プロローグ
初めて書くローファンタジーです。宜しくお願いします。
朝教室に入って席についてまもなくのことだった。
ピカッと教室全体が光って、何もかもが真っ白に輝いて全身が浮遊感に襲われた。
これはもしかしてラノベでよく見る、異世界召喚の中のクラス転移とかいうのではないだろうかと直感的に思った。
クラス人数は30人で男女は半々だ。
高校二年生といえば人生の中でも最も生きの良い若さど真ん中の年齢だ。
だから召喚されたのかと。
なことを考えて気がつくと目の前に何か白い人が立っていた。
「ここは異界への境界で、お前は同じクラスの生徒と共に異世界に召喚される途中である」
「はあ……」
「向こうに着く前にここで新たな能力を与えられて勇者としての資格を得ることになっているのだが」
「はあ……」
「あいにくお前には勇者としての資格条件が備わってないらしく、最低限与えられる筈の‘異世界言語’‘鑑定’‘アイテムボックス’の三点セットのどれも与えることができなかった」
「ですか……」
「その代わり変な能力が二つ付与された。どうしてそうなったかはよく分からないが、どうやらお前に欠けているものを補うために与えられた能力らしく、それを与えられて漸くお前は普通並みになったということらしい」
「はあ……」
「その能力とは‘閲覧’と‘自問自答’の二つだ。何故ならお前はどうやら俗にいう‘失顔症’といって他人の顔を認識する力が弱いらしいな。その為‘閲覧’とは相手の氏名と自分との関係が空中のディスプレイに表示される能力が付与されたということだ」
「なるほ……」
「そしてお前はどうやらコミュ障といって、他人とのコミュニケーションが特に苦手な為ボッチ体質らしいな。その為独りぼっちじゃ淋しいから‘自問自答’と言って自分の分身と念話で話せる能力が与えられたらしい」
「それは……はあ……どうも」
「その状態でお前だけは地球の元いた場所に戻すことになった。戻したところで特に周囲に影響を与えるようには思えないから、その二つの能力はつけたままになる。以上だ。後はよろしく頼む」
「えっ……よろしくって……?」
気がつくと僕は朝の教室にたったひとりだけで座っていた。
続きます。