02
魔法はいったい何なのか。そもそもなぜ魔法というものは存在しているのか。それは今から約一万年前ほど昔に遡る。
その頃は国などの大規模な人の集まりはなく小さな村が所々あるだけだった。いつの世も争いはつきもので村どうしはその土地や食べ物、信仰の違いなど様々な理由で対立し争っていた。さらにそこに魔物という問題もあったが、たいてい魔物は群れをなして行動はせず単体もしくは数体で行動してい魔法が存在しないこの時代でもさほど脅威にはならなかった。
だが人間とは愚かなもので何時まで経っても争いを止めなかった。戦士の男達は度重なる戦いで疲弊し数を減らした。まるでそれを知っているかのように魔物が一斉に人間の住む村に攻め入った。疲弊した戦士では村を守ることなどできず次々に村は滅んだ。人々は争いを止めいつしか生き残った人々は身を寄せ合い一つの大きな街を作り魔物の襲撃に備えた。そもそも何故今まで単体でしか行動していなかった魔物が集団で襲撃したのかを調べていた。そしてわかったことが一つあった。魔物を操り村を襲わせた人のようで人ではない魔物がいることがわかった。彼らはソレを魔人と呼びソレを倒そうとした。だが魔人の力は強大で魔人に挑んだ人々は次々に殺されていった。魔人は魔物を使い次々に人を殺しにかかった。人々が
魔人に適うはずがないと諦めだしたときに一人の男が現れた。男は『次元の旅人』とだけ名乗った。男は『魔法』という不思議な力を持ち魔物を次々に倒していった。異変に気づいた魔人は男を殺さんがため大量の魔物を率い攻めてきた。大地を覆い隠すほどの魔物にたとえ『次元の旅人』と名乗った男でも適うはずがないと諦めある者は武器を手放し、ある者は泣き出し、ある者は逃げ出した。戦意をなくした彼が次に目にした光景は信じられないものだった。男は信じられないことに一人大群の魔物の中に飛び込んでいった。大地は轟き、海は割れ、天を裂き空間には穴をあけ男は魔物を倒していた。人々が恐怖してやまなかった魔人をまるで赤子の手をひねるかのように殺してしまった。魔人が殺されると魔物はちりじりになり逃げ出した。
人々は歓喜し男を救世主と謳いみな手を取り合い喜んだ。その後男は数年間この世界にとどまり妻をとり子供も生まれ、幸せに暮らしていたのだという。
そのことは『次元を渡る救世主の伝説』として現代まで言い伝えられている。
そして今いるの魔法使いはみんな『次元の旅人』の子孫と考えられている。
というのが魔法使いの原点である。そのことは世界中の子供から老人までが知っていることだ。そして学園に入学して初めての魔法史の授業で教わることでもある。ところがそれを魔法学の授業の時間に二時間にもおよぶ熱弁を見せた今年の魔法科の一年Aクラスの担任にして魔法学の教師でもあるアレン・チェンジニー。いい加減で遅刻魔それに加え無気力、けれども担当した生徒を誰一人見捨てず面倒見のいいという矛盾した特徴を持つ教師として知られている。
「一体いつになれば来るんだよー!」
痺れを切らした生徒が叫んだ。最初は話して時間を潰していたが一時間もたつと話題もなくなったのか静かにかつイライラしながら待っている。とても居心地がいい物ではなかった。そんな中に一人いびきをかいて熟睡している生徒がいる。生徒の名は炎威翼。異国からの留学生で文化の違いからか、いやそんな文化の違いはないだろうがとにかくこんな状況で爆睡できる神経を疑いたい。さらにそのいびきがただでさえイライラしている生徒のイライラにさらに拍車をかけていた。
「おはよう青少年達、第一訓練棟に集合なー」
「ちょっと待てや!」
