お前らが思ってるほどゲームの世界は甘くない
登場人物 男1 女1 不問1
本作 性別不問さんが同じセリフを言うことになります。
イライラせずにとことんモブキャラとなりいらだたせてやってください
1 ケイ 本名:黒瀬 恵 男
・本作の主人公。ゲームが大好きでとにかくRPGには目がない。
ゲームの世界に来てしまった今回、職業は靴屋。
ツッコミときどきボケ。
2リン 本名:下野 りんご 女
・少々頭のかたい女の子。同じくゲームの世界に来てしまった。
お風呂が大好き。嫌いなものはぬるぬるしたもの。
口調は少々荒っぽい
職業は女舞踏家
3 ゲーム 本名:ゲームウィンドウ 性別:不問
・この世界でとにかくイラだたせる元凶もといナビ。
状況を理解させるために言葉を二人に語り続ける。
モブ1 村人A~D
・その名の通り村人
モブ2 スライム
・一応敵
--------------
ケイ 「おい………どこだよここっ!? え? なに? さっきまで俺自分の部屋でゲームしてたんだけど!?」
村人A 「ようこそ、ニヌルタの村へ!」
ケイ 「おぉ、ちょうどよかったぜアンタ! ここ、どこなんだ? 教えてくれ!」
村人A 「ようこそ、ニヌルタの村へ!」
ケイ 「おい、だからよ…村の名前はいんだよ、ここはどこなのって! 日本の東京だろ?」
村人A 「ようこそ、ニヌルタの村へ!」
ケイ 「ドラクエかよ!? まて、まってくれ…。おい…砂漠にポツンと村が一つ。そして同じことしか答えない人間が一人、食料も水も何もない俺が一人……」
村人A 「ようこそ、ニヌルタの村へ!」
ケイ 「オワタ! 俺オワタ! RPG好き過ぎて夢見てるとかいうオチであってほしいけどこの村人見てるとどう考えても別次元のリアリティが過ぎる! 死ねる! 死ねる!」(早口で)
村人A 「ようこそ、ニヌルタの村へ!」
ケイ 「悪い夢ならさっさと覚めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
村人A 「ようこそ、ニヌルタの村へ!」
ケイ 「………ダメだ、とりあえず村の名前は嫌でも覚えた。他の村人を探してみるっきゃねぇ………お、こんなとこにもいんじゃねぇか。なぁ、ちょっとアンタ」
村人B 「勇者さんがこんな砂漠の村にまで…。もうこの世は終わりだよ」
ケイ 「なるほど、な…。俺は勇者で無一文で砂漠とかいうシビアな場所に放り出されたわけだ」
村人B 「勇者さんがこんな砂漠の村にまで…。もうこの世は終わりだよ」
ケイ 「お前もかよ!? まぁ、そりゃそうか……次だ次」
村人B 「勇者さんがこんな砂漠の村にまで…。もうこの世は終わりだよ」
ケイ 「いい加減まともな情報提供してくれる奴はいねぇのかよぉぉぉ!」
リン 「おい、何をしている」
ケイ 「おぉ!? 村人から俺に発言! これは自動イベントか!? つまり俺は一歩前進したって事だな!」
リン 「なぜ無視するんだ、私の声は聞こえているだろう?」
ケイ 「なるほどなぁ、あくまで俺は主人公だから俺の発言というのは無い。RPGなら当然だな、相手のセリフだけがこちらへ流れてくる…俺の独り言も意味ない、話しかけるアクションに過ぎないって事だな」
リン 「おい、お前だお前! 私を無視するな!」
ケイ 「なんだかなぁ、この村人…気のせいなのかわからんが、イベントの内容とはとても思えないほどに人間性を感じるぞ…」
リン 「ええい、無視するなゲス男! はぁっ!」 (蹴り。勢いよく)
ケイ 「なんでっ!? ちょ、痛っ!? 暴君かお前!」 (セリフに続くようにすぐ発言)
リン 「お前が私の事を無視するからであろう!」
ケイ 「無視? え? お前村人だろ? なに人間性にありふれたリアルな村人演じてんだこの野郎」
リン 「だから村人ではないと言っておろうがあぁぁぁ! (また蹴り。勢いよく 2度目)」
ケイ 「痛いっ! そこ経絡秘孔! ってかなにお前! いきなり人の事蹴るなんてよ!」
リン 「お前はもう死んでいる…って、何を言わせる! もう一度だけ言うぞ。私は村人ではない、なんならお前の質問に何でも答えてやろう」
ケイ 「お前村人だろ?」
リン 「最後に何か言いたいことはあるか?」
ケイ 「うそです」
リン 「お前もどうやらこの世界に飛ばされた人間の様だな」
