ただ一つの居場所
「ありがとう…っ!ありがとう…
「瑛人く〜ん、あのね…一緒に住まない?」
そう言われて浮かぶ感情は困惑と歓喜
「え?え、えっと…なんで…ですか?」
「ほら〜ここって村から遠いでしょ?瑛人くんがいたら〜お使いとか頼めるかなぁって」
相変わらずふわふわした人だ…が
「え?でも俺よりアルマさんの方が早いし…」
彼女の速さはさっき知った
「ほら〜生活する以上〜男の人の力が必要な時が〜あるでしょ〜?」
そう言って持ち上げるようなジェスチャーをする…が
「え?でも俺よりアルマさんの方が強い…と思うし…」
彼女の強さもさっき知った
「良いの良いの〜こういう時は甘えるのが正解ですよ〜」
「で、でも!」
「でも…何ですか?」
「…じゃあ…何で俺なんですか」
「そこに貴方が居たからです〜!」
「え?それだけですか?」
「はい!そこに貴方が居て〜私が貴方を気に入ったから〜です」
「じゃあ…じゃあ!別に俺じゃなくても!…良いじゃ…ないですか!」
「…?違いますよ?」
「違わないです!俺じゃ無い人がそこに居たらその人を選ぶんでしょ!!」
「違いますよ?そこに貴方が居たからこそです!」
「…え?」
「貴方は貴方です、代わりなんて居ないんですよ〜わからないかもしれないけれどそれで良いんですよ〜私はそこに居た人じゃなくてそこに居た貴方を気に入ったんですから〜」
それを聞いているうちに…いつのまにか涙を流している事に気付く
「…一緒に住んでくれますか?」
「…はい!」
「う〜ん…それじゃあ…先ずはご飯の準備ですね〜」
「あ…もう夕方…」
窓から射し込む光はいつのまにかオレンジ色に染まり始めて俺達、俺とアルマさんを照らしていた
「綺麗でしょ、ここから射し込む夕日の光、好きなんですよ〜」
その光がいつか…遠い昔に見たような気がして…
「はい、俺も…好きです」
「これから毎日見る事になるんですよ〜?」
「良いですね!やっぱりここに住むって決めて良かったです!」
その光は…彼女、アルマともう一人の人間を照らしていた
「えっと…それで何作るんですか?」
「ふふふ〜!とっておきのやつですよ〜!」
とっておき!?何がでてくるのだろうか…?
「先ずは〜炊き立てのゴハンカッココメを器によそいます!」
どう見ても…炊き立てのお米…というかゴハンカッココメってなんだよ!コメでいいだろ!
「それに取り立ての〜コケッコの卵です!」
鶏の卵ですね、わかります、うーん…卵焼き?いや、まさかチャーハン!?
「それを割って〜ゴハンカッココメに乗せて〜ショーユじゃなくてショウユを掛けます!」
醤油…だよな?黒いし、というかショーユじゃなくてショウユってなんだよ!
「ふふん…完成です!」
完成!?終わり?うっそぉ……これは…完全に…
「圧倒的コスパと圧倒的美味さのTMG…完成です〜!」
ええええぇぇぇぇぇぇ!!!???卵かけご飯じゃん!?ま、まさか…アルマさんって…料理下手?
「さぁ、瑛人さんの分も圧倒的コスパと圧倒的美味さのTMGを作りましたから〜一緒に食べましょう!」
ん?待てよ…なんでTMGでも良いのに一々圧倒的コスパと圧倒的美味さが付いてくるんだ?まさか…
「アルマさん…この料理の名前って…」
「え?さっき言ったのに…忘れんぼなんですね!圧倒的コスパと圧倒的美味さのTMGです〜」
圧倒的コスパと圧倒的美味さのTMGが料理名かよ…どうしてこうなった?!
見てくれてありがとうこざいます!
大体の主人公って一瞬でその場に馴染むよね()