18話 選考会②
18話 選考会②
「それにしても今年の選考会は予想外の事態になったな」
三権の長がそれぞれ用紙に指名を書く間は会話が可能となっているため三権の長が第1指名を書く間俺はシリウスと話していた。
「ああ、まさか僕はこんな事態になるなんて思いもよらなかったよ」
「ということは俺らは第1指名には呼ばれないな」
「そうだな、まずは自分たちの元のメンバー呼び戻すだろう」
「じゃあどっちが早く呼ばれるか勝負しようぜ」
「いいぞ」
お互い笑いながらそう言う
「ではこれより第1指名の発表を行います、まず生徒会、アルデラミン・シリウス」
そう告げると会場はどっと湧いた
「あの1年やりやがった」「納得出来ないななんで1年が…」
称賛の声と納得出来ないまたは妬む声が半々になっていた
「俺の勝ちだな」
そう言ってシリウスはこちらを見て笑う
「なんで1番に呼ばれてんだよ…」
湧き上がる中、司会は続けた
「監査委員会、第1指名は夏目春夜」
今度は先ほどより大きく会場が湧いた
「まじかよ、2連続で1年とかありえねぇぞ」「でも二人とも実力は確かだ」「それにしても監査委員長もか」
「これで引き分けだな」
シリウスの方を見てそう言って笑う
「ああ、そうだなそれにしてもまさか春夜もだとは思わなかったよ」
シリウスが驚いたようにそう言うと司会は続けた
「最後の第1指名となります。治安部は橘 葉月」
今度はもう薄々わかっていたのか、そこまでの大きく湧くことはなかった
「今年の1年はやばいな…あの3人から声をかけられるなんて…」「去年みたいだな」「ああ、ひょっとしたら去年よりすごいってこともあるぞ」
「次に第2指名に移ります、生徒会長、監査委員長、治安部長は第2指名を書いてください」
次の第2指名では第1指名とはちがい治安部長以外の監査委員長、生徒会長はかなり悩んでいたため、あちらこちらで会話が聞こえ始めた
「なあ、シリウス次は誰だと思う?」
「治安部長の方はだいたい予想がつくな、他のふたりはあまり予想が出来ないが」
「その予想は誰なんだ?」
「アルフォート・シオンだな、橘葉月とほとんど同等の力を持つ彼女を欲しがるのは至極当然だろう、おそらくあの治安部長2人を自力で育てるぞ、証拠に2人よりかなり早く書き終えているしな」
シリウスが当然そうだろうという顔で言い放つ
「自力でか?剣術を教えるってことだよな?それ相当強くならないか?」
「ああ、今代の治安部長は接近戦では歴代最強と言われている、その人に剣術を教わればもちろん…」
そこからは続ける必要が無いというふうにシリウスは黙った
「じゃあ、生徒会長、監査委員長は実用的に仕事が出来る全副会長あたりか?」
シリウスは悩むような顔をする
「それも微妙だ、もしかするとだがまた1年生の可能性もあるな、特に今年の1年はおそらくとても優秀だ、カウストやスピカ、リーフェルが呼ばれてもおかしくない、他の生徒に比べて魔力量が頭一つ飛び抜けてるからな、お前も知ってるだろ?魔力量はほとんど生まれつきに左右されるって」
「ああ」
「だからあの3人も怪しいな…」
監査委員長がスピカを選ぶのは複雑な気持ちになってしまう、最初は監査委員長にみとれて好いてはいたが、この約2週間スピカと触れ合う中でますますスピカのことを好きになってしまった。
「始まるな、開示」
シリウスがそういうと考え込んでいた頭を降って目の前の開示に集中する
「まず、治安部長の第2指名はアルフォート・シオン」
司会がそう告げた瞬間、1年生の方はわっと会場が盛り上がった
「まじかよこれで4人目か」「ああ、すげえなあいつら」「誇らしいよ」
しかし2、3年生の方は不満を漏らしていた
「また1年かよ」「もう辞めてくれよ俺らの枠がねえよ」
その中にはあきらかな敵意も含んでいることに俺とシリウスは気づいていた。
「続きまして、監査委員長の第2指名はアルネブ・ニハルです」
司会は2、3年生の雰囲気が悪いのが分かっていたのか安堵したようなこえでそうつげるとそれに呼応するように2、3年生の方からも安堵の声が聞こえた。
「やっと2年生か、まあ当然だよなあいつは5位だし」「これ以上1年は選ばれないだろうな」「元副監査委員長だしな」
「続きまして、生徒会長の第2指名はセギン・ルクバーです」
もう驚きなどはなく、ところどこ会話が聞こえるだけで第2指名は終わった。
「次に第3指名です、生徒会長、監査委員長、治安部長の3名は第3指名を書いてください」
おそらく3人とも、第2指名の時点でそれ以降は考えてあったのだろう、そう司会が告げた瞬間に3人は書き始め、直ぐに司会に渡った
「それでは第3指名の開示を行います、まず生徒会長、アリス・スピカ」
そして会場が盛り上がる暇さえ与えずに司会は続けた
「監査委員長第3指名、アリス・スピカ」
そう告げた瞬間に会場がワッと盛り上がった。
「まじかよまた1年かよ」「しかも被るってことは」「怪我を覚悟で見るか、安全に逃げるか」「そりゃ見る一択だろ」
かなり騒がしい中、司会は続けた
「アリス・スピカが被りましたので、生徒会長と監査委員長の一騎打ちということになります」
「いいかディフタ」
生徒会長はおそらく司会の名前と思われる人物の名前を呼ぶ
「ええ、なんでしょうか」
「もう、シリウスは生徒会の一員だよな?それに春夜も監査委員の一員だよな?」
あくまでも疑問形だが生徒会長は有無を言わさぬ感じで司会を見つめる
「えぇ、そうですね、やりたいことは分かりました、おそらく平気でしょう」
苦笑いしながらも司会は面白そうにそう呟く
「それでもいいかい?」
生徒会長は監査委員長に目配せをしてそう聞くと監査委員長も静かに頷いた
それを司会は見ると全員に伝える。
「ええ、ここで生徒会長によりルールの変更となります、戦うのは生徒会代表アルデラミン・シリウスと監査委員会代表夏目春夜の一騎打ちとなります、では舞台を広くして決闘の会場にします、皆様そのままでお待ちください」
司会はそう言って舞台袖に行く
そんな中1年のSランクのスペースでは
「すごいなスピカ、ダブル指名なんて」
感心するように俺がそう言うとシリウスは真反対に
「俺らは戦うんだぞ?」
苦笑いしながらそういう
「でもこれで三次試験のお返しは出来るし、俺が勝てばスピカと一緒にいられるしな」
そう言ってニコッと笑うとシリウスは頭を抱える
「勝つのは前提かよ」
とカウストにツッコミを入れられる
「ああ負けるつもりなどないよ」
「それは僕もだ」
シリウスがそういうと、司会の使いの人に舞台近くまでいけと言われて、2人で舞台近くまで移動した。