3話 三次試験
3話 三次試験
その場で待つこと10分後には全ての扉はなくなった。そして、ある一人の男が
「さてこれから君たちにはここにいる全員でバトルロイヤルをしてもらう」
それを言った直後「どういうことだ?」「三次試験だろ?」などといった声が聞こえてきた
「少し静かにしてくれるかな〜?」
そう言うと会場は一気に静かになった
「一つだけ言っておくが、君たちは全員合格だ、そしてこれからやってもらうのは君たちに学園でのランクを今ここでつけてもらう。この学園は弱肉強食だ、そしてそのひとつの指標としてランクというものがある、一学年300人その中で順位をつけるという事だ、当然順位が高いものは学園から支払われる額も多く、また移住スペースも豪華なものになってくる。そしてここにいる300人でバトルロイヤルをしてもらい、最初に倒れた100人はEランク、そのあとの50人はDランク、そのあとの50人はC、そしてトップ100の50人がBランク、40人がAランク、10人がSランクとなる、もちろん君たちには拒否権はなく、ここから出ることも出来ない、さあ強き者よその強さを見せろ」
そう言い放つと手をパンと鳴らし開始の合図のようなものをあげた。
ほとんど全員が全員呆気にとられていたがすぐ気づき始めたようにあちらこちらで戦闘が開始された。
「本当に出ることは出来ないんだな」
そう言って呑気に運動場の1番外側まで行き、ほんとに出れないか確認すると、何か透明なものに手を遮られてしまう。そんなことをしている間に後ろから
「うおおおおぉ」
そう言って刀で後ろから斬りかかってくる奴がいたが明らかな殺意で気づかないわけもなく、それをギリギリのところで躱す。
そうして少し落ち着いたところで周りを見てみると、広さが広さなので剣と魔法を使うものが半分くらいおり、どちらを使っても不利ということにはならなそうだった。
そうして冷静に観察していると
「おい、お前の敵は俺だぞ?なに他の奴らのことを気にしてんだ余裕ってか?」
「ああ、そうだな、お前如き気にするまでもなかったからな」
「てめえふざけてんじゃねえ」
すぐに斬りかかってくるが《未来視》により、どこから襲いかかってくるかわかる剣を交わしつつ、《並行思考》を発動し魔法の準備をする。
「風よ-疾風となりて-打ち放て」
詠唱すると、風の初級魔法【ウインドカット】で相手の後ろに風でできた刃が出現し、相手の後頭部にぶつかると相手の意識を刈り取る。
「ふぅ…この程度か」
それにしても弱かったなと感じながら、相手を見つつ周囲を警戒する。
残りはだいたい100人ほどになっていた。
今もそこらでは戦闘が起きているがこの時点でだいたい3パターンほど行動が別れていた。1つ目は自ら相手を探しに行くもの、2つ目は漁夫の利を狙おうとしているもの、3つ目は俺のように壁際に行き高みの見物をしているもの。
それにしてもさっきのやつはおそらくスキルが《身体能力強化》《剣術》だったな、剣術はそれぞれの偉人の強さによって変わるが…もちろんさっきのやつは決して弱い剣士ではなかったが、特別強い剣士でもなかったな。そうなるとここからが本番かな。
「そういえば…」
ある人物を探すとまだ生き残っていた
「律はまだ生き残ってるな、後で手合わせにでも行くかな」
律も俺と同じように壁際に行き高みの見物をしていた。
そんな呑気なことを考えているうちにみるみる数は減りだいたい30人になったところで、壁際に行き高みの見物をしていたものも相手を探していくようになった
「さて俺も行きますか…」
そうして俺が向かったのは律のところだった
「律さん、俺とやりませんか?」
ニコッと笑いながらそういうと、律は馬鹿を見るようにこっちを見る
「不意打ちでもすれば倒せたとでも思わないんですか?」
