始まり
君は、英雄譚…特に勇者と聞けば何を思うだろうか?たとえば、様々なことを仲間たちとともに解決していく姿か…魔物と戦い困っている人々を助ける姿か…そのなかでも、多くの人が思い描くであろう姿は仲間とともに魔王に立ち向かい決死の覚悟でこれを打ち倒し国に凱旋し多くの人からの賛辞をもらう姿か…後世に伝わるような記憶に残るようなことをする姿か?そしてここに、もう一つの物語が始まろうとしている。
おれは、魔王のいる世界に生まれた。この世界には、能力がある人が一握りだけいる…俺もそ の一握りの人だ。能力は未来視、未来をみる能力だ…どこまでもどこまでもな、そしてその能力で俺は視た。俺が、勇者として戦うところを…それから、おれは努力をした。この世界には、勇者を選ぶための大会がある。それに、出るのはどんな奴でも出れるのだが…
「レイン!ねぇ、レインってば!ちょっと起きてよ!」と、叫ぶ声がおれを呼ぶ「シオ〜ン、あと五分だけ…それから、ここは図書館だから叫ぶなよ…」と、交渉をしつつ注意をしておいた。ここは、ケルビム王国の勇者を育成する機関である勇者学校…そして、その王立の施設内にある数多くの施設の一つである王立図書館である。この図書館は、禁書などの普段滅多に見ることのできないものから東和に至るまで様々なジャンルのものを取り揃えてあり一般にも開放されている(禁書は除く)それは、置いておいて図書館て問題とされている行動とは大きな声で喋ることである。よって、問題となるのは俺の隣で学校指定の制服でその細い腰に手を当てて顔をこちらに向けているために強調されている胸にコンプレックスがある頬をリスみたいに膨らましているシオンにあるだろう。「おい、一応もう一度言っておくがここは図書館だから声を低くしろ!!」と、俺は机に体を倒したまま腕を伸ばしてシオンの突き出している額にデコピンをしておいた。「あう、痛い…」と、ジオンが俺にデコピンされたところを押さえながら涙目で、睨んでくるのを微笑みながらもう一度寝ようとしたところでシオンの後ろからこの図書館の誇る司書様が歩いてくるのが見えた。あぁ、もうそんな時間なのか…と、俺は未来予知でこの瞬間から起こることを知っているからどんな結末になるかも…まぁ、俺はタヌキ寝入りするけどな〜バレないという可能性があるかもしれんから。しかし、その司書様は「レイン・マグレリーさん、シオン・ファルネルさん、ここがどこだか知っていますか?ここは、図書館です。そして、図書館の利用法は静かに使い禁書には、触れること無く周りの人に迷惑をかけてはならないの三つだけです。ですから、しゃべる時はコソコソとネズミのように話してくださいね?」と、おっしゃった。ウ~ン、バレてるね!と、俺が思いつつ体を起こした時シオンは、ギギギっと音が出そうな感じで首を後ろに回していた。どうやら、今頃その人が後ろに立っていることに気づいたみたいだ。仕方ない…「すみません、俺は彼女が大声で話していることについて一応は注意したのですが…どうも、わかっていなかったようです。それで、注意を聞いてもらおうと話しかけているうちに熱くしゃべりすぎたようです。」と、俺はさも自分は関係ありませんと言った感じをよそおつて喋った。ここまでが、俺の知っている未来だ。しかし、このままの状態でこの場を離れるとジオンが後でこってりと絞られる運命にあるのだが、俺はその運命を望まないのでここから運命に対して揺さぶりをかけていく。運命とは本来、その過程で起こる様々な事象により定められているのだがその事情の中に人為的に違ったものを組み込ませることで運命を変えていくのが俺の能力への応用として、俺が考えたものだ。そして、俺はここから知らない未来へと変えていく。司書様が、シオンへと責任を負わせようとして話しかけようとする前に俺は「しかし、シオン…彼女が最初に僕に話しかけたのも僕が不覚にも眠ってしまったことに有ります。よって、彼女は親切心でつい、大声を出してしまったのです。」と、語りその後も司書の意見を的確にいなす事により俺達はお咎め無しに終わった。
それから、俺達はこの学校の八割の生徒が利用している寮へと戻るため二人で図書館をでて歩き出したところでシオンが、モジモジとしているのでどうしたのだろう?と、おもっていると「あ、あのね…ありがとう…一応、助けてくれたんだもんね…お礼…言っておくよ?」と、ジオンがうつむきながらお礼を言ってくれた。それを、見つつ俺は自分の心の中に渦巻いている感情についてやっぱりそうなんだな…と、思っていた。それは、俺がシオンのことを好きだと思っていることだ。その思いは、昔からあったものの様々な理由を付けて直視しないでいた。あと、未来を見ないでもいる…「まぁ、一応助けたっていうか楽しかったしな…お礼言われるほどじゃないよ」と、一応謙遜をしつつこんな姿見られるならやってよかったかな?と、思っているとでも、知ってたんだよね?と、言われてギクッとした。「やっぱり、知ってたんだ!教えてよね〜未来のことを知ってるなんて結構便利なんだから〜」と、ジオンはプラプラ歩きながら文句を言ってきた。「はぁ、そんなこと言うならあのまま怒られてたほうが良かったかもな〜」と、反撃を一応しつつ俺は昔の自分達に想いをはせた。昔、俺は自身の能力を感じ行使した後一番に仲良しで自分のことについて何かと世話をしてくれていたシオンに話した。それはもう、ベラベラと…で、その後に話した両親によって喜ばれるが人に話してはいけない事を教えられて直ぐにシオンの元に走った物だ…両親もビックリだろうな、まさかあの年で両親よりも先に友達に能力について喋ったことに…