ケイ 「えーっと、その口ぶりだとお前こそ…だろ?」
リン 「そう、だな。私はつい先ほどニヌルタと連呼する村人と会話…? をしていた」
ケイ 「奇遇だな、俺もそうだ。まぁ、そこはいいじゃねぇか…とりあえず敵でもなさそうだし村人でもねぇことはわかった。俺は黒瀬 恵だ、ケイって呼ばれてる」
リン 「なるほど…ケイ、ケイか。私は下野 りんご、リンって呼ばれている。ところで……私たちはこの村に放り出された。そこはいいんだが…なによりこの世界から出る術は無いのだろうか…?」
ケイ 「あぁ…そうだなぁ……、やっぱりゲームの世界なのか? ここは」
リン 「ケイ、お前の方が詳しいものかと思っていたんだが……」
ケイ 「ん、んーと……ここは多分だけど……RPGの世界だ」
リン 「……敵を倒してレベルを上げる、そういったものだな」
ケイ 「ああ、そんな感じだ。まぁ、抜ける術があるとすれば…だ。クリアするしかねぇんじゃねえか…?」
リン 「私たちは魔王を倒すご一行というわけか……」
ケイ 「しかしだな、俺達の職業はなんなんだ? 結構魔王退治には重要な話だぜ?」
リン 「職業なら、私は女舞踏家だ」
ケイ 「なんでわかるんだよ?」
リン 「私もつけていた覚えがないのだが、この腕時計だ。ここを押すと自身のステータスがわかるようだ。ほら」
ゲーム 「リン、レベル1、HP37、MP12、女舞踏家」
ケイ 「おおっ、なんか何処からともなくリンのステータスが聞こえてくるぞ! なるほど、メッセージウィンドウなるものは音声として俺たちの耳に届けられるんだな」
ゲーム 「身長 162㎝ 体重よんじ-
リン 「うわああああああああああああ! 黙れ! 黙れ!」 (体重~に被せる様に)
(少しの間の後)
ケイ 「まぁ…気持ちはわかるけどよ…俺も聞いてなかったことだし…な?」
リン 「いいわけあるか! 女の子の体をなんだと思っている! ええい、私の話はもうやめだ! ケイ、お前の情報を教えてくれ」
ケイ 「そ、そうだな……。よし、俺の職業とか教えてくれ! ほいっ」
ゲーム 「ケイ、レベル1 HP32 MP21」
リン 「ほう、私の方が体力は上の様だな」
ゲーム 「靴屋」
ケイ 「なるほどな、靴屋か。そーか、靴屋か。ってなんでやし! は? 靴屋ってなんぞ! RPGで靴屋とか聞いた事ねぇよ馬鹿かよまじで死ね! 誰に宛ててとか関係なしに死ね!」
リン 「おちつけケイ。靴屋でも何でもいいじゃないか」
ケイ 「RPGなのに勇者ゼロで世界を救えるわけねぇだろ!! この流れは普通に僧侶か魔法使いのどっちかだろ!?」
リン 「それは知らぬが……まぁ、とりあえずだな。私たちは空腹などが起こるかが心配だ」
ケイ 「その点は大丈夫だ。RPGにはトイレなんて概念も存在しなければ飯も風呂も無い!」
リン 「そうか、それは良かった。まぁ…風呂に入れぬのは少々辛いが……命に害がなければ今はそれで良いだろう」
ケイ 「でも、一回やられたら死ぬからな…。絶対死なないように魔王を倒さなきゃなんねぇ…」
リン 「これはゲームであってあそ-
ケイ 「やめろおおおお! そんな危ないネタ! 境遇は同じ臭くても全然趣旨が違うからやめてっ!!」
(セリフに被せる様に)
(少しの間の後)
リン 「なるほどな、とりあえずお金を貯めなければいけないのか」
ケイ 「そうだ。金がないと体力の回復もできねぇし、装備も買えない。幸いこの村にはクエストがあるみたいだからな。クリアして金を稼いじゃおうぜ」
リン 「う、うむ…しかしだな…いくら稼げばノルマなのだろうか?」
ケイ 「そ、そうだな…まぁ…金はあっても困らねぇ。簡単そうなのをとりあえずやってみようぜ」
リン 「では、このスライム3体の討伐をやってみよう。スライムくらいなら知っているぞ。あの青いぷるぷるしたかわいいやつだろう。ドラクエで見たことあるぞ」
ケイ 「認識してるまったく同じ奴がでてくると限ったわけじゃないが…まぁ、それでいこう…」
スライム 「ででーん!」
リン 「おい……喋ったぞ!」
ケイ 「効果音をスライムに喋らせるとか雑すぎる! 村人がリピートしかしないあたりRPGと同じなのに変に手ェ抜きやがって! 雑か!」
スライム 「ぼくはわるいすらいむじゃないよ!」
リン 「か、かわいい………ケイ! こいつ可愛いぞ!」
