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その夜。空は晴れていた。
幼い手につかめてしまいそうな、天の川がはっきり見えた夜。
晴れを否定するかのようなまばらな雲だけが、ときおり雪をちらつかせ、もう冬が始まるのだぞと地上の生き物にふれまわってる。
地上の街。大きな家の庭に、星に目を輝かせる二人が立っていた。冷たくなった手を気にする様子も無く、ぎゅっと握りしめたまま空を見上げる。
「あ、流れ星だっ」
「ちがうよ。あれは人工衛星だよ。みちびき18号」
「うそだよ、さくる姉ぇ。人工衛星は燃えないんだよ。うそつき!」
「へぇぇ。よく知ってるんだねー」
「えへん。古くなった人工衛星はねー。ステーションにかいしゅうされて部品になるか、バラバラになって落ちるんだよ」
「落ちるの?」
「うん」
「落ちるとき、燃えないの?」
「なんで燃えるのさ」
「空気とこすれて、熱くなると燃えるんだよ。それが流れ星になるんだって」
「またバカにして。空気とこすれて燃えるんなら、走ってる人も車も燃えちゃうよ。流れ星だらけだよ。ほうら燃えない」
「手を振ったくらいじゃ燃えないっしょ。ばかっ」
「叩いたなー」
「バカはたたくと治るんだよ」
「治るか、ばか」
「治らなかった?」
「治ってないよ…………あれ?」
「あはは。…………ねぇゆーくん。宇宙へ行ってみたいね」
「行ってみたいね、さくる姉ぇ」
「宇宙に行ったら何したいの?」
「宇宙人とか悪い海賊どもをやっつけるんだ」
「子供だねー。かわいいかわいい」
「頭なでるなよ。2さいしかちがわないくせに」
「あははは。でも行ってみたいね」
「うん。いってみたい」
「いっしょに行こうか」
「ひとりでいくよ」
「えーいっしょに行かないの?」
「さくる姉ぇ、すぐお姉さんぶるもん」
「お姉さんぶらなかったら、いっしょに行ってくれる?」
「うんそれならいいよ」
「じゃ、やくそく」
「うん。やくそく」
「咲来ぅ、幸連。いつまで外にいるの。ごはんよー」
「はーい」
「は-い。おばさん」
「守らなかったら、ケツバットね」
「えー!なんだよそれー」
天の川の星々が落ちてきたかのように、しし座流星群の流れ星たくさんがふり注いだ、冬の近い夜だった。
大幅修正しました。猛省。。。。