生徒達のイライラで充満した教室に何食わぬ顔で入ってきて、言いたいことだけ言って出て行こうとした男性こそ魔法科の一年Aクラスの担任アレン・チェンジニーである。鬼の形相で叫ぶ生徒を見て教室を出ようとしていたアレンは足を止めた。
「おおぅ、どうしたお前らそんな怖い顔して、若いうちからそんな顔してたら年取ってからシワんなるぞ」
教室からすべての音が消えた。そしてクラス全員が思っただろう「誰のせいだ」と。そう、そうなのだこの男アレン・チェンジニーは遅刻ぐらいではまったく悪いとは感じていないなだ。その証拠に今まで謝罪など一度も聞いていない。
アレン・チェンジニーは教師歴2年の新任教師だ。彼はこのセレスティア魔法学園の卒業生で在学中はとても優秀で主席で学園を卒業した経歴を持つ。軍の上層部から直接スカウトもきていたがそれを「少し寝たいのでやめときます」と意味不明な理由でバッサリ切り捨て、二年後セレスティア魔法学園の教師として学園に戻ってきた。二年間何をしていたのかと聞いたところ寝ていたと答えた。普通の人がそう答えたら明らかに冗談に聞こえるが、この人が言ったら冗談に聞こえない。
「ま、いっか。とりあえず第一訓練棟だかんな遅れんなよ」
遅刻してきた人が言っても何の説得力ないが、もう何を言っても無駄だとみんな諦めて静かに移動し始めた。
セレスティア魔法学園の魔法科の施設は数々ある。その一つ学園開校時からある施設、実際に魔法を使うための施設が訓練棟である。訓練棟は全部で第一から第三訓練棟まであり、内壁には魔法で壊れないよう特殊な鉱石が使われている。この訓練棟一つでセレスティア王国の年間の国家予算に匹敵すると聞いたときはとても驚いた。それが三つである、当時のセレスティア王国がどれだけ強い魔法使いを必要としていたかを物語っている。
第一、第二訓練棟は普通で平べったいの地面があるだけのところだが。第三訓練棟は特殊な作りとなっている。たとえば森や海、荒野、水中、空中など王国の魔法研究機関が作り出した装置を使い特殊な空間を作り出しているらしい。だがまだ試作段階で欠点がある、その一つが本当は空間を作り出しているのではなく木や水などをその場に作り出しているにすぎない。つまり空間を構成するのではなくその場に物体を投影しているようなものだ、なのでたまに戦闘に集中しすぎて壁に激突して気絶する人もいる。最終目標は本物の空間を作るこだという。
第一訓練棟に集まったわけだがみんな訓練棟の中を見回していた。訓練棟は普段から解放されていて生徒同士で戦うことができるしそれを観戦することもできる。学園で魔法もろくに習っていない一年生は訓練棟に来る機会がなかった。とは言っても中には休憩用のベンチぐらいしかなが、それでも生徒達は興味深げに訓練棟を観察していた。
「さて、お前達も訓練棟に来たからには魔法をバンバン使いたいと思っているだろうがそれはまだ早い。まずは基礎の練習からだ。」
アレンの言葉を聞いて魔法を使えると思っていた生徒は意気消沈していた。
「だが俺の授業では始めてここにきたときは俺対数人の生徒で模擬試合をする事にしている。そいでだ今年のウチのクラスの調査票によると結構魔法を使い慣れている奴が何人かいるみたいだな。俺がやるのは面倒だしそいつらで試合しようと思う」
堂々と職務放棄を告げたアレンに生徒達は冷めた視線を送っていた。それを尻目に次々話を進めていく。
「クラスん中の強そうな四人に一対一の試合をしてもらう。でその四人はリーフ・クライン、炎威翼、レオン・バーナイド、ルリ・リィーナスだ」
リーフは子供ころからエミリオに魔法を教わり風属性なら上級魔法を使える。それに翼とはこちらも貴族だから子供から魔法を嫌でも教え込まれているから当然だろう。もう一人のルリって子は貴族でもないみたいだし小柄でとても強そうには見えない。でも油断は出来ない魔法は体格や年齢など関係なく純粋な技量と魔力量で決まってくる。
