8話 1日目終了
8話 1日目終了
「なあ、シリウス憑依状態ってなんだ?」
俺が質問をすると全員気になっていたようでカフの方を向く
「まず毎年何人程度3人の偉人を持つものがいると思う?」
この学園に入学するだけでも難しいんだから、もちろん全員だと思いそう答える。
「この学園に入学できているんだから300人なんじゃないか?」
シリウスが首を振る
「いいや違う、その中でもトップ10つまり、Sランクの指標というのは能力値だけでなく、3人の偉人を扱うことの出来るものという定義だ」
皆その言葉に一様に驚いたようだ
「そして2人以上、つまりほとんど3人の偉人を扱える者なんだがな、その中には偉人を憑依させて戦うことの出来るものがいるという、憑依状態の時はだいたいステータスが全て+5000され、能力を最大限まで引き出すことが出来る。」
「でも偉人は3人いるだろ?」
「それなんだが、憑依できる偉人は常に1人、そしてそれを決めるのは自分らしい、また変更可能という訳ではなく、固定化される、というのが俺が憑依について知っている全てだ」
「「「へぇ…」」」
皆知らなかったようで感心したように頷く
「それで次誰か戦うのか?」
シリウスがそう声をかけるとボレアリスが声を上げた
「シリウス約束通りやらないか?」
「もちろんいいが?」
2人はそう言うと、剣を持ち練習場の中心に移動した。
「ただ僕はあの二人みたいに剣術勝負はできない、力と速さだけだ」
「もちろん俺もそのつもりだ」
数分後
「ぐはっ…」
「こんなものか」
圧倒的な力の差でシリウスがねじ伏せ勝っていた
「今日はこのくらいにしとく?もうみんな疲れただろうし」
余裕そうなシリウスがそう問いかける
周りを見ると戦わなかった人以外は全員が全員グダっとしていた。
「そうだね」
「じゃあ、解散ということで」
そういうと、全員ちらばってかえっていった。
「あの、春夜さん…いっ一緒に帰りませんか?」
そう聞いてきたのはさっき治療してくれたスピカで無碍にすることは出来なかった。
「えっ、あっもちろんいいけど…」
少し狼狽えながらもそう言って返す
きまずい…
歩き出して少しの間無言で気まずかったためなにか言葉をひねり出す
「スピカって今日は戦わなかったけど偉人はなんなんだ?」
不思議に思いそう聞いてみる
「私は…誰にも内緒ですよ?」
そう言って上目遣いにこちらを見てくる
「うんわかった」
ニコッと笑うと耳を近づける
「ナイチンゲールです」
「だからあれだけの回復力だったのか」
「春夜さんの方が凄いですよ、まさかあの《未来視》をもってるなんて」
「でも未来視にも条件があるんだよね」
「それはなんですか?」
「さすがにそこまでは教えれないけど」
苦笑いしながらそう言う
「そうですよね。そっそういえば、このあとの用事ってあります?ご飯一緒に食べませんか?」
少し狼狽えながらもスピカはそう聞いてくる
「ちょうどよかった、俺毎日卵かけご飯かコンビニ弁当で何とかしようと思ってたところなんだ」
「えっ、ほんとにですか?育ち盛りの男の子がですか?」
スピカは驚いたようにそう言う
「いや、実際実家にいる時もそんな感じだし」
ああダメだこの人私がちゃんとしたもの食べさせてあげないと、とスピカは一瞬でそう思った
「わかりました、朝と夜は私が作りますよ?」
「えっ、ほんとにいいの?」
毎日こんなに可愛い子の手料理が食べれて、健康的になれるなんて至高の喜びじゃないか?
