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14話 エプロン

14話 エプロン姿。


「なあ、スピカ機嫌直してくれよ…」


ついさっき家庭科の授業が終わり、家へ帰る途中、スピカはまだ怒っていた。


「知りません、女の子からチヤホヤされて照れてる春夜さんなんて」


「嫉妬してるのか…?」


ふと疑問に思い聞いてみる


「知りません」


スピカはまた顔を赤くして怒ってしまった


「そういえば商業エリアの方寄らなくていいのか?反対側だぞ?」


昨日食材がないことを嘆いていたのを思い出しそう聞いてみる


「春夜さんはもう私の料理はいりませんよね…」


さっきの怒ってる時とは打って変わって今度は声を潜ませ、寂しげな表情で聞いてくる


「そんなわけないじゃん…」


ボソッとそうつぶやく


「じゃあ、まあ作ってあげます、その代わり私に感謝してくださいね」


スピカは仕方ないという風にそう言うと商業施設に向かって歩き出す


「ありがとうございます」


それからお互いに気まずくなり一言も話さずにスーパーに着いた


スーパーを見ると普通のお店のようだった、周りには多くの商業施設があり洋服、家具屋、家電量販店など多くのお店があった。


「何買うんだ?」


お店に入るとカゴを取り、カートに載せ、そう聞く


「えっと…好き嫌いってあります?アレルギーとかは?」


「俺は何もないけど」


「ならよかったです、今日は…というかカート引いてるだけでいいです、傷んだものを取りそうですし…」


呆れた目で見られると落ち込みながらもスピカの後ろに続いてカートを引いていく


「これと…あとこれと…」


そう言って手際よく、食材、肉、調味料をカートに入れていく


「これで全部ですね、じゃあレジの方行きましょうか」


そう言われるとレジの方に行き、少し長い列を待っていた。


そういえばと思いつき、スピカに話す


「ここの会計は俺が出すよ、作ってもらってるし」


「作ってもらってるとはいえ、私も食べるんですし…」


「いやいや、作ってもらってるし、俺お金使う所ないし」


「なら溜めておいたらどうですか?ランク落ちた時のために」


スピカは悪い笑顔を作りながらそう言う


「おいおい、怖いこと言うな」


苦笑いしながらそう返す


「とりあえず…ここは払うよ」


「まあ聞いてくれなさそうですし、任せますよ」


「そういえばどうやってお金は使えるんだ…?」


この学園に来てからというものお金を使う機会など少しもなかったのでふと思い出すと自分はお金を持っていないことに気づきスピカに慌てて尋ねる


「知らないんですか…?」


「ああ、1ミリも聞いた覚えがない…」


「確かトップ3には三権の長が伝えに行くはずですが」


直ぐに思い出そうとするが一切聞いた覚えはなく…そういえば監査委員長って忘れ癖というか伝え忘れというか天然なところに気づくと犯人が思い至り、首を横に振り分からないことを示す


「そうですか…私たちトップ3以外は三次試験の後叩き起されたんですそこで、学園の生徒手帳と家の鍵を渡されました、そして生徒手帳の説明の際、生徒手帳が身分証であること、生徒手帳では正式な決闘のようなものを申し込めること、常に学年順位を見られること練習場の利用を申し込めること、そして生徒手帳に入っている電子マネーで買い物ができることが伝えられました、またランクに応じて振り込まれるお金が違うことが言われました。」


分かりましたか?というふうに目を向けてくる


「ああ、わかったとりあえず生徒手帳を見てみるよ」


そう言って、生徒手帳は身分証としか思っていなかったため初めて生徒手帳を開き、そのできる範囲に驚いた、さっき言われていたことも含めかなりのことがこの生徒手帳で出来るようだった。


そうして中身を見ていくとお財布というアイコンが目に留まりそれをタッチするとかざすだけで支払いが済むという説明がなされたあとに所持金が表示された、その額は100万ルークだった、ルークとはここでは日本円の2倍のレートである。ここでは国際市場で1番の力を持つお金である日本円を基準に電子マネーで取引されている


「学生がこんな持ってていいのか…?」


驚きながらもスピカに目を向ける


「だからここは弱肉強食なんですよ、強いものは豪遊でもなんでも出来るんですよ、もちろん相手のルークを決闘によって奪い取ることも出来ますし」


「他のランクはどのくらい貰えるんだ?」


震える声でそう聞く


「三次試験の時の解説を聞く限り、Aランクは50万ルーク、Bランクは10万ルーク、cランクは5万ルーク、Dランクは2万ルーク、Eランクは1万ルークですね」


「ほんとにここは容赦ないな…というか1万ルークでやりくり出来るのか…?」


「出来るそうですよ?年中無休の食堂もあるそうですし、ここで働いているのも全員学生ですから、しかもどこでも働けるそうなので」


この学園に恐れを抱きながらも、せっかくSランクになれたので甘んじて受けさせてもらおうと思った。


「次の方どうぞ」


そう言って会計をしていく


「お会計は5716ルークになります」


そうしてスムーズに会計を済ませると寮の方へ帰って行く、もちろん重い荷物は俺持ちである、作って貰ってるから当然と言って押し切った


「今日の夜ご飯は何なの?」


「今日は少し豪華にしようかと」


スピカはニコッと微笑みながらそう言って押し切った


「すまないスピカ開けてくれるか?手が塞がってて」


荷物で手が塞がっているのでスピカにドアを開けるのを頼む


「わ、分かりました…」


少し顔を赤らめながら言うと、こちらまで意識して赤くなってしまう


「ふぅ…重かった…」


玄関に荷物を一旦置きながらも冷蔵庫の前まで運んでいく


「少しは持ったのに、全部持つなんて」


「いや女の子にこんな重いもの持たせるなんて…」


「まあいいです…嬉しいですし」


(最後の方はよく聞こえなかったが、まあいいか)


「というかほんとに片付けしてありますね」


驚いたようにそう言う


「片付けくらいだったら俺だってできるよ」


(皿割りそうになったけど)

とは口が裂けても言えなかった、皿をわりそうになり数度落としたがその度に《身体能力強化》を使いキャッチしていた、これがスキルの無駄使いって言うんだなと何度も思った


「そうですか、ならそこで座って待っててください今料理しちゃいますから」


スピカはニコッと笑うとエプロンをつけてキッチンの方へ向かっていった


(スピカはエプロン姿まで可愛いもんなぁ…)


スピカのことをついつい目で追ってしまい、顔がだらしなくなってしまっていた。


「春夜さんどうしたんですか?」


自分のことを考えられてるなど露ほどにも考えずそう聞く


「な、なんでもない」


そう言って気を取り直すとスピカの方を極力見ずに若干抱きしめたくなる衝動を抑えながら精神統一をしていたのだった。

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