15話 夜空
15話 夜空
「春夜さん出来ましたよ」
精神統一をしていたら途中で眠ってしまったようでスピカはそう言って肩を揺すって起こしてくれた。
「ありがとう」
「疲れてたんですか?」
「まあな、いろいろあって」
「何かあったんですか?」
心配されるようにそう聞かれると尚更答えずらくなってしまう
「まあいろいろだよ」
「まあ、いいですけど」
ジト目でこちらを見ながらそういうと、目線をご飯の方に促し食事を催促してくる
「今日も食欲をそそるいい匂いだな」
そう言って食事の方に向き直る
「「いただきます」」
まず手始めにお味噌汁の方に手をつけるととても美味しかった。
「これならほんとにいつまででも食べたいな」
「ありがとうございます」
そういうともう会話はなくなってしまった。
(気まづい…けどなにか話さないと)
「春夜さん、今日何があったんですか?」
真剣な表情でこちらに聞いてくる
「あまり言いたくはないな」
3年の2位と戦ったことを知られれば当然心配されるためあまり言いたくはなかった。
「そうですか…」
落ち込んだようにそういうとなお一層顔を暗くした
「どうしたんだ?なんか変だぞ…?」
「お互い様でしょ…」
スピカは小声で何か言ったがあまりに声が小さかったため聞き取れなかった
「え、なんて?」
「お互い様でしょ!というか春夜の方が変だよ!今日は目を逸らされるし!あんまり元気ないし!今日あったこと話してくれないし!もう私のこと嫌いなんだ…」
スピカは早口でそういうと家から出て行ってしまった。
あまりの速さでまくしたてられたために暫く呆然としてしまった。
「何やってんだよ俺は…」
直ぐに意識を取り戻すとすぐにスピカの後を追いかける
しかし周りを見渡すと暗く、スピカを見つけることは出来なかった。
「くそ、こんな時に探知系能力さえあれば…」
(スピカが行きそうな場所か…この学園都市から出ることは出来ない、しかもスピカは入ってからほぼ俺と付きっきりで行動してる、スピカが知ってる場所はほぼ俺も知ってるってことだ、しかもスピカは完全にここのことを知ってる訳では無い、当然行ったことのある場所に行く。)
「どこだ、スピカが知ってて行きそうな場所は…しかももう夜だぞ…?」
(どこだ、探せ、俺が思いつく限りの場所を…)
「少し明るくなったな…」
上を見上げると今はちょうど雲から月が顔を出していたところだった、スピカを探しているのにも関わらずその神秘的な光景に少しの間浸ってしまっていた。
「星…か」
この学園都市で上を見上げると必ず目に入るものがあった、それは西側にある娯楽エリアの奥の奥、結界のほぼ真横にある時計台だ、その時計台はなんでもここの初代生徒会長が無理を言って作らせたそうだ、だが今スピカが行きそうな場所にはそこ以外考えられなかった。なぜかそこにいる気がしたのだ。
「いるとしてもかなり遠いぞ?片道1時間だいるわけが無い…」
そういるわけが無い、この学園都市はかなり広く、南側から西側まで行くには急いでも約1時間を必要とする、なので基本的にどこかのエリアからどこかのエリアまで移動する際はドアを使用するドアとは学園都市内に25箇所に設置されているドアである。
ドアは指定した場所まで直通で行くことが出来る。だが魔法士以外の生徒は体力を少しでもつけるために歩いていることがほとんどだ。
「こんな時間にドアが空いている訳でもないし…」
(いや待てよ、こんな時間にドアが作動してないなんて誰が決めたんだ?あれは機械だ、夜に作動なんて…)
「一応確かめてみるか」
そうして家から1番近いドアまで移動すると、ドアで時計塔近くのドアを指定し移動しようとすると移動することが出来た。
-22:00 時計塔9階展望台エリア-
「やっぱりここにいたか」
スピカを見つけそう声をかける
「見つかっちゃいましたね…」
困ったような顔をしながらそう返してくる
「なんかスピカがいるとしたらここかなって少なからず確信みたいなのがあった、スピカなら俺と同じで落ち込んだ時は天に1番高いところに行きたいかなって」
推理を直接そう述べる
「当たりです」
口ではそう言いながらも、顔は空を見上げたままだった。
俺はスピカと同じように空を見上げるとスピカに語りかけるように独り言を始めた。
「俺さ、今日3年生のSランク2位の人と戦ったんだ、とっても強かったでもなんとかギリギリで勝てた、それをスピカに心配して欲しくなかった、それに今日…カウストから俺とスピカが付き合ってるって噂が学校中に流れてるって言われて意識しちゃってスピカと目を合わせられなかった、だってスピカのことを…」
スピカは俺の言葉を遮るように話し始めた
「私は今日一日嫉妬していました、この学園都市では女性の方が多いので、それはイケメンランキングみたいなのが耳に入ってくるわけですそのランキングで春夜君は2位でした、しかも家庭科でもモテていましたし、それに私と今日は目をあまり合わせてくれませんでしたし、何も話してくれなかった…私嫌われてるのかなと一日中考えていました」
「だって…私は…」
そう言ってこちらを見てきたから、俺はスピカがさっき俺の言葉を遮ったように同じようなことをした。唇を合わせて。
「んっ…」
俺がキスをするとスピカは驚いたように目を見開いた。
「これが俺の答えだ、俺もスピカのことが大切だ、好きだよスピカ」
唇を話してそう言うとスピカの返事を待つ
「もう…ずるいです春夜さん…グスン…私も好きです」
スピカは泣き始めてそう言う
「スピカ…好きだよ」
そう言ってスピカを抱き寄せる
「はい…」
スピカも背中に手をやり強く抱き締めてきた。