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我輩と、煙男

吾輩は、5猫兄弟の三番目である。上から順にナツ、クロ、アレクサンダー・ラドクリフ・カワナカ一世、ブチ、タマである。なぜ吾輩だけこんな名になったか主人にしか分からぬ。まぁ、主人がファミリーネームなるものが私と一緒と語ってくるのでこの名は気に入っている。



アレクサンダーというのは、主の話によるとある王国の高名な王の名らしい。王は亜細亜なる地域の大部分を収め、埃及(えじぷと)なる国を叩きのめし、1代で巨大な帝国を作り上げたそうだ。


そして、ラドクリフというのは、吾輩にはよく分からない。主は、俳優というものから吾輩の名を取ったと語るが、そもそもこの俳優というものは吾輩からすると、行きづらい職であると思う。誰かの人生の模倣をするのだ。自由に、常に自分らしく。我の猫生の方を、そのもの達に見習ってもらいたいものだ。


というのが吾輩の名、アレクサンダー・ラドクリフ・カワナカ一世の名の由来だ。


しかし、この高貴な名を、ふにゃけた声で呼んでくる人物がここにいる。主では無い。主はずぼらな娘のため吾輩の、チュールを買い忘れ、スーパーが閉まると叫びちらし、この部屋を出ていった。ではこの者は誰なのか?


「アレクく〜ん。ナナちゃんがちゅーる買ってきてくれまちゅからね〜。」


煙の体臭を纏わせて、吾輩を抱きしめてくるな。そうだ。この男はいつも無愛想な主の男だ。ある一定の感覚で、ベランダに出て、口から煙を吐く怪人である。しかし、吾輩はこの匂いが嫌いだ。致し方がない。爪を出してやろう。さすがにこやつも懲りるであろうしな。吾輩だって、主にはそのような事はしない。なんやかんや吾輩はあの女が嫌いでは無いから。しかしこの怪人煙男は違う。


「ん〜、かわいい爪ですね〜。かわいいあんよとちっちゃい爪ですね〜。」


怪人煙男は、本当にうるさい。匂いだけなら我慢してやらんでもないが、何故こんなにも喚き散らすのであろうか?アレクサンダー王であったら叩ききっていたであろう。ならばこのアレクサンダーもこの怪人煙男を、叩ききってやろう。


「いって。いたいでちゅよ、アレクくん〜。ナナちゃんに絆創膏も買ってもらわないと。」


何だこの男。吾輩の鋭い爪に、切られてもピンピンしてやがる。煙男の固くゴツゴツした指から、赤い液体が滴り落ちる。これが母様が言っていた。血というものか。舐めたら良いと習った。仕方がない。主の顔に免じて吾輩が、舐めてやろうでは無いか。


「舐めてくれるのぉ。心配してくれるのぉ。ありが、、。」


「ゆうくん?」


「あっ、、。」


主がチュールを買って戻ってきたようだ。そうだ主。これが煙男の化けの皮だ。気に入らないであろう?さっさとこの男を家から追い出し二度と戻ってこさせないでおくれ。


「ゆうくんもアレクのかわいさにぞっこんだね〜。」


「猫が好きなんだ、、。」


「ふ〜ん。私のことは?」


「もちろん好きだ。」


「じゃあなんでアレクみたいに扱ってくれないのかな?」


当分、煙男が追い出されることも無さそうだ。吾輩がここにいると、番の邪魔になるであろう。お暇させていただく。

彼氏くん素直になればいいのに。人間も猫も自分らしく生きるのが1番自分にあってるんでしょうね。

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