「律さんもわかってると思うけどさ、ここにいる30人は只者じゃないよ?そんな人に不意打ちなんて通じるわけがないよ」
「そうですね」
そこから会話が途切れ、お互い出方を探っている。
「風よ-疾風となりて-打ち放て」
そうして小手調べのように風魔法を後ろからぶつけると予想していたように
「壁よ-我を守り給へ」
そう言うと無属性魔法の魔法防御によりいとも容易く防がれる
やはり効かないか…そうなると
「風よ-疾風となりて-打ち放て」
もう一度同じ詠唱をして相手の注意をそちらに向けつつ地面に落ちている刀を拾うおうとするが、許される訳もなく
「炎よ-猛き剣となり-打ち放て」
「水よ-壁となりて-我を守り給へ」
相手の詠唱に気づきすぐに弱点属性である水の詠唱を完了させると、炎の形の剣を水の守りで防ぎきることが出来た。
相手の魔法は中位魔法ではあったが、反対属性だったためなんとかすることが出来た。
「まさか、無属性に火属性まで持ってるなんて、しかも今のは中位魔法じゃないですか」
「私も驚きですよ、水魔法に風魔法を使えるなんて」
相手はニヤッと笑うと
「炎よ風よ-嵐となりて-撃ち滅ぼせ」
相手が詠唱したのは中位魔法【ファイアストーム】しかもその中でも2種類同時に属性を扱い、魔法を発動させるためにはかなりの練習が必要だそれを、まさか魔法を会得して数ヶ月もしくは数日で中位魔法を会得するなんてすごい努力だな。
おそらく直撃したらひとたまりもないし、避けることが出来ないなと読み切る。
「しょうがない…水よ-壁となりて-我を守り給え」
全ての魔力をつぎ込んで水の低位防御【ウォーターウォール】を3枚同時に展開するが、1枚目はすぐに破られてしまった。
「もってくれ」
そう願いつつも2枚目もあっけなく壊れ、3枚目が壊れるのと同時にその勢いは納まった。
「なんとか…ほぼ全ての魔力をつぎ込んで何とかなったな…」
そうして安堵し、律の方を見るとかなり息を乱していた、それはそうだ2属性魔法は極めて難易度が高く、魔力量の消費が激しいそのため魔力切れに陥っているのだろう
俺も俺で律のことを言うことは出来ないが、ギリギリ魔力切れにはなっていなかった。
律がふらっとなり倒れそうになったところを急いで駆けつけ抱きとめる
「律大丈夫か?」
「ええ…」
そう言うと目を閉じてしまったので抱き抱え、運動場の端まで行って体を置く
俺達が戦っている間にかなり数は減っていたようで残り3人になっていた、剣士が2人に魔法士が1人競技場には立っていた。
「残りは4人か…」
そう言うとほとんど魔力がないので剣を使うしかなく、倒れている奴の剣を持ち3人のもとへ歩き出す
「もう俺は戦いたくはないんだがな」
そう呟き、3人のすぐ近くに着く
「さてさて、どうするか」
剣士の1人、赤髪赤目の顔の整った美少年がそう言う
「俺はもう戦いたくないんだがな」
苦笑いしながらそう言う
「それでもしょうがないじゃない、出れないわけだし」
剣士のもう1人、黒髪黒目のセーラー服を着た少女が言う
「とりあえず自己紹介とかどうですか?どうせここにいる4人はあとで戦うことも同じクラスにもなりますし」
茶髪で緑色の瞳の魔法士がそう言う
「とりあえず自己紹介しようか俺はアルデラミン・シリウス、偉人はどうする?多分後でバレるが」
先程の赤髪赤目の美少年は苦笑いしながらそう言う
「私は橘 葉月、偉人はあまり教えたくないです」
「僕はシェマリ・カウスト、僕もあまり教えたくないな」
3人がそういうと俺に視線が向けられる
「俺は夏目 春夜、言わないなら偉人はなしだ」
「じゃあそういうことで始めようか」
アルデラミンがそう言うと、4人は距離を離し、俺はアルデラミンと勝負をすることになった。