運びにきたんだよ!
後半、如何わしき内容があるかもしれませんが、生温かい目で見過ごしてあげてください。
「えっと……未ちゃん……だよね……? 結構、幼い感じだけど、中学生くらい……?」
『さすがなのだよ! ぼくはれっきとした中学生なのだよ!』
やっぱりか……っと思う何卒。しかし、中学生や未来から来ただけじゃわからなかったので、とりあえず、質問をしてみた。
「いくつか質問してもいいかな……? 未ちゃんについて、いろいろと知っておきたいし……」
『質問? 答えられる範囲内なら、何でも答えるよ?』
「んっ……? 何でも……? じゃなくて……じゃぁ、質問させてもらうわ」
こうして、未への尋問が始まった。
「まず、1つ目ね。あなたはどうやって、この201……5年に来たのかを教えて?」
『ん~、まぁこれくらいはいいかな……? 未来にあるTSMMHM-2っていうものがあるんだよ!』
「な、何その……、TS……なんとかって言うのは……?」
『TSMMHM-2! 通称【タイムスリップメカニックマシンハードマークツー】っていうものだよ。ぼくでも噛みそうなくらい長い名前だから、省略してるだけだよ!』
「噛まなかったのが奇跡ってわけね……。それで……そのマシンで飛んできたの?」
『飛ぶ? 違うんだよ。ぼくはTSMMHM-2を通ってきたんだよ。』
「通ってきた……? まさか、そのTSMMHM-2って……異次元の扉みたいなやつ……?」
わたしは徐々に興味を持ち始め、未を凝視した。
『ちょっ……こ、怖いよ……? 目が怖んだよ……? 鼻息も妙に粗いんだよ……?』
未が少し怯えながら、後退りしていく。しかし、何卒は未の肩をガッチリ掴んで、逃がさなかった。
その姿はまるで少女を誘拐する犯罪者の様であった。実に恐ろしい瞬間だった。
『ひっ……!? ぼ、ぼぼ、ぼくはあまり教えられないんだよ……!?』
「良いから吐きなさい! 減るもんじゃないんだから!」
『減るんだよぉ……! ふぇーん……許してぇ……』
突然、未が泣き出した。【突然】というより【当然】の事である。
「ち、ちょっ!? 泣かないで!? わたし、何かした!?」
そして、泣かせた事の理由がまったく分かっていない何卒。
「と、とりあえず、移動するわよ……! 一旦、家に来なさい……!」
これはある意味、誘拐が実行された様なものであった。しかし、本人は自覚は全くしてはいない。
(それから、歩く事5分後……)
『なんか……いろんな人にジロジロ見られてた気がしたんだけど……。なんでなの……?』
「そんなの……時代を考えなさいよ……。ここはあんたの言う12年前の世界なのよ……? そんな恰好してたら、ただのコスプレにしか見えないって……」
『こ、コスプレじゃないもん! これは12年後に行われる正式なイベントの為の衣装なんだよ! この角だって、本物の角だよ! ぼくの頭にバッチリくっついてるんだよ!』
未は自慢げに反論したが、もはや、コスプレ以外の何ものでもないと何卒は悟った。
「へぇ……? じゃぁ、この角は……ほんとにくっついてるの?」
ギュッと何卒は角を掴んだ。その時、未の身体がビクンッと動いた。
『ひぁっ!? く、くすぐったいんだよ……。む、無暗に触っちゃだめだよぉ……』
「あっ、ご、ごめん……? まさかだけどさ……角弱い……?」
『そ、そんな訳あるわけないんだよ……!?!』
「ほれっ」
何卒はガシッと角を掴む。
『ひゃぁあっ……! だ、だめぇ……お、お願い……弱いから……許してよぉ……』
何卒思う。
(こいつ……ちょろいな……! お持ち帰りして、もっと遊んでやる……!)
「ごめんごめん、ちょっと確認しただけ。 ほら、早く家に早く行くわよ? ほら早く!」
未は来た事を少し後悔していた。そして、小声でつぶやいた。
『この人、怖いよ……。ぼくの幸せ運び……。いつになったら……終わるかな……』
「んっ? 何か言った? 荷物運びなら何もないけど?」
未はさらに思った。
《じ、地獄耳……》