初戦闘と街のなかでのはなし
ゴブリンは、2体おりまだ俺の姿に気づいていないようだった。
「はぁ、よかった。まだばれてないか。
よし、やるぞ........ふっ!」
まだ気づかれていないことを利用し、ゆっくりとゴブリンの後ろに近づくと手に持っていた剣で切りかかった!
スパッ!!
「「グギャ?」」
「.............えっ?」
まとめて吹き飛ばすように横凪ぎで剣を振ったはずなのに、素人でもわかる鋭い斬撃で2体のゴブリンをまっぷたつにした。
「マジかー、このステータスにスキルだとこんなになるんだ。」
緑色の血を噴き出しているゴブリンを見ながら自分が持つ力の現状と、魔物を殺したことに対する動揺がでないことに驚いていた。
(...ドラゴンを最初に見たからか、ゴブリンで震えなかったな。それに死体を見ても落ち着いてるか。...覚悟決めたからか、ここで生きていくと。)
「そうだ、このゴブリンしまっておくか。解体は、アイテムボックスでできるから。」
メニューをいじっているときに、思い付きで地面に生えている草を引き抜いて入れてみたら、コマンドに【取り出す】【捨てる】以外に【解体】というコマンドが出てきた。選択すると「イネ科の雑草」から「イネ科の葉」と「イネ科の根」に分けられ、これは自分が知っている情報が表示されるようだった。
しかし生きているものは入れられないようで、バッタをいれようとしてもアイテムボックスは開かない仕様になっているようだった。
(アイテムボックスに収納、解体。アイテムバッグに移動っと。)
5メートル以内なら触れずとも収納可能で、アイテムバッグを使用者登録をすれば移し変えることもできた。
【レベルが上がりました】
「おっ、レベル上がったか。その前に腹減ったな...、さっさとあの街へ入ろうか。
─────────
20分ほど歩くと、街につき門の近くへ行くと門番に話しかけられた。
「君、一人で来たのかい?しかも森の方へ続く道から、家族は一緒じゃないのかい?」
どきっとしながら、歩いているときに考えていた設定をはなした。
「私の名前は、カイト ヤマグチといいます。今一人旅の途中で、かなり遠い国から来たんですが道に迷ってしまって、魔物に襲われて命からがらここまで逃げてきたんです。」
森の方から来てもおかしくないことを言いつつ、
「それでですね、身分証を逃げてる最中落としてしまって...。」
「はぁ、なるほど。大変だったね....。
税金として大銅貨5枚とこの水晶に手を乗っけて.....うん、だいじょうぶだね。この木札を持ってると、仮の身分証になるから、早めにギルドでカードを発行して。そうじゃないと不法侵入で犯罪者になるから。
あと大銅貨2枚は身分証を持ってくれば返すからもう一度ここにきてくれよ!」
俺は大銅貨5枚をわたし、木札を受けとった。
(ふぅ、助かった。この水晶は「鑑定」...あぁ、犯罪歴がないか見てるのか。そうだ!いい宿がないか聞こうか。)
「わかったよ!あぁ、そうだおすすめの宿ってありますか?少し高くてもいいので、料理が美味しくてゆっくり休めるとこがいいんだけど。」
「そういえば魔物から逃げてきたんだよね、ゆっくり休むといいよ。僕は、この街の門番をしているリックだよ。カイトくん、何かあったらいつでもここに来ていいよ!そうだね、この街のおすすめは竜の安らぎ亭かなぁ。料理つきは銀貨1枚だけど、料理はおいしいし部屋は一人だからゆっくりできるしね。
さて、 カイトくん、ファローズの街へようこそ。」
─────────
(言われた宿は...ここか。へぇ、思ったよりも大きいな。まぁ、入ってみてのお楽しみか。)
メニューから地図を出し、きょろきょろと街並みを確認しながら歩いているとおすすめの宿、竜の安らぎ亭についた。看板の目印としてデフォルメされた竜が丸まっているかわいらしいものだ。
「すいませーん。泊まりたいんですけど、部屋って空いてますか?」
見た目的には、年季がはいった石造りの宿だが中へはいると酒場と併設され、かなりきれいで落ち着いた雰囲気のあるいい宿のようだった。
そして俺は、受付にいる女将さんに、泊まれるかどうか聞いてみた。
「いらっしゃい!部屋は空いてるよ。素泊まりだと大銅貨5枚、食事付きだと銀貨1枚だけど、お湯とかサービスつきだよ!
