる。神は言った、ここ数か月でここまで成長するなんて、と。


「今回君たちを招待した。君たちから向かってきたように見えるのかもしれないけれど、僕が君たちがそう行動するように少しだけ仕組ませてもらった。まずはそのことについて謝罪をしておくよ」

「いや……それはいい。俺も、聞いてみたいことがあった」

「おっと、物怖じしないね。そういうところも変わってないね」

「……まさか、俺は神と面識があるのか? どうして俺のことを知っているような口を」


 明らかにおかしい。匂わせているとか、そんなもんじゃない。もはや俺に告げているようだ。

 僕が君をこの世界に連れてきた、と。


「僕が君をこの世界に連れてきた。ああ、その通りだよ。君の想像通りだ」


 突如、空間に亀裂が入る。その亀裂は大きく、深くなり、暗闇に白い光を通す。やがて亀裂は穴となり、穴は空間を破壊する。光に耐え切れずに目を腕で覆い隠す。光が収まり、次に目を開いた先に、そいつはいた。


 神秘的な光が彼を照らし、その神々しさを強調させる。天使のわっかのようなものと、純白の翼。ひらひらと揺れる羽衣と幼い顔立ち。美少年と言って差し支えないその彼は、その瞳をばっと開いた。あたりはいつの間にか、先ほどまでいたオレンジ色の空間だった。


「ようこそ僕の楽園(エデン)へ、そして世界(クローズ)へ。僕は君を歓迎しているよ、司君。僕の名前はソト、創造神ソト。この世界を作り、この世界に君を招いた張本人さ」


 彼は俺より上空に漂いながら、そういい放った。

 今日はスプラトゥーン2の大会に参加しました! 久しぶりに全力でゲームした。めっちゃ楽しかったです。落ちはありません。

 

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