尻尾
昨日のpvが最終的に1500をこえて総合pvが45000を突破しました! 50000も間近、これからも応援よろしくお願いします。
第百四十二部、第五章第三話『尻尾』です。どうぞ!
ネルの提案を受けて、俺たちは神に会いに行くことになった。どうやってかは分からないが、それはネルとソルが何とかしてくれるだろう。
神に会う。そのことによって起きる変化は、果たして俺にどんなものをもたらすのだろうか。もしその神とやらが本当に俺をこの世界に連れてきた本人なのだとしたら、聞きたいこともある。黒江はどうしているか。そもそもどうして俺たちなのか。そんなところだが、会う価値はある。
もちろん不安も大きい。始祖竜なんかと戦った直後だ。多少の疲れもある。そうじゃなくたって神様なんて考えることがわからない。急に襲い掛かってくるかもしれないし、世界を作れるなら壊すこともできるだろうし。怒らせたらどうなるかわかったもんじゃない。気を付けなければならないだろう。
そんなことを考えながら俺は、久しぶりに帰ってきたリリアの家でかなと一緒にごろごろしていた。神のところに行くのはもう少し後にするらしく、今日から三日ほどは暇だ。理由はいろいろあるが国の主要人物であるネルとリリアが出かけてからのことをどうするかとかを決めなければいけないらしい。国の管理というのも大変だなぁ、なんて他人事見たく思っていたところに、見知った気配が近づいてきた。
(さすがにもうわかるぞ、ソル)
(あなた、本当に鋭くなったわね」
部屋の絨毯の上に寝転んでいた俺が目線だけ向けて念話を使うと、扉がなくオープンになっている部屋の入り口からソルが顔を出した。やはり気配察知に反応はなかったけれど、なんとなくわかるようになってるんだよな。
ソル自身もそれなりに衝撃的らしく、目を丸くしている。それこそまさに絶滅危惧種を見るような眼だ。
(なんだ、その物珍しいものを見るような眼は)
(物珍しいものを見る眼よ。私の気配を正確に察知できる相手なんて原初の七魔獣以外で一人も知らないわ。あなた、本当にただの人間? それとも進化の過程で人間じゃなくなった?)
(精魔人だからな。ギリギリ人間だ)
(信じられないわ、まったく。始祖竜を相手にしても死なないことと言い、幸運なだけかと思ってたけど何か特別な力でも持っているんじゃないかしら)
(そういうもんかね)
(そういうものだと思うわ)
ソルはそういいながらうつぶせの横たわる俺の横を通ってソファに座る。その隣にはかなが丸まって寝ており、ソルはその頭を軽く撫でた。……
(そういえば、ソルはキツネだよな)
(え? ええ、そうよ。それがどうかしたの?)
(……頭、なでてもいいか?)
(ふぇ!?)
間を開けてから聞いてみれば、ソルは変な声を上げながら頬を赤く染めた。手を前に出して自分の頭を守るように首を伸ばして俺から遠ざけながら言う。
(あ、あなた、何を言っているの!? 人の頭を撫でていいかとか、意味わからない! キモイ!)
(そ、そこまで言うか? いや、だってお前かなの頭撫でてたじゃん)
(え? あ、いやそれは。だ、だってかなちゃんの頭は撫でてて楽しいし? 私の頭なんて撫でてもしょうがないでしょう!?)
(いや、ふわふわしていて気持ちよさそうだなぁって)
(そんなことないわよ!)
今度は顔をこちらに突き出しながら、突き放すように念話を飛ばしてくるソル。果たしてその行動には意味があるのだろうか。電話でも頭を下げてしまうみたいなやつなのだろうか。
(はぁ……あなた、本当に変わりものね。普通私みたいな存在の体に触れたいだなんて思う者はいないのよ? 本当にあなた人なの? そもそも生物? 本能働いてる?)
(散々な言われようだな……)
どうやら落ち着きを取り戻したらしいソルが、ゆっくりとソファに座りなおしながら言ってきた。
(別にいいけど、ネルとかルナに言うのはやめておきなさい。特にルナはダメよ。ネルなら笑って流してくれるかもしれないけれどルナに言ったら笑顔で受け入れられた後に殺されるから)
(なにそれ、怖すぎだろ。ああ、やめておく)
(後尻尾も駄目ね。脊髄反射で殺されるかもしれないから。獣人も亜人も尻尾は敏感だから真っ先に首を狙われるわよ)
(お、おう……気を付ける)
いいことを聞いた。ネルの猫尻尾触ってみたいとか心の隅のほうで考えていたので先に知れて本当に良かったと思う。最悪死んでた。
(それで? あなたはこれからどうするの? リルは外で遊んでたけど)
(狩りを遊びというのか? いあやまあ、適当に時間をつぶすよ。かなの相手をしたり、かなの模擬戦に付き合ったり、かなと実戦練習をしたり)
(全部同じだと思うけど突っ込まないでおくわ。というか、本当にやることないのね。と言っても私も暇だし、かなちゃんと遊んでもいいかしら)
(最近は俺じゃあ相手しきれないからむしろお願いするよ。かな強くなりすぎてもうだめだ。本気を出されてしまったら勝ち目がない)
反射神経だとか動体視力だとか身体能力だとか、そこら辺の基礎ステータスで負けているし、スキルとか才能とかでも正直負けてる。リルの補助があってやっと抵抗できるくらいで、俺単体でかなと本気でやりあったら余裕で負ける。情けない限りである。
(ふーん、じゃあ、私が遊び相手になってもいいわけだ。起きたらさっそく誘ってみるわ)
(ああ、そうしてやってくれ。俺は瞑想でもしているよ)
(少しは頑張ってみたらどうなのよ)
ソルからジト目を向けられたが、俺は気にしないことにした。
そういえばPC版『原神』をプレイしてみました。スマホと違って動作が軽いしグラフィックが綺麗だしでとてもよかったです。落ちはありません。
ブックマーク登録、いいね、評価、感想等頂けると幸いです!