技術は日々の訓練でコツコツ積み上げるもので、その過程で魔法を使い魔力を放出することによって結果魔力量が増える。つまり強い魔法使いになるには日々の努力を怠ってはいけないのだ。
リーフもどんなに忙しくても毎日最低でも一時間は魔法の練習をしているし、最近ではレナも治癒魔法の勉強の合間を縫っては魔力をあまくコントロールする練習をしていた。
「時間もあまりないから順番や対戦相手は俺が決める。一試合目は炎威翼対レオン・バーナイド。二試合目がリーフ・クライン対ルリ・リィーナスだ。」
ちなみにレオン・バーナイドは騎士科の生徒をいじめていた三人の貴族の中で一番偉そうにしてリーフに飛び蹴りをくらい気絶した奴だ。
「うわぁ。リーフは知ってるけど翼君ももう魔法使えるんだね。」
「まあ俺も一応貴族の端くれだから子供の頃から親に叩き込まれたからな。」 レナも魔法のセンスはとてもいい。今は魔法を知らないだけで学園に通いまじめに勉強すれば王国でも指折りの魔法使いにでもなれる。ましてや治癒魔法に限らず攻撃や防御魔法
など魔法の才能があるというのがエミリオの見解である。
「おら、始めんぞー」
こうして魔法学最初の実習授業が始まった。
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炎威の家柄はあちらの大陸では少し名の知れた貴族だ。翼の父親は一族始まって以来の逸材だと言われ。もちろんそれに恥じぬ力もあった。いや、むしろ国きっての逸材だった。最年少の18歳で国軍の精鋭部隊の隊長に就任し数々の戦果を挙げ異例の昇格で将軍クラスの地位まで上り詰めた。
その後25歳で結婚し、2年後に一人の男児が生まれた。その子供が翼である。翼は憧れの父親のよう立派な魔法使いになるため自ら進んで魔法の修行に励んだ。軍の仕事の合間を縫っては翼に魔法を教えてくれ、夜にはボロボロになって家に帰り母親に二人そろって怒られるのが日課だった。
翼が10歳のある日事件が起こった。仕事で当時対立関係だった国に軍隊を率い戦地へとむかった。結果は惨敗で父親は戦死したと聞かされた。父親の親しかった同僚の話では報告では兵力1万とあったが実際には五倍の5万もの兵力であった。何度も撤退を本部に進言した決まって「撤退は認めない。なんとしても敵国の進軍を阻止せよ」との返答であった。おかしいと思いながらも命令に従い進軍した。相手の兵力1万を想定し編成された自軍の兵士は1万3千弱、圧倒的な戦力の差に前線は瞬く間に破られ敵国が最終防衛線にさしかかろうとした時撤退を指示し撤退の時間を稼ぐため一人残り敵を食い止めたそうだ。
ところが国は『撤退を命令したにもかかわらず圧倒的戦力差を知りながら突撃を命令した無知で自意識過剰の将軍がもたらした悲劇』と公表した。
そこからは悲劇の連続であった。炎威の屋敷から母親と共に追い出され。今まで優しくしてくれた街の人たちは手のひらを返したように親子に罵声を浴びせた。中には今までと同じく接してくれる人も何人かはいた。
一文無しの彼らに使っていなかった家を提供してくれたし母親には働く場所も提供してくれた。幼かった翼を養うため一生懸命働いてくれた母親も翼が12歳のとき過労で倒れてしまった。一歩外に出れば罵声を浴びる中一年中休まず働いた母親のため今度は翼が働く事にした。少ない給料から薬も買い母親を看病したがその皆無なしく数ヶ月後母親は亡くなった。
