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お話の9

 「さぁっ、それでは『第1回合コン幻想郷団』かいさ〜〜〜〜いっ♪尚、この催しは博麗神社及び守矢神社の提供でお贈りしま〜〜〜〜すっ♪」


 何時になくテンションの高いミコト。

 何故なら今日は人里での合コン大会なのだ。



   ……合コン……

 その歴史は、古代中国の時代にまで遡る。

 時の権力者『娯・鵜懇』が少子化と富国強兵を同時に解決出来ないかと思い悩んだ。当時、領内は未婚の男女が多く居たが、未婚率が大きいのは出逢いが少ないからだと結論し、更に自領には娯楽が少なく出逢いの場が無かった為だと気付いた。

 そこで鵜懇は、毎月屋敷を解放し積極的に男女の出逢いの場を作り出した。

 そしてその甲斐あって未婚率は大きく下がり出生率が上昇、少子化に歯止めが掛かり徐々に強国に成っていったという。

 領民は自分達に出逢いを与えてくれた領主を讃えこの会合を『合同娯楽混合会:合混』と名付け後世に伝えた。

 -民〇書房刊 『合コン その歴史と変革』より抜粋-



 「?何か聞こえた気が…?」

 「どうしたの、ミコト?何かあった?」

 「諏訪ちゃん。何でもない。気のせいだった。」



    事の起こりは半月前



 「おっちゃーん、ざるそばお代わりー♪」

 「あいよっ。」

 「どーもー♪」

 昼を少し過ぎた頃、ミコトは屋台の蕎麦屋で昼食を採っていた。

 そこへ、

 「やっと見つけたぞ…。ミコト。」

 「けーね?どしたの?」

 ズゾゾゾと、蕎麦を啜りながら顔を上げると少し呆れた顔の上白沢 慧音が立っていた。

 「食べ終わったら、少し相談に乗って欲しいのだが良いか?」

 「アタシで良いの?」

 「あぁ。構わない。」

 「うぃ♪」



 「で、相談って?」

 寺子屋で出されたお茶を啜りながらミコトは慧音に聞いてみた。

 「うむ。実はな、ある男性の母親からの相談なんだが…。」

 と、前置きし話し始めた。


 「つまり、

 親『そろそろ身を固めろや。バカ息子!』

 子『相手が居ねえっつてんだろうが!』って事か…。」

 「要約すると、そうだな。確かに親としては、いい年した息子がフラフラしてるのを放っては置けないだろう。しかし、出逢いが少ないのも事実なんだ…。そこでだ、ミコト、何かいい案は無いだろうか?」

 「出逢い…、出逢いねぇ…。」

 ミコトは何か思い付いたらしく、ニヤリと笑い、

 「OK!このミコトさんにお任せ〜!実は考えてた事が有るんだ〜♪」

 「助かるよ、ミコト。」

 「じゃあアタシは直ぐに動くよ。協力者が必要だし。」

 「判った。手伝えることが有るなら言ってくれ。出来る限りの事をしよう。…所で、何をするつもりなんだ?」

 「うふふふふ〜♪それはね〜♪」

 そう言いながら、自分アイデアを説明すると

 「なる程っ。よしっ。それでいってみよう。」

 「じゃあアタシはコレで。また来るね〜♪」

 「あぁ。頼むぞ、ミコト。」


 「さて、先ずはあそこから攻めてみるか。」

 そう言いながら元気に駆け出して行った。






 所変わって、ここは妖怪の山の麓。

 「うーん…。何か特ダネは無いですかねぇ…。」

 清く(笑)正しい(笑)ブン屋が何やら頭を捻っていた。

 「…何か非常にバカにされた気がするのですが…?気のせいですかね…?」

 その時なにか気配を感じたのでそちらに目をやると、

 「あやややや、あの方は!

