心地良い居場所
夜の秘密の話。
狂う静かで星が輝く夜。
森の中、テント?を張っている少し外れにルカがいた。
もちろんだ。
わしが呼んだのだから。
「ねぇ、何のよう。」
明らかに不機嫌。
低音な声が森に響くだけ。
「ほんと、お主はエルデナの傍が好きなのだな。」
告げると、狂い笑いが見える。
本当にこいつは使い魔に近くなってきてる、かもしれん。
「うんうん、そうだよ。
俺はね、エルデナの傍が大好きなんだ。
俺ね、もっと傍にいたい。
エルデナの横にいるのが、俺だけでいいと思うんだ。」
心底から酔っているようで、今にも大声で笑いそうだ。
いまでも小さく笑い声を上げている。
ここまでに狂うとは、エルデナに酔うまでの想いがあったのだろうか。
わしには解らない。
「何でかな。心も体も、変で変でね。
傍にいたい。
本当に本当に俺が叫んでいるんだよ。
可笑しいじゃん。
でもでも、ってなんだっけ。
まぁね
俺はエルデナの傍がいいの。」
まだまだ、酔っている様子だ。
これではエルデナを私物のように見ている気がしてならない。
「ならば聞こう。
我々を殺せばエルデナを独占できると言ったら
どうする。」
「え?
ははははは、馬鹿じゃないの?。
そんな事で独占できるとでも思っているんだ。
きっと、君らを殺せばねエルデナは悲しむよ。
俺は嫌われちゃうじゃないか。
だからさ、そんな事は出来ない。」
出来ないか。
よく理解しているものだな。
「だからこそ、
エルデナが俺のことを好きになってくれる、
その時を待つよ。」
言い終わると、楽しみだなと連発して言う。
寝床に向かって帰って行った。
どこまでに、エルデナの魔力に酔っているのかが気になる。
こいつの属性、特性も風だ。
自然災害の属性を持つエルデナは、上位属性そのもの。
もともと、こいつはエルデナの事を好いていたのだろう。
それに加えて、使い魔の条件をクリアしている。
完全にイカレルよな。
「これは問題のタネだ。」
良いも悪いもこいつは、
心底からエルデナに忠誠染みたものを持っている。
こいつの最優先は自分の命よりもエルデナになっている。
解ってるのか。
お主が死ねば、エルデナは涙を流して悲しむ。
「厄介な。」
それにあの、カレルといったな。
あやつもなにがしら、わしを変な眼で見ている。
同情とかそっちの辺りならばいいのだが。
狂う盤上の駒。
騎士は忠誠似た執着を護るべき主に向ける。
噛みあわない、歯車。