第八話 初めての友人
カルク魔法学校は、広大な敷地を持ち、魔術ギルド、冒険者ギルドをスポンサーに付ける、世界最大級のマンモス校だ。
入試であった校長は、魔術ギルドの総帥『王級治癒魔術師ゼクス・アルバ・アームストロング』。
とんでもなく偉い人だった。
生徒数は一万を超える。
魔法学校と銘打っているが、講師の層は厚く、この世に存在するありとあらゆる事を学ぶことができる。
あらゆる種族、人種、身分を問わず入学する事ができる。
例えば、差別意識が強く残る魔族、気難しいとされる獣族、国外追放にされた人族、生まれつき呪いを持っていて、手に負えないとされた子供
魔力の高い者や、魔術に関わり深い者であるなら、多少問題のある者でも入学する事ができる学校である。
そのためか入学できる年齢は5~1000歳まである。
4月1日
私は両親と一緒に60万リアを持って学校の門に並んでいた。
周囲には同級生と思われる子は皆親に連れられ列に並んでいる。
いくつもある受け付けで列は消化されていき親との涙の別れを経て生徒は門に吸い込まれていく。
やっと私の番が来た。
受験票と学費をここで出し6年分の持ち込み金として60万リアを両親が支払う。
「受験番号463番シルフィーさんね、えーっと持ち込み金は限界の60万リア…っと。じゃぁこの受験票を持ってあちらの集団でお待ちください。」
受け付けが終わると私は両親に別れを告げて門をくぐり集団に合流する。40人ほど集まると講師に引率され近くの建物に入る。
ここで身体測定を済ませ学生番号をもらうと学校のルール説明が始まった。
1、読み書き、算術、魔術の授業は必須で免除者以外は全員参加。遅刻や欠席、素行不良による不合格判定が出た時点で留年確定。
何を差し置いてもこの3つの授業は大事にするようにと何度も言われた。
2、3年間は専門授業は最低でも3つ合格が出ないと進級できない為注意すること
3、お金のトラブルにおいては学校は一切関知しない。貸し借り、自己管理は各自でしっかりすること
4、暴力行為はお互い了承していれば問題ない。無許可や殺してしまった場合は無期限の停学処分
5、生徒はみな平等であり、この学園内では貴族平民での差別は一切禁止とする
6、恋愛は自由だが大人の関係になったら場合によっては停学、退学もある
7、本学園は向上心があるもの、努力をするものを応援する。邪魔するものは魔物に殺されてしまえ
長々とした説明であったが要約するとこんな感じだった。
「これから各自くじ引きを引く。そこには寮の番号と部屋の番号が書いてある。地図を見て各自夕飯までにたどり着くこと。以上、解散!」
40人程度のグループはくじを引きぞろぞろと出口に向かう。
今年の新入生は約2200人で例年どうりだ。
学校の大きさは某ネズミのテーマパーク4個分と考えるとわかりやすいかもしれない。あんまり変な事を言うと深夜に訪問者が来るので止めておこう。
もちろんくじ引きは男女別である
残り物には福があるというジンクスを信じて最後の方に残りくじを引く。
引いたくじをひらいてみると
「第0番寮 第 1号棟 065号室】
と書かれていた。
この第0番寮は他の寮と違い建物は新しく他が6人部屋が当たり前なのに対してこちらは2人部屋である。長く暮らす寮なので広いのは素直に嬉しい。
女子は西、男子は東に向かう。
学校は西に女子寮、東に男子寮、北に迷宮が2つ南に学園の建物や運動場、闘技場がある。
講師は非常勤は通勤で常勤は全員学校内で生活している。各寮に複数の講師、それ以外は学校の講師用の寮で寝泊まりしている。
学校の建物を横から眺めながら西に歩いていくと五階建ての巨大な寮が見えてくる。
第0番寮は一番手前で青い屋根だった。
部屋は最上階の右端にあった。
10畳ほどの部屋の両端に2段ベットがある。
ルームメイトはまだ誰も来ていない。
「早いもの勝ちだよね」
私は二段ベッドの上に荷物を置いた。
「ふぅ、疲れた、エレベーター欲しい」
さすがに荷物を持って5階まで階段を上るのは疲れる。
ほんと、エレベーターやエスカレーターは偉大だったことがよくわかる。
この部屋にも時計があるので18時まで荷物整理をしながら他のルームメートを待つことにした。
「暇だ、誰も来ないし、荷物整理は終わちゃったし」
もうすぐ17時になる。
待ち始めてもうすぐ1時間経つ。
「これはまさか、ルームメートいない感じ」
寂しいような嬉しいような複雑な気分になる。
それから、誰も来ないで18時になる5分前に食堂に向かった。
食堂は二回の半分を使った大きな所だった。
そこで寮のおおまかな規則を聞いた。まとめるとこんな感じだった。
一:寮の備品は大切に使うこと
二:夜の9時を過ぎてからの外出は禁止
三:寮の中で魔法の実験をしてはいけない
四:部屋の掃除は月に一度はする事
などなど合計18の規則が存在した。
規則の話と夕食が終わると今度は迷宮に入るパーティー決めになった。
「パーティーは3人一組だ。組終わったら食堂を出ていい」
大抵の人はルームメートと組んでいた。
私は壁際で他の人がパーティーを組終わるのを待っていた。
パーティーは少ない方がいい、別に誰にも声をかけれなかったわけじゃない。
「最後まで残ったのは今年は二人だけか」
「二人とも自己紹介を」
「「……………」」
「ほら、二人とも」
「初めまして、シルフィー・ロア・ブリュケドです。」
「……サーシャ…ただのサーシャです…」
「これからよろしく、サーシャ」
「…え、こ…こちらこそ…よろしくお願いします……シルフイー様…」
「サーシャ、様はなくていいよ」
「学校では身分なんて関係ないんだから、ね」
「…わかり…ました」
「敬語も無しね、これからは一緒のパーティーなんだから」
「……はい…」
「よーし二人とも自己紹介は終わったな、最後に握手したら解散だ」
サーシャと握手をしてその場は解散となった。
この世界に来て初めての友人ができた。
平民は名前だけで名字はなく。
大商人と貴族は名前と名字がある。
最近新しい話を考えてます。
今月中に投稿できるかもしれません。
あとコスプレサミット楽しかったです。
マイリスありがとうございます。