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94

酒の〆の時間。


-94 日本人が故の楽しみ-


 宴もたけなわとなり、皆が酒の〆にサラサラとした物を求め始め、解体していた牛肉のお店から光がテールも仕入れていたので御厨がそれを使いテールスープを作っていた。ただしつこい様だが呑みながらなので途中「味見」という名目で数回ほど飲んでいる。どうやら濃厚なスープをも肴になってしまっていた様だ。

 出来上がったスープに中華麺や窯のご飯を入れてラーメンやお茶漬けに仕上げていく。光と林田警部はご飯を入れてお茶漬け風に楽しんでいた。


光「ああ・・・、日本人はやっぱり米だわ。」

林田「そうですね、米が美味しいと日本人で良かったと実感できますね。」

光「そう言えば林田さんは好きなご飯のお供はありますか?」


 林田は食事の手を止め、目を閉じて自らの好物を思い浮かべていた。


林田「そうですね・・・、やはり京都のちりめん山椒でしょうか。あの風味がご飯を呼ぶんですよね。光さんはどうですか?」

光「私はシーチキンですね、マヨ醤油に辣油と唐辛子を組み合わせると朝からご飯3杯は行けますよ。」

林田「それにシーチキンは酒にも合いますもんね。」

光「林田さん、警察の方なのに罪な人ですね。思い出したら欲しくなっちゃったじゃないですか。」

林田「あらま、これは申し訳ございません。」


 談笑する2人に数人ほどが近づいて来た、解体を終えた結愛がハイボールを片手に光の隣に座る。ハイボールは少し薄めに作っている為ごくごく呑める様だ。

 大きなジョッキ一杯に入ったハイボールを煽ると会話に参加し始めた。


結愛「何だか楽しそうな話していますね。」

光「ご飯のお供の話をしていたんですよ、結愛さんは社長さんだからやっぱり高級品が出て来るんですかね。」

結愛「私はそうですね・・・、胡瓜の糠漬けですかね。」

林田「意外ですね、もっと拘った珍品が出てくるのかと思いましたよ。」


 すると、結愛はジョッキに残っていたハイボールを飲み干した後、自分の『アイテムボックス』から壺を取り出して蓋を開けた。自らの手で中の糠を混ぜると胡瓜が数本お出ましした、結愛は糠を落とすと光と林田に1本ずつ振舞った。


結愛「私が漬けた胡瓜です、家にもいっぱいあるので良かったらどうぞ。」


 光と林田は手渡された胡瓜を思いっきり齧った。


光・林田「頂きます・・・。カジッ・・・、え?!カジッ、カジッ、カジッ・・・、美味い・・・。美味しいです!!」

林田「何処か懐かしく、優しいお味ですね。」


 結愛は別隣りに座っていた羽田にもう1本を手渡し、同時に日本酒を与えた。日ごろの感謝と捜査への貢献へのお礼だろうか。


羽田「社長、私は勤務中でございますのでお酒は・・・。」

結愛「じゃあ今日はもう上がりで良いですよ、呑みましょう。それともあれですか?私の酒が呑めないとでも?」

羽田「そんな・・・、滅相もございません。では、頂きます。」


 羽田は胡瓜を1口齧り渡された日本酒を呑む、義弘にこのような形でねぎらわれた事など一切無いので結愛の行動が非常に嬉しかった。嬉しさの余りサングラスの横から涙が滲み溢れる。


羽田「うっ・・・、くぅっ・・・。」

結愛「だ・・・、大丈夫ですか?」

羽田「義弘の代から貝塚家にお仕えしてこんなに嬉しい事はありません、生まれて初めてな位美味い酒と肴です。」

光「そうだ・・・、羽田さんでしたっけ?今ご飯のお供の話をしていたのですが、羽田さんは何がお好きですか?」

羽田「そうですね・・・、私は朴葉味噌でしょうか。故郷のお袋の味でして。宜しければ明日にでもお作りしましょうか。」


 光は少しの間目を閉じ考えた。


結愛「どうしました?」

光「明日皆でご飯片手にお供パーティーしませんか?」


やはり日本人は米を愛する。

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