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95

光の計画は成功するのか。


-95 ご飯のお供-


 光の考えた計画はこの異世界に転生してきた日本人で集まり、転生前から愛して止まないこれぞ白米にぴったりだと言う1品を持ち寄り美味い白米を思う存分食べ尽くそうという物だった。


光「ご飯片手のパーティーなので、敢えて酒は無しにして純粋にご飯を楽しむものにしてみようと思ってまして。」

結愛「たまにはそういう催し物もありかも知れませんね、やってみますか。」


 次の日、林田や結愛の呼びかけに応じて数名が光の家に集まった。各々の「好き」を発表する場にする為、ご飯のお供は自分で持ち寄ると言うルールにしていた。ただ米は光拘りの新潟県魚沼産のコシヒカリを使用する。いつもは炊飯器を使用しているが今回は御厨の提案で昨晩林田家で使用した直火でのお釜での炊飯を行う事となった。

 光の家の裏庭にある以前ナンを焼いたり燻製をするのに使用した焼き窯をベースに用意したお釜で炊いた白米が空腹を誘う香りを漂わせている。


光「我慢・・・、出来ない・・・。」

結愛「私も・・・、です・・・。」


 「はじめちょろちょろ中パッパ」の教えを大切に、最初は柔らかな弱火で途中から火を強めた後、より美味しくする為じっくりと蒸らしていく。蓋を取った瞬間立ち込める湯気と共に魅惑の香りがやってきてそこにいた全員が日本人であることを喜んだ。

 杓文字で返すように混ぜ、各々の茶碗に優しく盛り付けると輝かんばかりに美しい純白の白米に皆が目を輝かせていた。


光「では、折角の炊き立てご飯が冷めない内に始めて行きましょうか。最初は私から、シーチキンを提供させて頂きます。」


 各々にシーチキンを贅沢にも1缶ずつ渡し、光が拘っている調理の手順を説明していく。「調理」と言っても混ぜるだけなのだが。


光「蓋を利用して油を切ったシーチキンにマヨネーズと醤油を加え一旦混ぜます。そこに辣油と一味唐辛子を好みの量で加えて下さい。」

結愛「もう後は混ぜるだけですか?」

光「よく混ぜたら騙されたと思って最初の1口を思いっきり頬張ってみて下さい。」

林田「むぐむぐむぐむぐ・・・、ん?!嘘でしょ?!もうお代わりだなんて!!」


 参加をした全員が最初の1口を食べるとすぐにご飯を口に搔きこみ出した。そして気付かぬ内に全員が1杯目を数秒で平らげてしまった。(※是非お試しあれ、美味いよ!!)


光「凄いでしょ、この1口目でどれ位の量のご飯を食べるかがポイントなんです。」


 知らぬ間に全員がシーチキンを丸々1缶とそして白米を3杯ずつ食べてしまっていた、ただ今回は光が米に特殊な魔力を込めているのでどれだけ食べていても満腹にならず食事を楽しめる様になっていた。お釜の方には保温効果も兼ね米が無くならない様に先日『作成』した『状態維持』の魔法をかけていた。


林田「3杯も食べたのに全然満腹になりませんね、次が楽しみです。」

結愛「では次は私の糠漬けをお召し上がり下さい、壺ごと持ってきましたからお好きなだけどうぞ。今回は胡瓜だけではなく茄子もご用意させて頂きました。」


 結愛が自らの手で胡瓜や茄子を取り出し糠を落として切っていく、全員に各々2切れずつ仕分けた。勿論、結愛に同行している黒服長の羽田にも。


羽田「あの・・・、私も召し上がっても宜しいのでしょうか。」

結愛「勿論です、それとも何の為にここに来たのですか?それとも貴方は白米はあまりお好きではなくて?」

羽田「滅相もございません、私も1人の日本人ですから。早速・・・、頂きます。」


 羽田は胡瓜を1切れ食べるとサングラスを外し、涙を流しながら白米を流し込む。


羽田「優しい・・・、優しい味で感謝の気持ちが止まりません。次は私がご紹介させて頂いても宜しいでしょうか。」


 羽田が茶色の大きな葉を開くと、香り高い味噌と薬味の葱や生姜の香りが辺りを包んだ。


羽田「飛騨高山の朴葉味噌です、私のお袋の味です。朴葉の上で焼いた味噌を白米に乗せてお召し上がりください。」

光「じんわりと優しいお味がご飯を誘いますね。味噌の様に心も温かくなってきそうです。」

結愛「優しい・・・、お母さんだったのですね。」


誰にでも必ずある「お袋の味」。

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