うちは、ここいらじゃ一番の宿だからね、少し高いのはがまんしな。」
(いい宿っぽいし、当面はここを拠点にした方がよさそうだな。)
そう思い、1ヶ月ほどと食事を出してもらえるかを聞いた。
「じゃあ食事付きを1ヶ月おねがいします。あとですね、今食事を出してもらうのはできますか?」
この世界の1ヶ月は、30日で、1日24時間だったはずだ。
「お金は前払いで、金貨三枚だよ。この宿帳に名前は書けるかい?書けないなら代筆するよ。
食事は今すぐ出せるけど、少しさめてるけどいいかい?鍵は食事が終わったら渡すよ。」
渡された宿帳に名前を書きながら、
「冷めてても大丈夫です。本当にお腹が空いていたのでありがたいですよ。えっと、これでいいですか?あとこれで宿賃です。」
宿帳に名前を書いて、首に掛けていたアイテムバッグから金貨三枚を取り出すと宿帳と一緒に女将さんに渡した。
「おおっ、そうかい!うちの料理はひと味もふた味も違うからね!うん、確かに金貨三枚受け取ったよ。」
そういって女将さんは、カウンターの後ろにある厨房に「今日の料理一食頼むよ!」と叫んだ。
「そこの椅子に座って待ってな。いますぐもってくるからね。」
女将さんは、昼に帰ったお客さんの部屋を掃除してくるよと言って、二階に上がっていった。
少し待っていると、厨房の方から、170cmくらいの赤髪で快活そうな女の子が食事を運んできた。
「はいはーい!君が食事を頼んだ、お客さんかな?」
「そうだよ。この街に来てから食べてないし楽しみだよ! それに、リックさんと女将さんに料理がおいしいって聞いてるし!!」
「あはは!本当だよ、この宿の料理は材料から違うんだ。お父さんが狩ってくる魔物肉を使ってるからね、鮮度はいいし、安く抑えれるんだよ!」
といいながら、俺のテーブルにプレートにのせた料理を出した。
「ちょっと冷めたけど、味は絶品だよ!パンにサラダ、野菜スープ、ボア焼肉だよ!食べて食べて!」
いただきますと言って、食べ始めると、そのうまさに驚き箸が止まらなくなった。
「うんま!マジでうまいぞ!」
(魔物肉ってこんなうまいのか!これだったら高くてもここに来るやつの気持ちがわかるな。ほんとリック、ナイスだわ!)
焼肉は塩と胡椒だけの簡単な味付けだが、その分肉のうまさがわかり、野菜スープも手を抜かれていないことがわかり、パンも日本でも食べたことのある黒パンだがそれほど固くなく、全てが調和していた。
「ふぅ、ごちそうさまでした。いやー、うまかった!」
「ふふっ、ありがとう。じゃあこれ部屋の鍵ね。上の大通り側の一番奥だから。」
微笑みを浮かべながら女の子は、鍵を渡してきた。
「ありがとうね。そういや、名前なんて言うの?」
名前を聞いていなかったなと思い聞くと、
「あっ、ごめんなさい。わたしのなまえは、アイスだよ。お客さんは?」
「えっ、アイス?
ごめんな、俺の国にそういう名前のお菓子があったから、つい。
俺の名前はカイトって言うよ。」
私の名前になにか問題でも!と怒りながら聞かれ、お菓子のことを伝えると、
「へぇ!私の名前がついたお菓子があるんだ、もう少しく「こら、なにしてんだい!さっさと下げて残りの仕事を片付けなさい!」怒られちゃった!あとで詳しく教えてね、カイトさん!」
そういって、厨房にプレートをもって下がっていった。
(じゃあ、俺は、部屋を見てから冒険者ギルドにいこうかな。)
そう思って、階段を登って部屋に行った。
お読みいただきありがとうございました。