まったりするんだよ!
ガチャッ(家の扉を開ける音)
『お、お邪魔するんだよぉ……』
「そんなにかしこまらなくても大丈夫だから~。ただいま! じゃぁ、わたしの部屋に案内するね!」
そういうと何卒は自室へ未を案内する。未は周りを見回す。
『ほんとに何も変わってないなぁ……』
「んっ? 何が?」
『な、何でもないよ……!?』
「そう? ここがわたしの部屋だよ。」
扉を開けると……かなり散らかった部屋だった。
「ご、ごめん……。お客さん来ると思ってなかったから、片づけてなかった……。すぐに片づけるから、待ってて?」
『ぼくも手伝うんだよ! ぼくは幸せを運びに来た未なんだから!』
「ありゃ、いいの? 助かるわぁ~。じゃぁ、さっそくだけどさ? 散らかった服をたたんでてほしいんだよねぇ~?」
『い、いきなり、大変な仕事頼まれたんだよ……。よぉし! やってやんだよ!』
「うわっ、凄い意気込みね……。じゃぁ、わたしは本とか片づけるから、お願いするね?」
『まかせるんだよ! 【幸福未モード】起動!』
未が叫んだ途端、未の服からたくさんの薄ピンクの霧が出てきた。その霧は未をみるみる包み込み、姿を消していく。そして、その光景は薄ピンクの綿菓子の様であった。
「な、何これ……!? お、おいしそう……」
『これは食べ物じゃないんだよ! ていうか、見るとこ違うんだよ!? 思考がそっち行っちゃうとは思わなかったよ……!』
未が薄ピンクの霧の中から、見事なツッコミを入れた。
「あ、あはは~、綿菓子の中でも喋れるんだねぇ~。喋れるとは思ってなかった~」
『どことなく、わざとらしく聞こえるけど……まぁ、いいんだよ。もう服の片付けは終わったんだよ!』
「えっ……? まだ頼んでから、29秒も経ってないのに……? そんなわけないでしょ~」
『なんで、30秒って言わないで、その微妙な数字を言うのかが相変わらず、不思議だけど……よく見るんだよ!』
「み、見るんだよって言われても……。綿菓子で見えないんだけど……?」
『綿菓子言うなしぃぷ! 【幸福未モード】解除!』
その瞬間、薄ピンクの霧が消え、周りに散らかっていた服が全て畳まれてた。
「す、凄い……! 29秒も経ってないのに! でも、服の位置はそのまま……。結局、わたしがやれって事ね……」
全て畳まれてはいたが、散らかった状態の位置のままで畳んでいたので、最終的には何卒がしなくてはならない。
『当然なのだよ! 畳んだだけでもありがたいと思ってほしいんだよ! それに服の場所知らないしぃぷ……』
「そりゃ、そうよね……。頑張って片づけま~す……」
そう言いつつも、さり気なく、何卒は未を上手く使いながら、片付けを終わらせたのだった。