 ちょっとそこ行くお嬢さん、山に何の用ですかー?」

 「げっ。ブン屋かよ。最初に見つかるとはなぁ。まぁ良いや。」

 「ご機嫌よう、ミコトさん。クンクン…。特ダネのニオイしますねぇ♪」

 と、射命丸 文が鼻を鳴らして言った。

 「相変わらず鋭いなぁ。でも、記事にするのは一寸待って。正式に決まれば、あややに頼む事になるからね。」

 「ほほぅ、それは楽しみですね〜♪で、何をやろうとしてるんです?」

 「それはお楽しみ〜♪先ずは、周りの協力が必要だからね〜。」

 そう言いながらミコトは山頂を目指し歩き始めた。







    数時間後



 「神奈ちゃーーーーんっ!居るーーーー?」


 「ミコト!(ひと)をちゃん付けで呼ぶなっ!!!」

 「居た居た。おっすっ!」

 「ミコトー♪オッスっ!」

 「諏訪ちゃんっ。おっすっ!」

 「全く…。で、今日はどうした?単に遊びに来ただけでは無いのだろ?」

 「さっすが、神奈ちゃん!よく解ったね〜♪」

 「だから、ちゃん付けするなと…。もう、いいや……。好きに呼べ…。」

 「えへへ♪2人共、信仰は欲しくないかい?」

 そう言うミコトに怪訝そうな顔で神奈子が、

 「そりゃあ、在るには越した事がないが…。なにを考えてる?ミコト?」

 「へっへっへっ。まぁ、お聞きなさい。実はね…」

 と、慧音から相談された事を2人に話した。






 「つまり、『出逢いの場を作って縁結びしよう!』と?」

 「そーそー。」

 「でもさ、私達に縁結びなんて出来るのかな?」

 諏訪子は少し難しい顔をしている。

 「確かに。我々が縁結びなぁ…。五穀豊穣なら、2人で力を合わせれば可能だが、縁結びはなぁ…。」

 「寧ろ、そう言うのはミコトの…」

 「おぉっと!諏訪ちゃん!そこまで!」

 とその時、里に下りていた早苗が帰って来た。

 「神奈子様、諏訪子様。只今戻りました。」

 「早苗、お帰り。」

 「おかえりー。」

 「お帰り〜、早苗〜。」

 「ミコト様、お久しぶりです。」

 早苗の顔を見たミコトが何かを閃き早苗に手招きしている。

 「早苗、早苗〜。」

 「はい、なんでしょう?」

 今までの経緯を話し意見を求める。

 すると早苗は目を輝かせ、

 「素晴らしいお考えだと思います!成功すれば、縁結びとしての信仰も得られるんですね!神奈子様、諏訪子様、是非参加するべきです!」

 そう、力説する早苗を横目にミコトは『一人陥落〜♪後はなし崩し的に…』と、内心ほくそ笑んだ。




 結局、早苗に押し切られる形で協賛する事に合意する、神様2人。それを確認すると、

 「じゃあ、アタシは霊夢の所にも声掛けてくるね〜。細かい打ち合わせは後日に〜♪」

 と、足早に去っていった。






 博麗神社に到着する頃には、既に夜の帳が降りかかっていた。



 「霊ー夢ーっ。アタシーっ。ミコトーっ。あーけーてーっ。」

 母屋の扉を叩く。

 「どうしたのよ?こんな時間に…。」

 と、少し面倒臭そうな顔で霊夢が現れた。

 「いい話持ってきたよ〜♪コレ、おみやげ〜。」

 手に持っていた一升瓶を見せた。


 「まぁ、立ち話しも何だから入りなさいよ。」

 「お邪魔するね〜。」



 そして、今までの経緯を一通り話し終えた後、

 「どう?霊夢も一口乗らない?」

 「縁結びねぇ…。でもうちの神様って、縁結びに御利益あるの?正直言って、うちの祀り神にどんな御利益有るか知らないんだけど。」

 「まぁ、博麗の神様って行方不明だしね〜。」

 とクスクス笑う。

 「あんまり笑い事じゃないわよ。仕えてる神様が行方不明って…。」

 「で、どうする?乗る?」

 霊夢は少し考えて、

 「乗る。お賽銭以外の収入も期待できそうだし。御利益に関しては『こう言うのも有ったのかー。』って思わせればいいし。」

 「正直でヨロシイ。じゃあ決まりだね。人里巻き込んで、派手にぶち上げようっ!」

 『明日から忙しくなるぜ〜!』と、意気込むミコト。

 それとは裏腹に、少し、ホンの少しだけ顔を赤らめて霊夢が

 「取り敢えず、今日はもう遅いから泊まっていきなさいよ。今、お風呂と布団用意するから。」

 と誘ってきた。

 「ありがとー。じゃ、お言葉に甘えて〜♪あ、なーなー霊夢ー。一緒にお風呂入ろ〜よ〜。」

 「えっ!?いっ、一緒にっ!?」

 「ダメか…?」

 「や、ダメじゃない…けど…なんていうか…心の準備が…ゴニョゴニョ…」

 「??どうしたの霊夢?」

 「えっ!?あっ、おっ、お風呂!沸かしてくるっ!」

 と、走って行ってしまった。

 それをみてミコトは

 「一寸、やりすぎたかな?でも、霊夢カワイイ〜♪」


 そして夜は過ぎていった。





     翌日

 ミコトの行動は早かった。

 朝食をすませた後、慧音の元へ訪れ守谷と博麗の協力を取り付けた事、天狗に広告を打ってもらう事を話した。

 その報告を聞いた慧音は、『流石ミコト。行動が迅速だな。』と感心し、

 「で、私は何をすれば良い?」

 と、聞いてきた。

 「けーねには、参加者の募集と抽選をしてもらいたいの。どれだけ応募が有るか分からないけど、全員は参加出来ないと思うから…。

 アタシとしては、この一回だけでは終わらせたくはないんだ。里全体の事でもあるし。」

 ミコトの考えに慧音が大きく頷いた。

 「確かに、一過性の問題ではないしな。」

 「でしょ?だから今回落選しても、2回、3回と開催すればチャンスは皆にやってくるんだよ。」

 そう熱く語るミコトに対して、『人選は任せろ!』と、慧音はノリノリであった。


 それから天狗の瓦版やら、寺子屋の掲示板やらを最大限に利用し募集を掛けたところ、予想以上の応募が有ったため、抽選には守矢の神様2人にも手伝ってもらう羽目になってしまったのは、嬉しい悲鳴と言えるだろう。



 そして10日程掛かった抽選も、会場整備も無事終わり待ちに待った合コン大会がここに開催された。







 「えー、先ずは男性陣の紹介から行ってみましょう!司会は、私、ミコトと」

 「八坂 神奈子でお送りします。」

 「それでは、先ずは番号札1番の方から…」



 そして、15人程の男性陣を紹介し終わるとミコトは、


 「オーケーっ、君達の気持ちはよーく解ったっ!今日、君達の相手をしてくれる女の子は、彼処にいるっ!」

 と、男性陣が居る会場の反対側を指差す。

 少し遠い場所に居る10人程の女の子達に対し、男達が『『『おぉぉぉっ。』』』とざわめく。

 そこに間髪入れず

 「しかーーしっ、君達に紹介する前に、先ずはっ!ミコトさーーーーーんっ、チェーーーーーック!」

 と、ノリノリでポーズを決め、文字通り女性陣側に飛んで行ったミコトであった。







 そして、合コン会場は更なる歓喜に包まれていった。

 ミ・神・諏・慧「カップル出来るかな〜〜♪」




 男性「お願いしまーすっ!」


 女性「ごめんなさい…」

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