「ええ、どちらの家で食べるかということになりますが…」
「俺の部屋汚いからなぁ…」
「まだ初日ですよ?」
「初日で汚くなるのが俺だから」
逆に胸を張って言ってみる
「そこ胸はるところじゃないです」
「そっか」
そうして2人が楽しく笑っている後ろでは…
「スピカ姉ってああいう人が好きなんだ」
「意外ですね」
「でも案外2人って似てない?」
「そうですね、落ち着いているところとか、雰囲気もどことなく…」
「そうそう、でも春夜さんはスピカさんのことどう思っているのでしょうか?」
「うーん、謎だね」
「そうですね」
恋バナに花を咲かせていた
その後春夜の家に到着し
「S3って言ってもほんとに変化ないんですね…」
「なんで俺の家なんだ?」
「料理を作るついでに部屋を片付けようかと」
「でもほんとに汚くても驚くなよ?」
「分かりましたって」
彼女は過ちをおかしていた、春夜は汚くすることに関して天才ということを学んでいないという。
「はい、どうぞ」
鍵を開けドアを開けると、先にスピカを部屋に入れる
「これって部屋なんですか?」
「うん部屋だよ?」
スピカは平然と答える春夜に驚きつつ部屋を見る
「えっと、服が散らかりまくっているようなんですが…どうしたら一日でこんな状態になれるんですか?」
何を当然のことをと思う
「例えば、寝る時の服が見つからなかったとするだろ?」
「はい」
「そしたら、バックから服を全て取り出すだろ?」
「はい」
「そしたら、散らかるだろ?」
「はい………ってそうじゃないでしょ、畳みましょうよ!」
「着れるから良くないか?歩けるし」
「そんなことしてると虫が入り込みますよ?」
「えっ、む、虫?あははは、学園都市は浮遊してるんだからそんなものいる訳…」
「でも植物とか植えてますよね?その関係で生態系を守るために一部有害な虫も入れてるそうですよ?」
「と、ということは?」
「虫が出ますね」
今まで見たことがないくらいの笑顔でそう告げる
虫が嫌いな俺は直ぐに
「片付けを教えてください」
そう言って直ぐに頭を下げる
「じゃあ、とりあえず2人で服を畳みましょうか」
そう言って早速取り掛かる
「ああ、そうじゃないです上着はこうやって畳むんですよ?」
そう言って、手の上に手を乗せて教えられる
「こうです、わかりましたか?……あっ、す、すみません…」
「いや…こちらこそごめん…」
スピカにまで照れられるとなんにも反応できない…
「さっ、やりましょう」
紛らわすようにそう言って急かしてくる
その後は順調に進み、30分後には部屋が片付いていた
「ふぅ…ようやく終わりましたね」
「ありがとうスピカ。」
「いえいえ」
ありがとうスピカ……って俺なんで呼び捨てで…
「そういえば、気づかないうちにスピカって呼んでたけど平気?」
「平気ですよ?私も春夜さんと呼んでも?」
「もちろん、手伝ってくれてありがとう」
「いえいえ、そうしたらご飯作りますね、決してキッチンには近寄らないでください」
「そこまで心配しなくても…」
「自分が何したかおわかりで?」
すごめられて言われると何も言葉は出ず頷くしかなくなってしまった。
そうして、リビングの机のそばにすわり、スピカが料理しているのを見ると、とても手際よく料理しているのがわかる、おそらく今日のご飯はオムライスだろう、卵とケチャップのいい匂いがこちらまで漂ってくる。
「有り合わせのもので、材料もこれぐらいしか冷蔵庫になかったので、質素ですがどうぞ食べてください」
エプロン姿のスピカが笑顔でそう言うとドキリとしてしまった。
「あ、ありがと、いただきます」
「美味しい…こんなに心まで温まる料理を食べたのなんていつぶりだろう…」
「そう言って貰えてとても嬉しいですよ」
スピカはエプロンを脱ぎ、向かい側に座るとオムライスを食べ始めた
「いつも妹とはご飯どうしてるんだ?」
「あんな性格ですけど実は妹の方が料理上手いんですよ?」
意外なことを知ったが俺からすれば…
「へぇ、でも俺はこういう自分のために作ってもらったっていう料理は特別に感じられるから、倍くらい美味しいな」
「いつもコンビニ弁当とか食べてればそう感じられますよ」
あれ、なにか大事なことを聞き忘れてた気がする…
「春夜さんは兄弟いないんですか?」
スピカが喋っている途中にも関わらず、聞いてしまう。
「スピカ、なんで俺なんかのためにこんなにしてくれるんだ?」
「そうですね、放っておけないからでしょうか?」
「放っておけない?」
「これだけ生活習慣乱れている人見たら放っておけないです、それと…」
「それと?」
「なんでもないですよ!さっ、冷めないうちに食べましょ」
それとの方が重要な気がしたが誤魔化されてしまった。
「そうだな、そういえば、俺は妹はいるよ仲は悪いけどな」
「へぇ、春夜さんの妹さんですか」
「そう、まああいつは生活習慣乱れてないし、性格真反対だからよく喧嘩するけど」
「そうなんですね」
ご飯をしながら喋るというのはあっという間に時間が過ぎてしまい、直ぐに終わってしまった。
「「ごちそうさまでした」」
「片付けはスピカが帰ったあと俺がやっとくよ」
「ほんとですか?」
信用していないような目でこちらを見てくる
「うん」
苦笑いしながらそう答える
「じゃあ、家まで送り届けるよ、もう夜の十時だから外は暗いし」
「ありがとうございます」
「じゃあ行こっか」
2人で外に出ると、浮遊しているだけあって、天体がより近くに感じられた
「夜空、綺麗だな…」
「そうですね…」
2人して夜空を見ながら帰る
「ちょうどおとめ座が見れたな、季節的にそうなのか、じゃああの1番輝いているのがスピカか?」
「そうですね、スピカはおとめ座のα星ですからよく分かりますね」
スピカがニコッと笑う
星のことを話しながら歩いていると近かったのもありすぐ着いた。
「着いたな、じゃあここで」
「あっ、春夜くん、また明日」
「また明日」
そうして1日目が終わった。
よく、α星とか聞きますけど、あれってギリシャ文字の順番で明るさの順番でαβ…ってなってくらしいです、一番明るいのがαその次がβってなるらしいです。
週6の毎日更新で、火曜、水曜、木曜、どれか休みにしようかなとは思ってます。