数年たち14歳になった翼に炎威を追い出されてからずっと翼たち親子を支えてくれたおばさんに勧められたのがセレスティア王国との交換留学生だった。もう何の未練もないし、むしろこの国から出たいと思っていた翼には思ってもないチャンスだった。
それから父親が死んでから一度も使っていなかった魔法をいちから修行し、さらに魔法の基礎知識を毎日図書館に通い独学で学び選考試験に挑んだ。その結果見事交換留学生の二人のうちの一人に選ばれた。そこから自身を高めるためセレスティア魔法学園に入学するまでの間さらに修行に励んだ。
今無事セレスティア魔法学園に入学できた。
もしあのままあの国にいたなら何の変化もない退屈な日々を死ぬまで送っていただろう。街を歩いても罵声を浴びない、それどころか挨拶をしてくれる人が後を耐えない。あちらでは一人もいなかった友達も二人できた。留学を勧めてくれたおばさんに感謝したい。
なにより新しく友達ができたことがなにより嬉しかった。本当はもう友達は作らないと決めていた。もう裏切られるのが嫌だったから。だけどアイツは俺を、いや誰が相手でも絶対に裏切ることはないとなんの根拠もないのにそう感じたんだ。
だから俺は信じ裏切らないリーフを絶対に。
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今回は時間がなかったため訓練棟の中央に半径20メートルの円を引きその中で試合を行うことになった。
「勝敗は相手が負けを宣言するもしくは相手を気絶させるかだ。俺が危険と判断したら割って入るから多少全力でやってもいいぞ」
簡易試合リングの中で二人が距離をとりつつ向かい合いっていた。そしてレオン・バーナイド翼を睨み付け言い放つ。
「だってさ、早めに負けを宣言しろよ。今回は前みたいに不意討ちなんて出来ないんだからな」
「お前をやったのはリーフであくまで俺がったのはお前の腰巾着のヒョロっとした不健康そうな奴だよ」
リングの外からなにやら聞こえたが翼は気にしない。そしてさらに続ける。
「それに魔法も使えない騎士科相手に三人がかりでしかいじめもできない貴族のおぼっちゃまなんか不意打ちなんかしなとも楽勝だね」
「言ってくれるじゃないか炎威ィ!」
「おっと」
やすい挑発に乗り開始の合図もなしに雷撃を翼に撃つ。それを軽々と避けた翼は反撃するでもなくその場に立ち余裕の笑みを浮かべレオンを見据えなおも挑発していた。
それに答えるかのごとくさらに雷撃を続けざまに三発撃つ。それも軽々と避けた翼はレオンへと視線を戻す。ところが先ほどの場所にはおらず翼と距離をとりつつ横まで移動していた。すれ違いざまにレオンが雷の矢を放つ。
「サンダーアロー」
放たれた数本の雷の矢を横に飛び回避した。避けた際体制を崩した翼にレオンはここぞとばかりに容赦なく雷の矢を放つ。避けるのが無理と判断した翼は雷のやに向け火球を撃つ。翼の火球は無数の雷の矢を飲み込みレオンを襲った。自分のサンダーアローがたった一つの火球に打ち砕かれたのが信じられなかったのか回避が遅れ今度はレオンが体制を崩した。そこに翼が炎を浴びる。
「クソ、なめやがって」
炎が消え所々服や髪が焦げているもののレオンは火傷は負っていなかった。魔法をくらう直前レオンはとっさに雷撃を放ち威力を軽減していた。だがレオンは気に入らなかった。レオンの放った雷の矢を軽々と飲み込んだ火球にに比べ最後に翼の浴びせた炎は明らかに手加減をされていた。
「どういう事だ炎威。さっきの炎、加減していただろう」
「ああ、これは模擬戦だから殺すわけにはいかないしな。それにこんなあっさりと負けたんじゃ貴族のプライドが傷つくだろ」
「僕は今から君を手加減なしの本気で倒すことにするよ」
