柑橘系の詩
こんにちは、コーノです。
なんか汚い詩を書いてしまいました。
最近自分の詩に評価がつくようになってきて嬉しいです。やっほーい。
柑橘系の詩
芳香……
芳香……
柑橘系の
芳香……
潰れたものはオレンジ色で
単細胞の散る映像
皮が存外いい色で
コントラストの強いもの
芳香
芳香
クスリと割れる、軽い音
その芳香
スロー再生
破裂の過程
飛び散る果汁とその芳香
深呼吸のひとつが誕生
いや
しかしなんとも、あれはすこぶるやわなものです。いとも簡単に潰せるでしょう。
このやわさこそまさしく確信を持って、
人間の心の弱さ
に酷似しています。
時に幼子にさえ踏みにじられる私たちの心の弱さというのは、まったく小さな柑橘のひとつに同一でしょう?
だがしかし!
そうか、ならばというわけで、その果実を私の心に置き換えたとて
ぷちゅり
と潰れたところから
柑橘系は香らないのです。
……末恐ろしいことなのですが
私の心はコントラストの欠片もない、
オタマジャクシを潰した汁が
滴り落ちる出来なのです
あら悲しい、なんと悲惨な柑橘系!
あの爽やかさの権化足るに
私の心は一寸の余地もないのです!
オタマジャクシの汁により、この心は作られるのです!
ーー柑橘系の汁の飛ぶーー
雲ひとつない、青い青い空の像が浮かぶ
目を下ろすと、広い荒野の真ん中に、私は1人ぼっちでいて、あなたに囁く
ここで私はあなたにある種の呪いをかけました
柑橘系が破砕され
その清涼を一心不乱に飛び散らかさんとするその時、あなたの顔にかかるのは、私のここから滲み出た
オタマジャクシの汁なのです
そして吸うのは、この心のドブ水と
潰れたオタマジャクシの香りなのです
絵本でも
TV画面も
質量のある
本物も
全て汚れた私の心に置換されるのです
あなたの視界に移るのは
指に伝ったオタマジャクシの汁を吸う友人と、どぶの匂いを吸って喜ぶ変態たちなのです。
彼の瞳は潰れた柑橘系から垂れる、ドス黒い汁で満たされていたーー。
それ、一生私を恨みなさい
そうして一生忘れなさるな
柑橘系を見る度に、
私のことを思い出しなさい
取るに足らない私のことを、柑橘系が想起させる
あなたはこんな老人さえ、一生忘れられなくなる
これが私の呪いです。あなたが死ぬまで終わらない、半永久の呪いです。