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4/4

4.上がりすぎでしょ

 ユニークスキル、賢者の追憶。


 どうやら転生後の自分に、転生前の記憶やステータスを引き継げる能力らしい。

 となると、俺の前世は()()偉人ーー幼い頃から伝説として聞かされた、かつての魔王を葬り去ったという大賢者ヴルサス=レイロードということになる。


「……ステータスオープン」


 記憶を呼び戻すには前世の俺と繋がりの深い物を見る必要があるらしいが、その度に前世の俺のステータスに近づいていくらしい。

 俺が今回取り戻したのは名前だけだが、それでどれだけステータスが変わっているのか……。


「まぁどうせ大した程変わってないだ……ろ……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


   ウラル=ライサス  Lv.18


    HP 120 → 570 防御力 82 → 266


魔力 234 → 1070 智力  147 → 529


    攻撃力 49 → 190 俊敏力 50 → 340


    ユニークスキル 【賢者の追憶】


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 なんと全てのパラメータが3倍以上……魔力に至っては5倍近くに跳ね上がっていたのだ。


「嘘だろ……?Lv18の持っていい値じゃないぞ、これ……」


 世界中、どこを回ってもこれだけのステータスを持つLv18は存在しないだろう。そう確信できるほどにこのパラメータは異常なのだ。


 それに、名前を取り戻しただけでこの上がり様だ。他にも記憶を取り戻していったら、一体どんなステータスになるのか想像もつかない。

 大賢者、ヴルサス=レイロード……伝説と謳われる存在だが、まさかこれ程だったとは。


「なんかよく分からんけど、凄いな、前世の俺」


 話の桁が大きすぎてあまり実感がないけど、とりあえず感慨に浸ろうとした、その時。


「きゃあああぁぁーーーっっ!!!」

「!?」


 遠くの方で女性の叫ぶ声が聞こえた。音の大きさからして、ここからそう遠くはないだろう。

 今すぐ助けに行かなくては。そう思ったものの、裏路地には家が乱立していて道が分かりづらい。


 「一流の盗賊(シーフ)、泣くは女と裏通路」ーーどんな迷宮ダンジョンの罠でも感知し解除できる凄腕の盗賊(シーフ)でも、女心と裏路地は解ききれない、という諺だ。流石にそんな事は無いのだろうが、そう言われるほどに裏路地の道はややこしい。


 素直に道を辿りながら女性を探すか……だが女性の置かれているであろう状況を考えると時間が惜しい……。

 何か良い方法はないのかーー。


 そう思った矢先、俺にある考えが思いついた。


「今の俺ならいけるか……?」


 迷っている暇はない。

 その場で軽くしゃがみ込んで、両足に万力の力を込める。そしてそのまま、屋根めがけて力いっぱいジャンプした。

 ステータスが大幅にアップした今の俺なら、屋根の上でも行ける、と踏んでのことだったが。


「うわっ、ちょ!?」


 なんと、逆に()()()()()()()()()()()。屋根を軽く追い越して、さらに上空4mほどの高さまで飛んでしまった。


「がはっ!」


 そしてそのまま、重力に任せて屋根に落下した。

 受け身も取れずに4mの高さから落ちたら、普通なら無事ですまない。だが立ち上がった俺に一切怪我や痛みは無かった。


「凄いな……。こんなに力が湧いてくる感覚は久々だ……」


 自分の身体能力が上がった事を実感しながら、屋根をひょいひょいと飛び越えて声のした方向へ向かう。


 さっきまでは現実感が無かったが、これでようやく理解できた。前までの俺とは違い、今の俺にはあの偉人の、大賢者の力があるのだと。

 これだけの力があれば、セイン達を見返すこともできるかもしれないーー。


 そんな事を考えていると、怯えた女性が目の端にふと映った。急いで足を止めて様子を伺う。


「や、やめてください。それ以上暴力を振るわないで……。なんでもしますから……」

「へっ、今さら何言っても遅いんだよ。奴隷のくせに主人から逃げやがって」

「ごめんなさい……。もう逃げ出しませんから、ご主人様に逆らいませんからぁ……」


 壁を背に体を震わせながら、棍棒片手ににじみやってくる2人組の男たちに怯えている。どうやら、あの女性は主人から逃げ出した奴隷のようだ。


 実力至上主義のオリオン王国では、腐ったことに奴隷制度が黙認されている。だから裏路地では、こういった違法な奴隷売買が後を立たないのだ。


「謝ってももう遅いんだよ。奴隷商としての俺の顔に泥を塗りやがって。殺す前にその体を嬲ってやるぜ」

「俺のはデカイからよ。死ぬほど痛いだろうが、覚悟しなよ嬢ちゃん……?」

「いや、いやぁぁぁ………っ!」


 男たちは舌なめずりをしながら、女性の着ているボロ布のような服を破っていく。


 おおっ、これは少し役得な……!

 なんて少し思ったが、ふざけてる場合じゃない。


 相手は2人組。ここから飛び降りて直接倒してもいいが、路地の奥へ逃げられても面倒だ。まずはここから1人倒してしまうか。


 服の裾についた埃を払い、両手を伸ばして照準を合わせる。

 ーー俺に攻撃魔法なんて殆ど無いが。


「電撃ボルト!!」


 魔法学校で習うような、初歩的な攻撃魔法なら使える。


 この電撃ボルトという魔法は弾速が早く射程距離があるものの、威力が残念なくらいに低いのが特徴だ。前までは虫を殺す程度の威力だったが、今の俺ならアイツらを数秒足止めできるくらいは出来るだろう。


 そう考えて放った電気の弾は、男たちめがけて真っ直ぐに飛んでいくと。


「ぐああぁぁぁあ!!!!」


 1人の男に命中し、そしてーー。叫び声を上げたかと思うと、そのまま地面へと倒れた。


「いや、あのーー。威力、強すぎなんだけど……」


 ステータスが一気に上がったせいで、力加減が難しいんだが。

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