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92

流石に良い物もずっと続けば飽きる。


-92 飽き対策-


 ずっと焼肉を食べて呑んでばかりいる者達を見て解体をずっと行っていたネスタがぼそっと呟いた。


ネスタ「皆ずっとバクバク食べているけど肉ばっかりで飽きない物かね。」


 その一言を待っていたかの様に結愛が動きを見せた。丁度いいタイミングで林田家の裏庭にやって来た羽田の方を向いて頷いた。


結愛「フフフ・・・、そろそろ誰かがそう言うと思ってましたよ。師匠、私に任せて頂けますか?羽田さん、お願いします!!」

羽田「貝塚社長から光さんへのお礼と皆様へのプレゼントです。」


 羽田は氷の詰まった発泡スチロールをひっくり返し中身を木製のまな板へと取り出した、脂の乗りが十分で一番うまい状態であがった鰤だ。ネフェテルサでは特殊な海水の海に囲まれている為に季節や時期を問わず年中新鮮で美味な鰤が採れる。ただ、バルファイ王国から研究に来たどの海洋学者も理由は分からないと言う。


羽田「今朝ネフェテルサ王国沿岸で採れた鰤、運よく一番の上物と出会えましたのでお持ちしました。社長・・・、それで・・・。」


 羽田がこそこそと結愛に細長い紙を渡す、おそらく領収証だろう。金額を見て結愛は目が真っ白になり、そのままの姿で後ろに倒れてしまった。


羽田「社長、大丈夫ですか?!」

結愛「こ・・・、こんなに高いの・・・?」


 その様子を見たネスタが結愛の持つ領収証を見てみた。


ネスタ「ありゃ、これはこれはかなりの上物を掴んだ様だね。よっぽど美味い鰤なのかね。」

御厨「それでは僭越ながら私が捌かせて頂きましょう。」


 御厨が包丁を握り羽田が持って来た上物を捌こうとすると羽田が声を掛け、同行してきた男性達を呼んだ。


羽田「すみません板長、少々お待ち頂けますか?こちらですよ。」

林田「き・・・、君は・・・。」

デカルト「貴方方は・・・。」


 林田とデカルトが驚くのも無理は無い、そこにいたのは事件解決の為林田に協力した梶岡浩章とガヒュー達巨獣人族だったからだ。


ガヒュー「デカルト国王にお礼がしたくて来ちゃいました、俺と梶岡さんでこの鰤を捌こうと思います。あの時のハーブティーとフルーツタルトは本当に美味しかった。」

梶岡「俺も、林田警部には冤罪にして貰ったり昼飯を食わせて貰ったりと恩義があります。是非お礼をさせて下さい。」

林田「梶岡君、君の食べた丼はこちらの板前さんが特製の物だ。」

ヤンチ「お口に合いましたかい?」

梶岡「あの丼は実に美味かった、正直本当に泣けました。」


 ガヒューが御厨から包丁を受け取ると頭を外して内臓を取り出す。手早く3枚卸しにするとカマの部分を切り取り、小さく切り分けた中骨や腹骨と一緒に梶岡に渡した。


梶岡「アラは鰤大根にします、俺と羽田さんの得意料理です。大根は自分で育てた物を持ってきました。出汁も羽田さんに味見してもらいながら作りました。」

結愛「私と兄の幼少の頃の思い出のあの味ですね。」

羽田「正直、悔しいですが私の物より美味いです。」


 2人が共同で作った出汁にカマやアラを入れると、香りの良い生姜と共に煮込んでいく。ふんわりと醤油の香りが辺りに広がる。血を丁寧に拭き取りレモン汁をかけているので生臭さは一切感じない。

 梶岡の横でガヒューが鰤の腹の身は和皿の上で身の透き通った刺身に、背の身は厚めの切り身にしていった。網の上で照り焼きと和風のステーキにしていく。


ガヒュー・梶岡「どうぞ、お召し上がり下さい。私達の感謝の品々です。」


 最初に刺身に箸をつける、醤油には薬味として山葵と酢橘を添えさっぱりと楽しめるように工夫している。デカルトは刺身を1切れ食べて日本酒を1口、そして頬には涙が。


デカルト「美味い、美味すぎますよ。私には勿体ない位だ。」


デカルトの涙の意味は。

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