レオンは指輪をはめている方の手を前に翳した。すると指輪が光を放ち次の瞬間レオンの指輪をはめた手に槍が握られていた。
槍を握りしめたレオンは先ほどとよりも速く翼へと近き槍を振るう。振るわれる槍を避け翼は火球を放つ。先程の雷の矢を打ち砕いたのと同じ威力で撃った火球をレオンは槍を振るっただけでいとも簡単に消し去った。その間に翼はレオンとの距離をとる。
「それ、魔装具だろ」
追撃をしてこないのを確認した翼はレオンに問う。
「そうだよ。認めたくはないが魔法の技術だけではなく僕は君に劣るようだ。だが劣っているなら補えばいいんだ。魔装具でね」
魔装具とは魔法使いをサポートする補助具のような物だ。魔法使いは魔法を使うのが下手だ。魔法を使う際魔法使いはまず魔力を練り体の外に出す。それから集中し呪文を唱えるか、もしくは完成した魔法を頭で想像するした上で先程練った魔力から魔法へ変換することでやっと魔法が完成する。魔力は人の身体から一度出してしまうとそれを体外で留める事ができず魔法を作る過程で練った魔力の約七割が霧散してしまう。もちろん個人差もあるがほぼすべての魔法使いが本来の力の半分も発揮していない。一度体外に出た魔力の霧散を伏せずために開発されたのが魔装具である。魔装具には一度体外に出した魔力を集めることができ霧散を防止することが出来る。とは言いつつも魔装具を使用しても約二割しか霧散を防ぐことは出来ない。こうしてやっと魔法使いが魔装具を使い半分程度の力を使うことが出来る。
魔装具には補助能力を付加出来る。魔装具の原材料には魔法石が使われており、それが魔力を吸収することで魔力の霧散を防ぐ。魔法石にはいくつか種類がありただ魔力を吸収するものと、吸収した魔力を火、風、水、雷、土など特定の魔力に勝手に変換してしまう希少な魔法石も存在している。特定の魔力に変換することでさらに約一割魔力の吸収率が上がる。さらに身体能力の強化など様々な補助能力を魔装具には付加することが出来る。魔法石は採掘量も少なく原材料にほぼ魔法石が使用されている魔装具はとても高価なものだ。
そしてレオンが使用している魔装具には雷の魔法石に身体能力の強化が付加されている。つまりレオンの魔法の威力は今までの二倍。それに加え身体能力の強化が加わっている。それは先ほどまでのレオンよりも数段階強くなっていることを示している。
魔装具でレオンが強化した事により翼は防戦一方にになっている。
「くらえ、『雷槍撃』」
「ぐぅ」
帯電させた槍でレオンが翼を突く。その攻撃を翼は槍を避けることは出来たが突くと同時に帯電されていた電気が前方に放出され、その放出された電気を少し浴び動きが鈍る。その隙をねらいレオンが追撃をしようとするが、その前に翼が地面に向け数発の火球を撃ちその衝撃で土煙が舞い上がり視界を塞いだ。土煙が収まり翼とレオンはお互いを視認する。
「これ以上続けると俺がますます不利になるみたいだな。だから次で決める」
「魔装具まで使ったんだ僕はここで君に負ける訳にはいかない。勝たせて貰うよ炎威」
二人には試合当初の相手を挑発する様な態度や、冷静さを失っていた時とは違い相手に勝つというただそれだけ考え。次の一撃に賭けていた。
「『雷槍撃』」
「『爆進』」
レオンが帯電させた槍を突くまでに翼の足下に小規模の爆発が起こり、その爆風に乗り翼がレオンの懐まで跳んだ。
「なっ」
「はぁっ、『炎掌波』」
さらにそこから炎を纏った手の平をレオンの腹にたたき込んだ。
「ぐわぁ」
「そこまで。この試合、炎威の勝利だ」
掌天をどて腹に受けたレオンが倒れ、レオンの帯電した槍に触れてしまった翼は膝をつく。倒れたレオンにアレンが近づき気絶したのを確認すると勝者の名を宣言した。