クリスマスイブはチキンで
ちゃんちゃんちゃーん、ちゃんちゃんちゃーん、ちゃんちゃらちゃーらちゃーん。
僕は、山森タケル。19歳。大学1年生。クリスマス定番のこの曲ってちゃんこ鍋を食べたくなるよね。ちゃんこちゃんこと歌ってるから。なーんて、思っていたのは去年まで。なぜなら、今年は素敵な彼女がいるからさ。
今日はクリスマスイブ。初めてできた彼女と、初めてのクリスマスイブ。昨年までは、僕は1人ぼっちのクリスマスデブだった。
ちらちらと、雪が降ってきた。
かなたちゃん遅いな。と僕が思っていると、彼女がはっはっはっと、白い息を吐きながら駆けてくるのが見えた。クリスマスのイルミネーションが彼女の瞳に映り、キラキラとしてとても綺麗だ。彼女の白い息は、小さな綿菓子のようで、ぱくっと食べたら甘いだろうな。と僕は思った。
「タケル、待った?」
彼女の名前は、「田中かなた」。2歳年上。同じ大学の先輩。
「待ったよ。待った分、会えて嬉しい」
「もう♥」
かなたちゃんは、僕の腕に手を回し、僕の顔にほっぺを押しつける。
「可愛いいなあ、タケルは♥」
今日の予定は、予約していたケーキを受け取って、家に帰って、ケーキを食べて、チキンを食べて、2人でロマンチックな映画を観る予定。
皆は、クリスマスイブの恋人2人がする事を予想してしまうだろうけれど、僕達は違う。
ケーキを食べて、チキンを食べて、ロマンチックな映画を見て、そのうちより沿い眠るだけだろう。
僕達は、臆病なチキンだから。
クリスマスイブはチキンなんだよ。クリスマスイブはチキンに限るんだよ。




