表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/352

かなのいる意味

 お久しぶりです、シファニーです。ここ数日はこれまでに投稿していたお話の推敲を行っていました。というか誤字点検です。一応していたつもりでいましたが、かなり見落としがあるようで読みやすくするために頑張っています!

 最近小説の書き方についての文献を読み漁り、より読みやすい文体について少しだけ理解を深めたのでそれをもとに頑張ってまいります!

 総合pv30000突破ありがとうございます! 本当にうれしいです!

 第百十四部、第四章第十四話『かなのいる意味』です。どうぞ!


 少しばかり、甘えすぎたな。そう思って優しくかなの背を叩くと、かなは包み込むように俺の背中にまわしていた腕をひっこめた。


(もう大丈夫?)

(ああ……多分大丈夫だ。これからは無理しないようにするし、俺が無理していたら言ってくれ。わからなくなっているんだと思うから)

(うん。司が無理してたら、教えてあげる。だから、優しい司でいてね)


 かなの笑みがとても美しくて。見上げた顔を拝むように手を合わせてしまった。


(何してるの?)

(あ、いや、つい。何でもない)


 起き上がり、膝に就いた砂を払う。目元に残っているであろう涙の後を適当に拭うと、出来るだけ爽快な笑みを浮かべた。ふっきれた、そう伝えたくて。


(じゃ、帰るか)

(ん、今度は戦争の準備)


 かなはいつのまにかいつものポーカーフェイスに戻っていた。でも、その裏に隠れた優しい笑みを知っているから、俺としては何とも思わない。むしろその笑顔を俺だけが知っているという幸福感が沸くというものだ。

 しばらく歩いて、前線基地の近くまで戻ってきた。隣を歩くかなの歩調は、行きより少しだけ軽やかだった。かなが俺のことを心配してくれていて、それが少しでも晴れたのならかなに甘えてよかったなと思えて、俺も少しだけ嬉しくなるのだった。


(戦争の準備と言っても、俺達って参戦させられるのか? というか出ないほうがいいまでないか?)

(え? てっきり戦うのだとばかり……)

(いや、戦いたいといえば拒否されることはないだろうけど……どうなんだろ)


 もちろん手伝う気でいるし、リリアが手を貸せというのなら戦うつもりではあるが戦うことにはなっていないと思う。かなはともかく俺は人間だし、リルは魔獣だ。そんな俺たちが参戦したら混乱を引き起こすのではないだろうか。


(それに相手は人間だぞ? 弱いし大して面白くないと思うが)

(そうなの? ……うーん、じゃあ、亜人を鍛える!)

(……この子戦い以外に興味ないのか?)


 野良猫というのはここまで好戦的なのだろうか。そんなわけがない。多分、精霊の影響じゃないかな、知らんけど。


(まあでも、良いんじゃないか? 結果的にリリアのためになりそうだし。俺はもう少し自分を大切にするためにしばらく戦闘は避けることにするよ)

(うん、ゆっくり休んで。疲れてたら心も良くならないから)

(だな。一旦自分と向き合ってみるよ)


 かなに優しくされて、甘えて、涙したということはそれだけ心が疲れていたということだ。きっと、精神強化の上位版である冷徹者のせいで俺の心は冷めきっていたのだろう。そして、疲労し限界に近かったのだ。最初に俺が魔獣を殺したとき、俺の体は確かに怯えていた。剣を持つ手は、震えていた。そんな、何かを殺すだけでやつれていた俺がいくつもの命を奪って、殺されて。

 今の今まで平常を振舞えていたことの方がおかしいと言えるのだろう。それだけ冷徹者の効果は偉大であり、逆に言えば俺に溜まっていた恐怖や不安は多大だったのだ。


 俺はもともと強い人間ではない。家族いない家庭で高校に行けなくなる。つまり不登校になっていた俺だがそれは心の弱さが原因だろう。拠り所の少ないままに多くの人間と関わるだけの技量も度胸も容量もなかった。

 黒江とかなに支えられながらやっとの思いで高校に入学しても早々に欠席常習犯だ。黒江は毎日家事をしたり勉強をしたり真面目に学校に行っていたというのに、兄として不甲斐なかった。それでもいざ何かやらかしてしまった時に頼れる親がいないという不安は大きく、俺は学校に行けずにいた。そして、そんな俺に積極的にか関わってくれた黒江に甘え切っていたんだろう。そんな存在である黒江を失ったことで俺は追い詰められていたのかもしれない。

 かながいなければ俺は変な方向に先走っていたかもしれない。命を無駄にするだけならともかく、それで誰かに迷惑をかけることになっていたらと考えると申し訳なさすぎる。本当に、かなには感謝しなくてはならないな。


 元野良猫のかなはこの世界に来て大いに成長していた。精神的にも、身体的にも大幅に。俺なんかはすぐに追い越されて、すでにかなは俺にとっては殿上人だ。そんなかなに追いつけるように、俺もまだまだ頑張らなければならないな。と、密かに決意を固めるのだった。

 基礎の基礎から見直した文体で仕上げた初めてのお話です。これからはこんな感じで書いていくのでよろしくお願いします。どうもシファニーです。


 ブックマーク登録、いいね、評価、感想等頂けると幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