お話の1
ここは太陽の花畑。ここの主、風見幽香は今日も花の世話に余念がない。
「ヤッホー!!ゆうかりーーーん!」
そんな脳天気な声が辺りに響き、幽香は声の方に目を向けた。
そこには年の頃は17、8まだ少女と言える位の娘が手を振りながら駆け寄ってきた。
「あら、いらっしゃい。」
「おはよー。ゆうかりん。今日も花が綺麗だね〜。」
「はいはい。ありがと。お茶が欲しいんでしょ? 全く…。お茶を飲む為にここに来るのは、あなた位のものよ?仮にも此処は風見幽香のテリトリーなのよ?その自覚有るの?」
そう、ご存知かも知れないが、風見幽香と言えば幻想郷でも上位の実力の持ち主だ。普通は妖怪でも近付いたりはしない。それなのにこの少女はニコニコと笑いながら、
「だって、ゆうかりんの煎れるお茶って美味しいんだもん。それの為だけに来る価値は有るよ〜♪」
「あら、私の価値はお茶だけなのかしら?うふふ…。なんなら、貴方にその気が無くても再戦始めて、他の価値も教えてあげましょうか?」
「ひややややっ!?タンマ、タンマ!お茶だけなんて冗談っ!冗談だからバトルモードは解除!ね!解除!」
「…ふん…。何で私は貴方なんかに負けたのかしら…。ねぇ…?『ミコト』?」
「なんでかねぇ〜。まっ、そういう時もあるよっ。それでいいじゃんっ♪」
屈託なく笑うこの自称人間の友人に幽香はちょっとしたいたずら心が湧いてきた。
「そう言えば今日のお茶、少しブレンドを変えてみたの。」
「あぁ、道理で何時もと違う味なんだ〜。アタシはコッチの味も好きだな〜。どんなブレンド?」
「基本は変わらないわ。只、今日のはトリカブトを配合してみたの。「えっ…?」気に入って貰えて嬉しいわ。」
「…ぷっ…。あはははっ!なんて顔してるのよ〜っ!冗談よっ、冗談っ!」
「ちょっ!ゆうかりんっ、それシャレにならないよっ!……勘弁してよ〜、アタシは只の人間なんだから〜。もう〜。」
「うふふ。ごめんなさい。チョットからかっただけよ。それより今日はどうするの?またブラブラするの?」
「うん。風の向くまま、気の向くままにってね。お茶美味しかった。ありがと♪じゃあまた来るね〜。毒入りお茶とかマジ止めてよね〜。」
「はいはい。ちゃんとしたの用意しておくわよ。それじゃあ、またね。」
「うんっ。またね〜〜♪」
来たときの様に、手を振りながら去っていくミコトの後ろ姿を見ながら幽香はボソリと呟いた。
「……大体、貴方に毒なんて効かないじゃない…。」
はいっ。毎度お馴染み、見切り発車です。更新は不定期になると思いますので、気長に待っていただけると幸いです。