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竜に願いを問うならば  作者: REN
1章.過去の咎
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09.大都市

う...全身が痛い...

それに何だか地面も揺れてるし、そのお陰で痛い所に身体をぶつけまくってる。いや今ホントに疲れてるんだからもうちょっとだけ静かに寝させてくれよ...

──ってん?地面が揺れてる?


「お、起きたか。」


自体を把握するため飛び起きる。ここは...荷車の上?やたらと地面が揺れていたのはこれのせいか。いや正確には地面ではないんだけど。

ええっと横にはリアさんがいて…あと誰だろうか、もう一人見覚えのない男の人が乗っている。

そしてその男は俺が起きたのを見るや否や、


「やあ、いい夢見てたかい?」


「......ふぇ?」


なんてあまりに脈絡の無いことを聞くもんなので思わず変な声が出てしまった。


「お前起きて最初にその質問はないだろう..……」


「んー?別に何聞いてもいいじゃん。」


「だからレインにはまず現状の説明をだな──」


...どういう状況なんだ?これ。

起きたら何故か荷車に乗っていて横にリアさんがいてそして誰だか知らない人に良く分からない質問されて...…駄目だ、状況を飲み込もうとする程頭がこんがらがる。


「──はいはい分かったよ、もうしないから。」


とそんな中、言い争っていた二人には決着がついたらしく、恐らく負けた方であろう男が少し不機嫌そうな表情でこちらに話しかける。


「えっと…レイン君、だっけ?さっきは悪かったね。他人をからかっちゃうのはなかなか抜けない僕の悪癖なんだ。」


「は、はぁ...」


なーんか掴みどころのない人だなぁ…と思った矢先、


「君、イージスの記憶を持っているんだってね。」


突然それまで気楽に話していた男の空気が変わった気がした。


「どう?彼の記憶について思い出した事とか無い?」


...ブランジャール=イージス。かつて俺だった人。

男の質問に答えるべく何か思い出せる物は無いかと記憶の中を探るが、

『■■■ス、■の■■■■■る■──』

靄みたいな深い霧みたいと言うか、そんなものが邪魔をしてうまく思い出せない。


「いや...思い出せない。」


そう言うと男は喜んでいようにも、悲しんでいようにも見える複雑な表情をして、


「そうか。」


とだけ言った。

そして一瞬、その男の顔が安心したように見えた。





「───ン、レイン聞こえているか。」


「...あっ、はい!」


ぼーっとしていた頭が現実に引き戻される。


「改めて聞くが、お前はこれからどうしたい?」


これからどうするか、か。実はそれはもう決めている。


「俺は、過去を知りたい。昔の俺がどんな奴で、どんなことをしたのか。きっと俺はリアさんにひどいことをしたんだと思う。だから全部思い出したら...謝りたいんだ。もしかしたら俺のやった事は謝る程度のことじゃ済まないのかもしれないけど、何かしらのケジメはつけたい。」


俺は知りたい。深い霧で覆われた記憶の中を。

そして自分と向き合って、結論を出したい。


「分かった。なら、問題は無い。」


「問題はない?」


「…そうだった言い忘れていたな。今私達は大都市ケンディルへと向かっている。レイン、お前はそこで自衛組織(ギルド)に入れ。」


「ギルド...ですか?」


自衛組織(ギルド)。主な仕事としては街の治安を守ったり軽微な犯罪を取り締まる組織であったが、八年前の厄災以降自衛組織(ギルド)は勢力を拡大し今では金さえあれば厄介事全てを受け持つ広範な人材派遣業になっていると聞いたことがある。


「ああ、ギルドにさえ入れば四六時中依頼が入ってくるし、全部が全部危険を伴うような依頼って訳でもない。危険な依頼もあるにはあるが…階級ごとに受けられる依頼も決まっているから最初は大丈夫だ。もし嫌と言うなら別に入らなくてもいいが…」


「いや入ります!と言うか入らせて下さい!」


断る理由がない。どう考えても渡りに船過ぎる話だ。どうせ断って家に帰ったとしても家は俺が派手に暴れてぶっ壊したからもうないだろうし...都市に残った所で行くアテは無い。


「一つ質問なんだけどさ、ギルドって希望すればすぐ入れるの?仮にも自衛組織なんでしょ、僕だったらそんなどこの馬の骨かも知れない奴入れさせたくないけど。」


と、男から横槍が飛んでくる。


「その点については大丈夫だ。ここのマスターとは旧知の仲でな、私の紹介となれば断られはしない。」


「ふーん、ならいいけど。」


「まあ、そういう訳だ。ケンディルに着くまでもうちょっとかかるからそれまでゆっくりしておけ。到着したら色々忙しくなる。」






~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


「で?何だって?」


「知らない!本当に私は何も知らないんだ!信じて──


「あ、やっべ殺しちゃった。やっぱ力加減むじーわ。」


そう言い、男は立つ。


「こりゃ誰かに先越されたっぽいなー」


周辺にまき散らされている魔力の残滓。

その魔力の色は、確実に()()()がいた事を証明していた。


「ったくようやく見つけたってのに駆けつけてみりゃあこれとは哀愁極まれるぜ。」


だが、探す手段が無い訳ではない。


「待ってろよイージス(マスター)、必ず見つけ出してやる。」

【レインが起きる前のやり取り】


「最初レイン君が起きたら聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

(からかいたいだけ)


「ああ、分かった。」

(あいつなんか重要な話するんだろうな…)

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