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74

数日に渡るレースが終わろうとしている。


-74 取り敢えず一段落-


 3国を跨いだ爆弾魔事件の捜査が続く中、いよいよ数日にも渡るレースもファイナルラップとなっていた。トップはずっと独走していた⑨番車ドッグファイト、キュルアがスタートしてから1度もピットに入らず走り続けたお陰で独走状態を保ち続けゴールまで至った。車自体は魔力で走るので燃料の補給は必要なかったのだが交代要員で控えていたレーサーは数日間ずっと控え部屋で眠っていた内に優勝する感じになり、何もしなかったので賞金は全額キュルアが受け取るべきだと主張していた。

 ただキュルアの頭の中は猫の事で一杯で、ここ数日間愛猫を撫でていないので禁断症状が出始めている。


キュルア「猫・・・、猫・・・、猫ぉーーーーーーーー!!!なでなでさせろぉーーーーーーーーーーー!!!」

⑨監督「分かったから、マイクをオンにして叫ぶなよ・・・。」

カバーサ「只今、かなりの大音量での叫び声が全会場で響き渡った事、お詫び申し上げます。」


 どうやらキュルアの叫び声はカバーサが実況席を通して全ての観客席に聞こえる様にしてしまっていた、優勝の瞬間のキュルアの声を観客に届けようとカバーサが思いつき気遣いのつもりで行った事だったのだが逆効果だったようだ。キュルアの恥ずかしい姿を晒してしまった形になった。

 ホームストレートに⑨番車が帰って来た、バルファイ王国中から集まった国民達が車両を見守っている。ただ18kmという距離は早く猫を撫でたいキュルアにとってかなりのものだったらしい。パルライの手によりゴールで大きなチェッカーフラッグが左右に振られる。それを横目にシグナルの下を通過しゴールした瞬間、脇に寄せた車両をピタッと止め交代要員の控え選手達がいる控え部屋へとダッシュしていった。実はキュルアの禁断症状を予期していた控え選手達が気を遣って猫を預かってくれていて表彰式までなでなで出来る様にしてくれていた。キュルアが愛猫に顔を近づけ擦り付けるとそこにたまたま監督が通りかかった。


⑨選手「おおキュルア・・・、よくやっ・・・、ってありゃりゃ。」

キュルア「おお・・・、待っていたかー、存分になでなでしてやるからな覚悟しとけよ。ほれほれほれほれほれ・・・。」

⑨監督「仕方がない奴だな、お前は。表彰式まで好きなだけ撫でておけ。ただ、着替えだけは済ませておくんだぞ。」


 監督は静かにドアを閉め、キュルアは存分に撫で始めた。


カバーサ「1着は⑨番車ドッグファイトです、50周目の締め切り時点での人気に応え下位を走る車両に大差を付けてぶっちぎりのトップでのゴールとなりました。来年からは締め切りのタイミングを考え直す必要があるかも知れませんね。ただ、チームメイトや監督と集まることなく1人で部屋に籠って猫を撫でてます、撫でたい欲がそこまでだったのでしょうか。2着はまだホームストレートに入っていませんがどうやら⑥番車か⑮番車のどちらかになりそうです、これはかなりの高配当となる模様ではないでしょうか。」

光「貰った!よっしゃー!」

ゲオル「流石光さんですね、ボート行ってた時もそうですがセンスがあるのではないですか?(念話)パルライ、様子はどうだ?」

パルライ(念話)「特に目立った動きは見えませんね、ただ1つ引っ掛かる事がありまして。」

ゲオル(念話)「何だ、言ってみろ。」

パルライ(念話)「実は私達主催者の方には⑲番車は怪我で欠場している事になっているのですが、最下位で走っているみたいでして・・・。出走表にも横線が引かれているので師匠もご存知かと思ったのですが。」

ゲオル(念話)「不自然だな・・・、ん?電話か?」


 その時、ゲオルの電話が鳴ったので発信者を見てみるとそこには「林田警部」の文字があったので身に覚えが無いなと思いながら電話に出てみる事にした。


ゲオル(念話)「すまん、少し抜けるぞ。」

パルライ(念話)「分かりました、どうぞ。」

ゲオル「もしもし、ゲオルです。」

林田(電話)「もしもし、林田です。実は難航している捜査がありまして・・・、恐れ入りますがゲオルさんのお力をお借りしたいのです。どちらにいらっしゃいますか?」

ゲオル「光さん達とレース場にいるのですが、緊急の様ですのですぐに向かいますね。」

林田(電話)「ネフェテルサ王国警察にお願いします。」

ゲオル「ああ・・・、なるほど。そこですね、よいしょっと。お疲れ様です。」


 瞬時に林田のいる場所を特定し『瞬間移動』を行うと林田は驚いていた。


林田「お早いですね、助かります。早速なのですがこちらの資料をご覧頂けますか?ダンラルタ王国とバルファイ王国を跨いで今調べている事件なのですが。」

ゲオル「なるほど・・・、少しお時間を頂けますか?」


ゲオルはどうするつもりなのだろうか。

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