ケイ 「スライムの討伐がクエスト内容なのに討伐モンスターが善キャラとか無慈悲か! 村の扱ってるクエストがすでに悪意に満ち満ちてんじゃねーか!」
リン 「こ、こいつを倒さなきゃいけないのか……」
ケイ 「任せろ、倒しにくいなら俺がやってやる…」
スライム 「ぷるっぷるっ。ぼくは悪いすらいむじゃな……ひでぶっっっ!」 (倒される)
ケイ 「お前はもう、死んで……ってオラ! 世紀末ネタ出しつつ死ぬんじゃねぇよ!」
ゲーム 「スライムを倒した!」
リン 「こ、これは……かわいそうに……あんなにかわいかったのに……」
ケイ 「仕方ねぇんだ…これが……俺たちは生きるために…金を手に入れるしかねんだ……」
ゲーム 「1ゴールドと3経験値を手に入れた!」
リン 「すくなっ!」
ケイ 「スライムだから当たり前なの! こいつがもっと強かったらたくさん金が手に入るんだがなぁ」
ゲーム 「クエストを達成しました」
ケイ 「よし、やったな! とりあえずこんなもんだろ。安っぽいクエストだけど、クリアして少しでも日金を稼がないとだ」
村人C 「よくやってくれたね、これが報酬の150ゴールドだよ」
リン 「こ、これは……この世界の通貨なのか…? 金色のコインが150枚入っているぞ」
ケイ 「そうだ。そいつが俺たちの体を癒し、装備と変わり…いろんなことに必要だし、無いと何もできねぇからな」
リン 「この額は…高いのか…? 安いのか…?」
ケイ 「まぁ、すくねぇな。恐らく……大したものも買えねぇぞ」
リン 「その、体力の回復とやらは……どこで行うんだ?」
ケイ 「薬草とか多分あんだろうけど、そういったアイテムを使うか…あとは宿屋だな」
リン 「ふむ…その宿屋とやらに行ってみよう。大したことをしたわけではないが、疲れてしまった」
ケイ 「だな、夢なら宿屋で覚めんだろ……」
村人D 「はいヨ、1泊32ゴールドだよ。泊まっていくかい?」
リン 「な、なんなのだ! この足元を見た価格は! ふざけているのか! おい村人! もう少し安くしないか! 私たちは150しか持っていないのだぞ!」
村人D 「はいヨ、1泊32ゴールドだよ。泊まっていくかい?」
リン 「おい……ケイ………」
ケイ 「いや…気持ちはわかるが……」
村人D 「はいヨ、1泊32ゴールドだよ。泊まっていくかい?」
リン 「女舞踏家としての初めての仕事が村人の処理とはな……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」(力をためる)
ケイ 「やめろリン! 村人をぶっ殺したい気持ちはわかるが、ぶっ殺すなんて異例なことしたらこのゲームから抜け出せなくなるかもしれないぞ! なんとか抑えるんだ! って何でぇっ!?(蹴られる)」
リン 「ふぅ、スッキリした。確かにその通りだな。お前の言うとおり、村人を倒すなんて私もドラクエで聞いたことがない。大丈夫か…? ケイ。今のは最初からつかえた 「とくぎ」 の脊髄ハズスだ」
ケイ 「住宅メーカーかよ!? ネタ台本をいいことになんでもぶっこんでんじゃねぇぞ! つか、なんで俺を蹴るの!? なに? 暴君!?」
リン 「いや、怒りを収めたいが村人を倒すわけにはいかなかったのでな…。ケイ、だからお前にしたんだ」
ケイ 「俺の体力あと2だから!? 仲間に倒されて死ぬとかまじで勘弁して!? まぁ…蹴られた瞬間どこか白と水色の縞々が見えた気がしないでもないが……ははっ」
リン 「見たのか………? すまないケイ。私はここでお前を沈めなきゃいけないようだ……くらえ…脊髄ハズス…! あれ…っ、あれっ!?」
ゲーム 「MPが足りない!」
ケイ 「助かったぜ…って、なんで俺は仲間に殺されかけてるの!?」
リン 「まぁ、私たちが思ってた以上にゲームの世界は甘くないという事だ」
村人D 「はいヨ、1泊32ゴールドだよ。泊まっていくかい?」
ケイ 「ったく、ほら32ゴールドだ」
村人D 「まいど、ごゆっくり…」
リン 「おい、急に真っ暗になったぞ!? なんなんだ!」
ケイ 「ゲームは寝るところまで描写しないからな、しばらくしたら明転する」
リン 「くそ、ゲームリアリティというやつか……」
ケイ 「よーくわかった、思ってるほどゲームの世界は甘くない!!!」
お前らが思ってるほどゲームの世界は甘くない 終




